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2017年08月13日08:37

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シンプル・シモン(I RYMDEN FINNS INGA KANSLOR/SIMPLE SIMON)


 

第84回アカデミー賞外国語映画賞のスウェーデン代表に選出されたラブコメディー。他者とのコミュニケーションがうまく取れないアスペルガー症候群の青年が、自分のせいで恋人に振られた兄に新たなパートナーを見つけようと奮闘する姿を追い掛ける。メガホンを取るのは、本作で長編映画デビューを飾った新鋭アンドレアス・エーマン。主演は、ステラン・スカルスガルドの息子ビル・スカルスガルド。ハートウオーミングなストーリーもさることながら、北欧ならではのかわいらしいファッションやインテリアも見もの。(シネマトゥディより)





 カラフルで素敵な映画でしたね。同じテーマを扱っても、日本で作るともっと深刻な仕上がりになると思うのです。それはそれで、真面目な民族性は素晴らしいことだと思うのですが、主人公を取り巻く環境を見るにつけ、日本とはだいぶ違うなぁ、としみじみ思うわけです。

アスペルガー症候群のシモンは、物理は得意だけれど人の感情がわからない。家には手作りのドラム缶。この「ドラム式宇宙船」に一度引きこもると、なかなか出てこれません。そんなとき、両親はいろいろ試みるのですが、シモンは頑として出てきません。そんなときは、お兄ちゃんのサムの出番です。こちらから宇宙へ、「プゥープゥープゥ。どうぞ」と言って通信を試みるのです。すると、宇宙の彼方から返信があります。

と、こんな感じの世界です。日本と違うなぁ、と思うのは、なぜかみんなのんびりしていて、両親もまだお若いと思うのに、なんか家にいるのと、サムも、弟になにかあるとすぐ職場を抜け出して駆けつけるところです。それはまるで「テッド」のマーク・ウォールバーグのよう。どんなたぐいの仕事をしているのか知らないけれど、のんびりしたお国柄です。「君はクビだ。明日から来なくてよろしい」なんてもんです、日本では。

サムは、恋人とアパートを借りて新生活を始めるのですが、そこにはシモンが同居。しかし、シモンは毎日の自分のペースを乱されるとパニックになる、人に触られることに耐えられないから「僕はアスペルガーです、触らないでください」というバッチをつけている、など融通のきかない生活で、ほどなく彼女は出て行ってしまいます。そのためにサムは落ち込み、自分のペースを乱されたシモンは、お兄ちゃんに似合った彼女を捜すために奮闘することになります。ここは、あくまで「自分のため」なのです。サムがかわいそうだから、じゃないんです。

でも、物事を物理的にしか考えられないシモンは、兄を分析して完璧な女性を探そうとしたり、逆に「正反対のほうが惹かれる」と聞けば真・正反対の人を真剣に探したり。なかなかうまくいきません。でも、シモンに悪意はありません。一生懸命なのです。そんなこんなで、彼のペースに巻き込まれてくれる女性も現れます。なんかわかる気がしますね。どこかへ行く途中でも「ま、いっか」って、シモンにつきあってくれて気にしない女性。つい肩や腕に触れてしまうたびに「触るなって言ってるだろ」って、突き飛ばされて池にはまってもめげない女性。最高ですね。ちょっと憧れます、自分がギスギスしてるので。

北欧らしい、カラフルな画と心優しい物語。シモンと一緒に住むのは、やっぱり大変そうだけど、でもこの国でなら生きてゆけそう。素敵だな〜って思える映画でした。

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