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2017年08月11日10:38

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ラクサンポ10

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。

町の中を歩く川口、独り言を言っている。
「ああ、まずは自分がなにをしたいのか、わからないのに。できないことがあると、全部発達障害の性にするのはおかしいな。俺もなにをやったら、わからなかったから、苦労したな。公務員になりたくても、ペーパー試験に弱かったし。就職試験は50社ぐらい受けたけど、全部不採用だったので、フリーターになってしまった。大検の予備校講師になったのも、運がよかっただけだし。あれ以来、正社員の口は見つからない。自分一人、なんとか、食べられるだけだ」

二人ずれが川口の近くを通った。会社の休み時間のようだ。

男(1)
「ついてないな。又残業か。ブラック企業っていうけど。うちのこといっているなかな」

女(1)
「土日、働かなくて、すむだけでもましね。だけで、転職したって、給与が上がるわけでもない。ローンが残っているから、しばらくここに居るわよ」

男(1)
「俺、そろそろ考えるわ。又、履歴書、書くのは面倒だから」

川口
「わかる。わかる。履歴書が書くのは面倒だしな。一般のサラリーマンも悩んでいるんだな」

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