mixiユーザー(id:2958687)

2017年09月01日00:45

132 view

8月の読書記録

とりあえず先月よりはましだったものの、思いの外読了するのに手こずった本があったり、やたらしんどくて読書が滞ったりと、8月も期待していたほど読書が捗らなかった。9月はもうちょっと頑張ろう。とりあえずナイスが百を超えたのは嬉しかった。

2017年8月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4649ページ
ナイス数:117ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■ある島の可能性 (河出文庫)
作品の内容はさておき、今の僕とほぼ同世代である主人公ダニエルのしょぼくれ方に何とも言えず身につまされる
(苦笑)。とりわけエステルへのみっともないこと極まりない執着ぶりには、嫌悪感と「こんな風にはならないでおこう」という固い決心を起こさせる?そのダニエルが深く関わることになり、そしてその後の人類に大きな影響を及ぼす新興宗教団体の描写はかなり圧巻。今後人類が同じ轍を歩むとは思えないが、近未来を考察する上で、示唆するところは大であろう。突っ込みどころはあるが、それでも今年下半期の読書歴ベストに入る可能性大。
読了日:08月31日 著者:ミシェル ウエルベック
https://bookmeter.com/books/10127057

■保守主義とは何か - 反フランス革命から現代日本まで (中公新書)
その定義が曖昧なまま、言葉だけが一人歩きしているかのように思える「保守主義」。本書でその始祖とされるバークによる保守主義の定義も絶対的なものではないだろうけれど、その視点からその後の保守主義を読み解くことによって見えてくるものは思いの外大きい。また、著者自身、保守でも進歩でもないというニュートラルな立場から保守主義を論じているため、この手のものにありがちな敵の論陣に対する不毛な揚げ足取り的な言説がないのに好感が持てる。ただ、個人的には昨今の右傾化現象と保守主義との関係にも紙幅を割いて欲しかったが…
読了日:08月27日 著者:宇野 重規
https://bookmeter.com/books/10986557

■カタストロフ・マニア
「こんなふざけた世界に生き続けるよりは、いっそカタストロフを…」恐らく多くの人が密かに抱いている思いを小説化したというべきか。ディストピア小説であると同時にある意味ユートピア小説。両者は結局のところ、表裏一体であるということを悟らせてくれる?他の人も述べているとおり、いささか詰めの甘さ、ネタの陳腐さが散見されるものの、エンターテイメント小説として十分に楽しめる。個人的にはすずがミロクにあまりに都合よく描かれ過ぎていないか?というのが気になったが。もちろん、今後の日本を考えていく上で、示唆するところ大。
読了日:08月26日 著者:島田 雅彦
https://bookmeter.com/books/11776617

■バカになったか、日本人
トピックの大半が原発に関するものということもあって、読めば読むほど気が滅入ってしまう。はたから見れば、単純なこと、バカバカしいことにどうしてこうも必要以上に拘泥し、問題をややこしいものにしてしまうのか?問題の本質はある時はすりかえられ、棚上げにされ、最終的には何の解決もなく、納得する人もいない。こんなことばかりが積み重なった挙句に日本は一体どうなるのか?とりあえずはっきりしていることは、著者も述べるとおり、国民が賢くならなければならない。ほぼそのことにつきる。「民主主義はバカばかり」にならないために。
読了日:08月24日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/9020801

■神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)
幻想小説に分類されるらしいが、その手の小説にありがちな浮遊感は皆無で、シニカルでドライな作風。その風刺に富んだストーリー展開は星新一やチャペックを思わせる。個人的にはカトリック国において、聖職者を題材にした作品を書いた作者の宗教的背景が非常に気になるところ。また、表題作での、人々の生活は品行方正なある意味理想的なものになりながらも、本人達はそのことを疎ましく思っているという件に人間の本性を垣間見た気がした。それと圧巻だったのは「戦艦《死》」。他人から見れば無意味なことに没頭する不条理を克明に描いた傑作。
読了日:08月24日 著者:ディーノ ブッツァーティ
https://bookmeter.com/books/31926

■日月両世界旅行記 (岩波文庫)
他の人も述べているとおり、『ガリヴァー〜』を連想させる、かなり風刺色の強い作品。この当時としてはかなりぶっとんでいたと思われる発想の数々に感心させられるものの、話の流れが悪くて、ストーリーを追うのがちと困難で、なかなか素直に楽しめなかったというのが正直なところ。解説にもあるように、完全な形で出なかったという事情も影響しているのだろう。著者の納得いくまで推敲がなされていれば、その印象もかなり変わっていた筈。残念。個人的には人間並みの知能を持った鳥のエピソードに、手塚治虫への影響が伺えてとりわけ興味深かった。
読了日:08月21日 著者:シラノ ド・ベルジュラック
https://bookmeter.com/books/54501

■なぜあの人は平気であなたを傷つけるのか
「です・ます」調の文体で、著者独特のシニカルな毒が幾分薄められている感があるが、それでもかなり楽しんで読めた。ますます世知辛くなっていく昨今において、いわゆる面倒臭い人間というのも、それに伴い増えていくはず。そうした人達に対処する究極の方法というのは存在しないという身も蓋もない結論に落ち着くのだけれど、その重い事実を受け止めるところからしか、話が進まないとも言える。個人的にはイジメを巡る一連の考察がとりわけ興味深く読めた。これをそのまま教育現場に持ち込むのはアウトだろうが、深く銘記すべきことだと思う。
読了日:08月20日 著者:春日 武彦
https://bookmeter.com/books/11069409

■ムーレ神父のあやまち (ゾラ・セレクション)
他の人も述べているとおり、これまで読んだゾラの作品とかなり趣が違っているのに驚き。解説によると、評価がかなり分かれたそうだが、さもありなん。かなりの読み応えを感じたものの、その一方で「何だかな…」という感想も否めない。そこは好みの違いかな?という気もするが。とにかく牧歌的というには、あまりに人間臭く、官能的でギラギラしたレザルトーの描写が印象的。動物をこよなく愛しながらも、その一方でそれらを喜びをもって自ら手にかけるムーレの妹デジレがとりわけ強烈。ただ、知恵遅れと言いながら、やたら能弁に語るのが不自然。
読了日:08月15日 著者:エミール ゾラ
https://bookmeter.com/books/20915

■サミング・アップ (岩波文庫)
エッセイ集ということだが、その幅に収まりきれない豊穣な内容で、予想外の歯応え。自伝、作家論、創作論、はては宗教、哲学にまで話題が及から、読む方もかなりの胆力を要求される。含蓄に富む言葉が少なからず散見されて、それをちゃんと記録しておかなかったこと、後悔することしきり。また、個人的には『人間の絆』のエピソードを裏付けるような記述が少なからずあったのが、とりわけ興味深かった。それから、これだけ含蓄のある言葉、抽象的な思考をものにしているのにもかかわらず、本国では大衆作家とみなされがちというのが、疑問である。
読了日:08月12日 著者:モーム
https://bookmeter.com/books/571776

■思考のエシックス―反・方法主義論
哲学論文集ということで、予想外の歯応え。とりわけ前半の方法を巡っての抽象的な論考は、半ば字面を追うだけという塩梅。この辺りはもう一度読み返す必要あり。ただ、サブタイトルにもあるように、「方法」という概念というか、やり方が持つ危うさのようなものは何となく感じ取れたか。恐らく近代以降の哲学に揺さぶりをかけようという著者の意図があるのだろう。個人的には終盤のケアに関する論考がとりわけ興味深く読めた。ケアの現場にいる者として、気づかされたこと、意表を突かれたことなどが少なからずあった。いわば著者の倫理感の真骨頂。
読了日:08月08日 著者:鷲田 清一
https://bookmeter.com/books/309396

■夏目漱石と西田幾多郎――共鳴する明治の精神 (岩波新書)
漱石と西田…ほぼ同世代であり、一時は同じ学び舎に属し、少なからず共通の知人を持ちながらも、結局殆ど交わることがなかった二人。しかし、二人には同時代に生き、スタンスを異にしながらも、共に西洋及び時代と対峙してきた…その過程が生き生きと描かれている。また、それぞれが抱えた過程の事情や鬱屈というのは、様相を変えながらも、今の時代にも通じるもので、人間の営みというのは、結局そんなに変わらないのか?と思わせる。ただ、そこに潜む家父長制と、それといかに対峙したかという点で、様々な側面が見えて来るのがとりわけ興味深い。
読了日:08月04日 著者:小林 敏明
https://bookmeter.com/books/11959241

■服従
佐藤優氏推薦ということで読んでみたが、予想外の面白さ…と同時に、西欧諸国にとってイスラムがどれだけ脅威でなおかつ影響力を及ぼしているか、が如実に理解できる。本書が未来を予言しているとは思わないけれど、これからの世界情勢を見ていく上で、かなり示唆的であるのは確かだろう。個人的には主人公が自分と年が近く、なおかつ独身で一人暮らしという設定につい我が身を重ねてしまう。もっとも僕はフランソワみたいにもてないけど(笑)。後、日本製の車やキャラクターが登場するのが印象的。こういうのは、本国ではなかなか見えてこない。
読了日:08月02日 著者:ミシェル ウエルベック
https://bookmeter.com/books/9785941

■ハイラスとフィロナスの三つの対話 (岩波文庫)
対話式ということで、サクサク読み進めることができるかな…と思いきや、これが想定外の難物。当時の哲学史的背景に疎いためか、議論の道筋がすっきり入ってこない。何より本書の主旨である非物質主義の論拠がチンプンカンプン。ただ、巻末の訳注と解説まで読んでみて、本書の性格と分かりにくさの一端が理解できた気がした。要するにこちらの印象通り、本書は一筋縄ではいかないもので、様々な危うさや揺らぎがあったのだな…と。これは恐らく予め本書の要約的なものを念頭に置いて、その要約を本書の内容に当てはめながら読んでくべきでは?
読了日:08月01日 著者:ジョージ・バークリ
https://bookmeter.com/books/40701

■ソシュール超入門 (講談社選書メチエ)
ソシュールに関する本を読む度に、何とも言えないもどかしさを覚える。どれだけ精緻にソシュールの手稿や講義録を読み込んでも、決してソシュールの思想の真髄に辿り着くことはできないのでは…?と。ソシュールの簡易な伝記や毒メンタリータッチの講義の描写など、比較的読みやすい入門書である本書を読んでも、その気持ちは拭えない。また、言語学の対象を話し言葉に限定すると言いながらも、綴りの問題に拘泥し、アナグラム研究に夢中になるという矛盾したソシュールの側面が改めてミステリアスなものに思えた。参考文献の紹介が物足りない気が…
読了日:08月01日 著者:ポール・ブーイサック
https://bookmeter.com/books/5643710


▼読書メーター
https://bookmeter.com/

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年09月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

最近の日記

もっと見る