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2017年10月07日22:49

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新国立劇場 神々の黄昏

2017/10/7土 14:00- 新国立劇場オペラパレス

リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指環」第3日 神々の黄昏

指揮: 飯守泰次郎
演出: ゲッツ・フリードリヒ

合唱: 新国立劇場合唱団、二期会合唱団
管弦楽: 読売交響楽団

ジークフリート: ステファン・グールド
ブリュンヒルデ: ぺトラ・ラング
アルベリヒ: 島村 武男
グンター: アントン・ケレミチェフ
ハーゲン: アルベルト・ペーゼンドルファー
グートルーネ: 安藤 赴美子
ヴァルトラウテ: ヴァルトラウト・マイヤー

新国リング最終章、神々の黄昏に行ってきました。休憩2回ふくめて6時間の長丁場ですが、飽きることなく楽しめました!

今回は何とあの読響がオケピに。東フィル東フィル東響ときて、東フィルも個人的には好きなオケなんだけどやっぱ東響すごいわと思ってたけど、読響は流石、でした!管に迷いがなくて強い音で上手いし、全体的な音の厚みが凄い。音の圧力に圧倒される感じって気持ちいい。ただ、全体的な作品としてのまとまりはちょっと手探りな感じもしました。回数重ねればそこはよくなるところだし、あー来週の公演はもっといいだろうなあ・・・。

歌手で感動のパフォーマンスを見せてくれたのはヴァルトラウテのマイヤー。出番の少ししかないヴァルトラウテですが、説得力ある渾身の演技、そして正確で強い歌声で圧倒、1幕をすっかり持って行きました。幕間のカーテンコールでも大きな拍手とブラフォーが!自分の記録を振り返ってみたら、私、春祭で彼女のジークリンデを聴いたときも絶賛してるし、きっと彼女の持ってる何かがとても好きなんだな。

ペーゼンドルファーのハーゲンも超よかったです。彼はまず、背が高くて海坊主みたいなルックスで迫力があり、このストーリーの中では一人少し違う視点から世界を眺めてる黒幕的な存在にぴったり。同時に、ひねくれてるだけじゃなくてどこか淋しさも感じて知的なハーゲンでした。歌も、渋みのある声なんだけど、音階や発音がとても明瞭で私好み。彼もカーテンコールで主役二人とほぼ同じくらいの拍手とブラヴォーをもらってました。

主役二人も大きな拍手とブラヴォーをもらってましたが、個人的にはマイヤーやペーゼンドルファーほどのインパクトはなかったかな。グールド、喉の調子が悪いのか、時々無理に喉で歌ってる感じがして聴いてる方が喉を傷めないか心配になりました。あ、でも3幕最後はよく響かせていてよかったです!ラングは、声にムラがあり過ぎてちょっと私の好みじゃないかも。でも2-3幕の怒りの演技は素晴らしかった。

あと、グンターのケレミチェフ、悪人じゃないけど気の小さい卑怯者を好演。グートルーネの安藤さん、なかなか色っぽいし歌も上手くてよかったです。彼女はオールスターガラでフェリの出演するピエ・イエスを歌ったときにオケの音から微妙に高い音で歌い切ったときのイメージが凄く悪かったんですが、オペラではそういうことは感じないですね。あれは何だったんだろう・・・。

フリードリヒの演出は、驚くような読み替えがあるわけではなく色をおさえたモダンなデザインでした。面白かったのは、グンターとグートルーネの間に男と女の関係があるという設定だとか(これはジークムントとジークリンデ、ジークフリートとブリュンヒルデの関係とダブらせてるんですかね)、ハーゲンが最後長いコートを着て槍を持っていてヴォータンとダブらせてあるとか。指環を欲しがってたヴォータンとハーゲンって結局同じということなのかな。

ラストはヴァルハラ炎上でセットも崩れ、ラインの乙女達が出てきたあとアルベリヒが登場。でも灰になった(はずの)ブリュンヒルデが客席の方に向いて現れ、一人残るというもの。んーこの彼女の現れ方は一体どう解釈したらいいのかイマイチ分からなかったな。

チケットは完売ということで招待客が少なかったせいか、観客のマナーはとてもよく、長丁場なのにも関わらず、咳をする人、飴をむく人も物凄く少なかったです。そして演奏が終わった後、幕が半分以上閉まるまで拍手やブラヴォーも待っていた。こういうの気持ちいいですね!

2015年10月から2年がかりで完成した新国のリングチクルス。いろいろ不満の声も聴きましたが、私は、あの値段でこのレベルのものを見せてくれた、聴かせてくれた、新国立劇場には感謝したいです。みんながみんな、海外遠征に行けるわけではないですし、何よりチケット代がとても良心的。私の今日の席なんて1万円切ってましたし。

春祭のリングシリーズも終わってしまったし、日本でリングを聴ける機会は暫く激減しちゃうんですね。淋しいなあ。

自分のメモのために、これまでの新国リングの感想へのリンクを。

ラインの黄金(2015年10月)
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-105.html

ワルキューレ(2016年10月)
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-209.html

ジークフリート(2017年6月)
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-278.html
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