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2017年08月30日23:38

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元商船大学生です

■乗船実習で自殺や失踪相次ぐ 海技教育機構、7月に3件
(朝日新聞デジタル - 08月30日 20:50)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4741998

船内でのいじめについては…自分が学生だった当時を振り返ると、そういう雰囲気はなかったです。
船って、上下関係がはっきりしているので、横のつながりがすごく強い世界なんですよね。
士官が超絶厳しいので、同期でいじめなんかやった日にゃ士官にどうしめられるかわかったもんじゃないんですよ。
まぁ、士官は脳筋の体育教師みたいなアホじゃなくて、知識も経験も豊富で尊敬できる人なので、無意味なしごきとかはしません。
でも厳しいです。洋上での事故は死ぬ可能性が高い&下手すりゃ他人も道連れですから、厳しいのは当たり前ですけど。

なので、いじめというよりは実習そのものが辛かったのではないかと思います。
停泊しているときは朝早くから運動・清掃・実習…と、夕方まで休む暇なし。
夕食の後は流れ作業のように風呂に入り、巡検(見回り)までの間に部屋を整え、それが終わったらわりとすぐ消灯。
消灯すぎても起きてたら学生指導担当の鬼教官にこっぴどく叱られます。場合によっては「指導」が入ります。腹筋とかやらされるらしい。(私は規律だけはしっかり守っていたので指導を受けたことがない)

運行中は少しだけ楽…なのかなぁ。4時間単位の当直を交代制で1日2回やります。
当直は
0-4直:午前午後の0時〜4時まで 4-8直:午前午後の4時〜8時まで 8-0直:午前午後の8時〜0時まで の3部制で、例えば0-4直の場合、夜中の12時から未明4時まで当直したら、昼の12時までは自由時間で、昼12時から夕方4時までまた当直があるというわけです。

自由時間…つっても、やることなんてないんですよね。洋上は電波が届かないからネットもできないし、テレビも見れないし…この辺は私が学生だったころに比べるとマシにはなっているかもしれないけれど、娯楽がありません。これほんと。
仕方ないので筋トレするか、甲板をひたすらランニングするか、部屋で本でも読むか…私はひたすらシドニィ・シェルダンを読んでました。

閉鎖空間での楽しみは食事くらいなものなんですが、長い航海では腐るものを持ち運べません。
なので、食べ物は基本揚げ物。明らかに冷凍のやつ。おいしくない。そして飽きる。
し好品の類は船内にはありません。せいぜいインスタントコーヒーくらい。
でも、このコーヒーも砂糖もみんなの共有物なので一人でガバガバ飲むわけにはいきません。
私はコーヒーはミルクと砂糖アリアリ派でしたが、船を降りる頃にはブラック派になっていました。砂糖もミルクもないんだもん。

こんな風に娯楽もない世界では、人との交流が上手くできないとストレスがたまります。
私のような超絶ストイックなエリートボッチの修行僧メンタルの持ち主であれば娯楽や他者との交流が少なくても生きていけるでしょうが、普通メンタルのコミュ障なら病みます。たぶん。
ちなみに私の場合、娯楽や交流不足ではなく「周囲が規律を守らないことへのいら立ち」がストレスでした。ある意味、集団になじめなかったんです。

まぁ、ボンクは狭いし、生活は不便だし、匂いとか気温とか独特だし、場合によっては船酔いもするし…と、船での生活はストレスだらけですから「船の道に行きたくない」となるのもわかります。
私は「船員にピッタリ」と言われていたのですけど、同期へのいら立ちとストレスでメンタルが崩れ、結局中退しました。
そのころは融通が利かない性格だったんだなぁと今では思いますけどね…。

乗船実習は体力も精神力も必要です。
毎日家に帰れるフェリー乗務であれば体力も精神力もそれほど必要ないかもしれませんが、実習船では数か月単位の外洋乗務を想定しているため、かなりきついです。きつくしないと実務で死ぬからです。

合わなければ船を降りればよかっただけなんだけどなぁ…死ぬ必要なんてなかったのに。
と、降りちゃった私は思います。
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