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2017年08月20日00:52

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本当の比較は協定条文だけでなく、実際の運用も含め慎重に・・

という、実務家からの意見。もっともだ。

■江崎沖縄北方担当相の発言で注目 「日米地位協定」とは?
(THE PAGE - 08月19日 16:12)
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江崎沖縄北方担当相の発言で注目 「日米地位協定」とは? 98
2017年08月19日 16:12 THE PAGE
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写真[写真]2016年、米兵による女性暴行事件を受け沖縄で大規模な抗議集会が開かれた(ロイター/アフロ)
[写真]2016年、米兵による女性暴行事件を受け沖縄で大規模な抗議集会が開かれた(ロイター/アフロ)
 江崎鉄磨沖縄北方担当相が見直しに言及する発言をしたことで注目を集めた「日米地位協定」ですが、多くの米軍基地を抱える沖縄県が抜本的な改定を長く求めている問題でもあります。しばしば不平等な側面が指摘される地位協定は、日本の場合はまだ一度も改定されていないことも言われます。あらためて、地位協定とはどんなもので、どんな課題があるのかについて、元外交官の美根慶樹氏の解説です。

「日米安保」に合わせ締結
 日米地位協定とは、日米安全保障条約に基づき日本に駐留する米軍が使用する施設・区域、すなわち基地と、米軍の我が国における地位に関する日米両国の合意です。これがないと米軍は日本で行動することが実際上、困難になります。例えば、基地をどこに置くか決まっていなければ米軍の居場所はありません。宿舎についても決めなければ米軍人とその家族が住む所がありません。米軍が人を雇うにも、米軍人ではないので日本側との合意が必要になります。基地で使用する電気、水などをどちらが負担するのかも決めなければなりません。地位協定は日米安保条約を機能させるのに必要な取り決めです。

 現在の日米地位協定は、1960(昭和35)年に現在の日米安全保障条約が締結された際結ばれました。それ以前には、旧日米安全保障条約に基づく行政協定がありました。行政協定が結ばれた1952(昭和27)年は日本が独立を回復した年であり、日本政府の発言力は限られており、行政協定は不平等性が強かったと見られていました。

 地位協定は行政協定の内容をほぼそのまま承継したので問題があり、改正が必要だという意見がありますが、歴史的経緯には留意すべきでしょう。

 米軍基地の運営や米軍人の行動についてはさまざまな問題が発生しています。いわゆる「基地問題」であり、全国の米軍専用施設面積の約75%にのぼる米軍基地が集中している沖縄はとくに大きな苦痛を強いられています。沖縄県は、米軍基地の沖縄への集中の是正、住民の安全確保などのため地位協定の見直しを求め、また、日本各地と連携して基地問題を解決するため「全国行動プラン」を実施し、全国知事会で協力を呼びかけています。

 現実には、しかし、日米地位協定の改定は1回も実現していません。最近環境保護と米軍の「軍属(米軍に勤務する米国籍民間人など)」の範囲の縮小に関して追加の協定が結ばれましたが、いずれも「地位協定の補足協定」と位置付けられています。これらは実質的には協定の改定と言えるので、地位協定の改定が行われたことがないことにあまり大きな意味を持たせるのは適当でないでしょうが、地位協定の改定をしないことには歴代日本政府の弱い姿勢が象徴的に表れているという見方もあります。

地位協定の主な二つの課題
 代表的な問題を二つ見ていきましょう。

【基地の返還手続き】
 第1に、米軍基地の提供・返還に関する手続き・要件を地位協定は具体的に規定していないことです。基地として使用する場所の範囲や使用期間、条件などが明記されていないのです。そのため、返還を求める場合もどうすればそれが可能か、どういう条件を満たせば可能かはっきりせず、常に政治的な交渉になってしまいます。

 この問題についての日本政府・外務省の考えは公表されていません。地位協定は、行政協定で日本が提供した基地をそのまま継続して使用することとしている(2条1(b))ので、あらためて基地の提供について合意する必要はないという考えなのでしょう。その他の具体的な問題は日米双方の実務者から構成される合同委員会で対応策を協議し、合意していくという方針だと思われます。

【米軍人らの裁判権】
 第2に、地位協定は米軍・米軍人が日本の法令を順守すべきことを明記しています(第16条)が、実際にはそれが実行されていないことに強い不満があります。いわゆる裁判権の問題です。

 公務内と公務外を分ける必要があり、公務内であれば日本の法令は原則として適用されません。

 一方、公務外であれば日本の法令が適用されます、たとえば、米軍人が住民に暴行を加えた場合、日本の警察が現行犯逮捕等を行ったときには、それら被疑者の身柄は、米側ではなく、日本側が確保し続けます。

 しかし、被疑者は捕まる前に基地内に逃げ込むことがあり、その場合には、公訴が提起されるまで、米側が拘禁を行うこととされています。その間に被疑者が米国へ逃亡することもあります。1995年に沖縄で起こった米軍人による少女暴行事件の場合も控訴提起まで日本側に引き渡しされませんでした。後に日本で裁判にかけられ有罪が確定しましたが、極めて悪質で卑劣な行為であり、引き渡しが実現しないことは現地で大問題となりました。

 そのようなことでは住民の安全は確保できないので地位協定の改定を求める声が強くなります。

 しかし、政府・外務省は、前述したように、協定の改定でなく、米軍への直接の要望や合同委員会で解決を図ろうとしています。

他の敗戦国との比較
 日米地位協定はNATO諸国、とくに同じ敗戦国であったドイツやイタリアの場合と比較して改定を求められることもありますが、米軍人が犯罪を犯した場合の扱いは、日本の場合とドイツやイタリアの場合と基本的には同じです。ただ、NATOの場合は条約上米国と欧州諸国が平等の地位に置かれているのと違い、日米安保条約は実質的には片務的であり、日本は米本土を守る義務を負っていないので、そもそも平等ではありません。

 なお、ドイツの「ボン補足協定」と日米地位協定を比べると、前者は原則として重大犯罪についてドイツの裁判権を認めており、その意味ではドイツは同国の主権を米軍にも及ぼしていますが、他方、ドイツはその裁判権をほとんどすべての場合放棄しています(日本外務省の説明)。本当の比較は協定条文だけでなく、実際の運用も含め慎重に行う必要があります。

 日米安保体制は日本の安全保障の根幹であり、これを揺るがせることはできません。しかし、日本国民、沖縄の人々の安全を確保することもおろそかにできません。この両方の必要性を同時に満たすのは容易なことでありませんが、日本としては粘り強く交渉して米国の理解を求めていくことが必要です。

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■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹

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