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2017年09月25日23:49

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バイエルン国立歌劇場 タンホイザー

2017/9/21木 15時〜 NHKホール

リヒャルト・ワーグナー作曲「タンホイザー」全3幕
Richard Wagner Tannhäuser Oper in drei Aufzügen

指揮:キリル・ペトレンコ
Musikalische Leitung:Kirill Petrenko

演出・美術・衣裳・照明: ロメオ・カステルッチ
Inszenierung, Bühne, Kostüme, Licht:Romeo Castellucci

振付:シンディー・ヴァン・アッカー
Choreographie:Cindy van Acker

合唱監督:ゼーレン・エックホフ
Chor:Sören Eckhoff

領主ヘルマン:ゲオルク・ツェッペンフェルト
Hermann, Landgraf von Thüringen:Georg Zeppenfeld

タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
Tannhäuser:Klaus Florian Vogt

ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ:マティアス・ゲルネ
Wolfram von Eschenbach:Matthias Goerne

ヴァルター・フォン・フォーゲルヴァイデ:ディーン・パワー
Walther von der Vogelweide:Dean Power

ビッテロルフ:ペーター・ロベルト
Biterolf:Peter Lobert

ハインリッヒ・デア・シュライバー:ウルリッヒ・レス
Heinrich der Schreiber:Ulrich Reß

ラインマル・フォン・ツヴェーター:ラルフ・ルーカス
Reinmar von Zweter:Ralf Lukas

エリーザベト、領主の姪:アンネッテ・ダッシュ
Elisabeth, Nichte des Landgrafes:Annette Dasch

ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ
Venus:Elena Pankratova

羊飼い(声):エルザ・ベノワ
Ein junger Hirt (Stimme):Elsa Benoit

羊飼い(少年):カレ・フォークト
Ein junger Hirt (Szene):Kalle Vogt

4人の小姓:テルツ少年合唱団
Vier Edelknaben:Solisten des Tölzer Knabenchors

バイエルン国立管弦楽団:Bayerisches Staatsorchester

バイエルン国立歌劇場合唱団:Chor der Bayerischen Staatsoper

バイエルン歌劇場の来日公演、タンホイザーに行ってきました。

面白かったー!オペラに関して永遠の素人としては、タンホイザーってワーグナーオペラの中では話の進行が早くて短いし、合唱もあるし音楽も絶え間なく盛り上がるし、聴き易い。

カーテンコールの拍手はペトレンコが出てきたときが一番大きかったですが、私はフォークトに一番大きな拍手を送りました。

ワーグナーオペラの常ではありますが、タイトルロールは出ずっぱり歌いっぱなし、ほんと負荷が大きい。あの役を、最初から最後まで美しい音程と発音と透明感ある音色で、しかも勢いが落ちることなく最後の盛り上がりまで歌える歌手って世界に何人もいないはず。フォークトは声量が格別に豊かだとは思わないのですが、無理してなさそうなのにあの広いホールの貧民席まで減衰せずに声が届く感じがするのが凄い。しかも3幕では入魂の演技も。ヴェーヌスベルクの幻影に取り憑かれ虚空を見つめる眼差し、その後エリーザベトの死を知って現実に戻り呆然とする様、時折声に怒りや悲しみもこめながらの熱演でした。実は私、そんなに彼のオペラを生でいろいろ観てないのもあり、彼は歌は上手いけど役者だなと思ったことはなかったので、嬉しい驚きでした。もちろん、フォークトが絶好調でこれが最高のパフォーマンスだったかというと、もっと回数をこなすことでもっといい方向に変わっていくのではないかとは思います。でもそれを考えずとも、素晴らしいパフォーマンスでした。

ヴォルフラム役のゲルネも3幕がよかったなあ。ハインリヒを想いながら死んでいくエリーザベトへの恋心を切々とあの声で歌い上げられるとたまらなく、思わず涙ぐんでしまいました。

あと、元々バス/バリトン系の声が好きな私としてはツェッペンフェルトが凄くよかった!音階が明解な深みのある声。渋いルックスも好みです。エリーザベト役のダッシュも安定していたし、私から見るとかなりの美人で役に合っていたと思いました。

今回、音響のよくないNHKホールなのが本当に残念でした。ソリスト歌手の声よりもオケのほうがホールの音響の影響を受けるのだろうなあ、残念ながらオケの音に感動するまではいきませんでした。あの指揮者とオケのタンホイザーの音楽に体が包まれるのを体感したかった涙

さて、いろいろ言われてる演出、個人的には現代的でスタイリッシュ、過度に豪華な感じでなくて結構いいなと思いました。最初は弓を射る上半身ヌードの女性達がたくさん出てきて、振付というほどではないけどフォーメーションを作って音に合わせて動いていて、舞踊系パフォーマンスファンとしては入りやすかった。あの弓がちゃんと的に当たるのが凄い。

ヴェーヌスベルクは肌色の肉の塊。色欲に溺れすぎた人は形も溶けて人の形をとどめてないのも面白い。ヴェーヌス役のパンクトラヴァ、あの着ぐるみというか舞台装置に固定されたまま歌うの大変だろうに、堂々とした歌唱でさすが!この方、カーテンコールでは黒いドレス姿で登場されてましたが、そのままでもヴェーヌスの雰囲気があってはまり役ですね。

2幕は薄い布をうまく使った演出。真ん中にある箱の中で蠢いてる物体には人が入ってるのかしら。だとした水はかかるわ狭い中で動き回るわ、大変なお役目だな。

3幕はハインリヒとエリーザベトの遺体が次第に朽ちて灰(?)になり一つになるまでを、遺体を次々と変えていく黒子登場で表現。この遺体の途中がエグいはずなのですが、大きい歌合戦ホールの安い席からはオペラグラスを使っても詳細は見えず演出の意図半減?

とはいえ、本当に楽しい公演でした!

1〜2階は結構席が埋まってましたが、3階前方列はガラガラだったようです。今回、タンホイザーは音の悪いホール、平日の昼間開演、そして目が飛び出るような価格のチケット、と何重苦でチケットの売れ行きが悪く、最後になって大幅なディスカウントチケットがたくさん出てきました。勿論オペラの引っ越し公演にお金がかかるのは理解できるし、バイエルン歌劇場の質の高いプロダクションを今話題の指揮者とともに招聘していただけるのは有り難い!でもあれだけの悪条件を一般の人に呑めというのは、やはり難しいし、チケットの売れ行きからしても販売戦略は失敗だったのは明らか。また、大幅なチケット値引きは、いくら最初にいい席を確保できたからといっても、早くに買った真のファンへの大きな裏切りです。

せめて、これらのうち2つでもいい条件だったら。特にサラリーマンとしては、会社半休とらないといけない日しか設定がないというのは、あんまりだと思います。このあたりは猛省いただき、次回以降の公演に活かしていただけますよう、招聘元には心からお願いしたいと思います。

バイエルン国立歌劇場来日公演、残すは魔笛とNHK音楽祭です!
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