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2017年08月19日07:29

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母よ、(Mia madre)


  「息子の部屋」のナンニ・モレッティ監督による自叙伝的作品で、母親の介護など、プライベートの難題を抱えながら、映画製作に取り組む女性映画監督を主人公に描いたドラマ。恋人とも別れ、娘の進路問題も抱え、兄とともに入院中の母親の世話をしている映画監督のマルゲリータ。撮影中の新作映画は、アメリカ人俳優バリー・バギンズが撮影に参加した途端、思うように撮影が進まなくなる。ストレスが募る中、追い討ちをかけるかのように、病院から母親の余命宣告を受けてしまう。主人公のマルゲリータ役を演じるのは「はじまりは5つ星ホテルから」などで知られ、モレッティ監督作品でも常連のマルゲリータ・ブイ。アメリカ俳優バリー・バギンズ役には「エクソダス:神と王」「ジゴロ・イン・ニューヨーク」のジョン・タトゥーロ。マルゲリータの兄役でモレッティ自身も出演。(映画.comより)







 ナンニ・モレッティは本当に人間ドラマが好きですね。元来コメディタッチのものが多かったように思うのですが、近年は深刻なものが多いですね。もちろん、そんな中にも彼らしいユーモアが散りばめてあったりするのですが。今回は社会で踏ん張って生きている女性が主人公ということで、身につまされるものがありました。何もかもがいっぱいいっぱいで、ストレスばかりが積もる。しかし、自分が前向きでないと悪循環するもので、どんどん物事がうまくいかなくなる。挙げ句の果てには「君はいつも不満の固まりで自分勝手な女だ」などと言われてしまう・・・。よほどにポジティヴな女性か、じっとうちにいるような女性でない限り、誰しも身に覚えがあるのではないでしょうか。

映画監督として、一度は成功を収めたマルゲリータ。しかし、芸術というのはそれを維持して行くのが難しい。今はスランプの時期なのです。社会派として鳴らした監督。そんなこともプレッシャーなのか、つい気難しい(?)作品を手がけてしまってます。もちろん、お気楽に見える映画でも難しさは同じなんでしょうけれど。恋人とも別れてしまったマルゲリータは、思春期の娘もいて、死期の近い母もいる。優しい兄もいて、彼は母の面倒を見るために仕事まで辞めている!テイクアウトの総菜を差し入れしようと持って行くと、兄が手作りの夕食をどっさり持ってきてるし・・・。思わず隠してしまいます。

誰もいない母の家と、自分の家を行ったり来たりして管理(様子見?)しているつもり。でも、悪いコトって必ず続きます。母の家のどこからか、水漏れ。なんで床が水浸し〜〜?もう・・・!思わずぞうきんや新聞紙を持ち出して・・・いや、業者を呼ぶのが先だった。夜だけど。

なんか、わかる〜。泣きそうなほどアセって、女ひとり。

そして、そうこう言いながらも、母の病状は悪化。余命も宣言されます。本人は落ち着いたもので、過去に慕われた教師だったこともあり、生徒は何人も訪ねて来てくれるし、マルゲリータの娘もおばあちゃんには心を許している様子。恋愛の相談なんかもしちゃってたりして。母はそばにいるのに、とマルゲリータは内心ムッとします。この辺は日本との文化の違い?私、娘の相談なんて面倒くさいからおばあちゃんが請け負ってくれたらラッキー!って思うけど(笑)。

そんな感じの悲喜こもごも。映画自体にドラマチックな展開があるわけではなく、家族模様が淡々と描かれます。でも、人生ってそんなもの。マルゲリータだって、”気難しくてやりづらい”と思い込んでいたイタリア系アメリカ人スター、ジョン・タトゥーロが、案外味のある人で心許せることに気がつくのです。あります、あります、こんなこと。私個人的には、程度の差はあれ”成功を収めている人”って、やっぱり凡人ではなくて、なにかし”わかっている”部分があればこそだと思うので、結構信頼しちゃいます。

親はいつか、いなくなる。往々にして、人生の一番忙しいときと重なるけれど。私もまだなので、わかったようなことは言えないけれど、どんな風に受け入れるのか。これは永遠のテーマかもしれません。

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