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2017年09月14日15:34

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模倣とパクリの境界

20年も前、小さなメーカーの画像処理製品管理者だった。
営業から生産、販売、設置とアフターまでを管理し、少ないメンバーで動かしてた。
ある日同じ県内の裁判所から訴状が届く。ライバルメーカーから特許の侵害であると訴えられたのだ。
要求は製品販売の差し止めと賠償金。社長の「なんとかしろ」の一言。弁護士を頼む余裕も無く、一人で戦うこととなった。

1回目の口頭弁論期日に間に合わせるために作った資料は、単純に自社の特許公開番号と取得年月。相手側はこれより1年ほど遅く取得している。これを提出して終わり。

2回目は相手側から主張がされる。
準備書面では「カメラとモニターを用いた製品は特許を侵害している」と言うのが大筋。

そこで初めて、自社の特許の精査をした。特許公開した文書を徹底的に読み込んだ。
自分が売っていた商品はこういう概念で特許を取得したのかと、そのとき初めて知った。

充分に理解したと感じたところで、相手側の特許文書を読み始めた。
・・・おかしい。
似ている、と言うより同じなのだ。一字一句変わらない。違いがあるとしたら、「撮像機」が「カメラ」に、「受像機」が「モニター」になっていることだけ。
注釈用のイラストもほぼ同じ。
二つの文書を並べて置き、頭から比較する。ここで大変なことに気づく。
自社(当時の)文書上にあった誤記、誤字が、相手側の文書にもまったく同じにある!
勝ったと確信した。

3回目、弁論準備期日。
相手側代理人と判事、私の3人でテーブルで話をする。
弁護士と判事の前で、「手短に終わらせますので、口頭で説明させてください」と言い、反証文書である自社特許文書と、相手側の特許文書を並べて置く。
製品の目的、概要までを読み上げたところで、判事が首を捻った。
さらに相互の表記の違いを示し、相違点が少ないことを指摘。
「全文を読むと長くなります。3点だけ注目していただきたいところがあります」
自社の誤記、誤字を指し示した後、相手側の文書の同じ場所を見てもらう。
「あっ・・・」相手側代理人の弁護士があわてて口を押さえた。」
「反証は以上です」

その後、相手から和解提案。相手側の取得した特許は破棄。逆に賠償金を受け取ることに。
しかしその後、ライバルメーカーも別の技術で新製品を出し、その改善に感心した。

これは模倣から始まって、悪い欲が出たんだと思った。もしも文章を巧みに変えられていたら、負けていたかもしれない。

その翌年だったかな。米国の代理店から苦情が来た。
「お宅の製品、そちら買うと100万するけど、韓国で買うと50万だぞ!」
びっくりして情報を集める。確かに同じ商品、同じ名前の物が韓国で売ってる。
完全コピー。しかも性能は劣悪。これでは悪評が立ちかねない。

国境を跨いだ戦いは、日記じゃ書ききれないので割愛。

日本がパクリの始祖? 日本のは創作の過程、中国はパクリ自体が目的化している=中国ネット
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=97&from=diary&id=4764768
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