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2017年08月09日00:25

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教官経験者曰く、民間企業での『軍隊式研修』は百害あって一理なし

■「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論
(弁護士ドットコム - 08月08日 19:13)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=149&from=diary&id=4708356防大・自衛隊幹部時代に、民間企業から『幹部養成の研修』『集団生活での規律や団結心習得』等の名目で、体験入隊を引き受けた経験が2、3度あります。
1日のものと4日間のものでしたが、陸上自衛隊の宿舎で起床、点呼(整列して並ぶ人員チェック)、号令調整(部隊の皆に大声で命令を発声する)、各個動作、集団動作、ランニングなどをスケジュール通りするものです。

聞いたことあるような無いような企業の、幹部や幹部候補の『おじさん』。
一応、自衛隊の作業服(戦闘服)・半長靴・ライナー(ヘルメット)などを着用させますが、並び方、着こなし、姿勢、動作・・・すべて素人です。
社長命令で研修に参加してるのですが、やる気の無いのが若造の私にも分かります。

私『1列縦隊! 集まれ!』と号令を掛けて、一応、教えた台本通りに集まってくれますが、自衛隊に入隊したばかりの3士の動作の片鱗にも及びません。
彼らにしてみれば、幼稚園児の『前へならえ!』と言って集まるのと同じ感覚でしょう。
私『番号!・・・始め!』
おじさん達『1!2!3!・・・12!』
私『今の番号をもって、各人の固有番号とし、爾後の矯正は固有番号をもって行う!』
(中略・・・)
私『4番!手の甲を上に!』・・・『7番!私語をするな!』『回れー右!・・・9番、軸足を動かさない!』等。
みんなで隊列組んで、駆け足。
正直、民間人の体験入隊ごときで、自衛隊の正式なランニングなんてさせません。
自衛隊のランニング(ハイポート)は、誰かが脱落したりぶっ倒れるギリギリまで追い詰めるものです。自衛隊の場合、自分の限界、部隊の限界まで追い詰め、そこから、『みんなで切り抜けよう』とさせることが主目的なので、民間人の体験入隊と走り方も全く違います。
つまり、体験入隊のは単なるランニング。
中年以上のおっさんが多いので、駐屯地(敷地内)を1周すらさせません。
宿泊する場合、ベッドメイキングを教え、食事・就寝の要領を教えます。

あっ、自衛隊側目線で言わせてもらうと、教える教官は、LP(レッスンプラン)と呼ばれる教育計画書を作成し、上官に提出して許可をもらいます。
(そちらのほうが、しんどいです)
私『入ります!○○3等陸尉は△△中隊長にLP提出に参りました!』と敬礼して入室。
S中隊長『これ、かなり過密だけど、熱中症とかで具合が悪くなった人が出たらどうすんだ?もう少し時間配分を考えて、やりなおし!』
・・・・・。

話しを元に戻しますが、こんな言動、言葉使い、動作の研修内容・・・果たして民間企業で出くわしますでしょうか?
『3歩以上は駆け足!手はグー、腰の位置!』・・・そんな姿で上司やお客様に駆け寄る企業があるでしょうか?
つまり、体験入隊など、自衛隊などの軍隊式研修では、技術的なものもビジネステクニックも全く無縁です。
百歩譲って、精神的に得るものがあるでしょうか?・・・

自衛隊や体育会系で何年か集団生活して培うものと、わずか数日社長命令で『集団生活ごっこ』していたものとは、まったく異質です。

実際に自衛隊や体育会系で集団生活する場合、私利私欲は存在せず共通の目的があります。
共通の目的がありながらも、ゴール(終わり)はいつ・どこか分かりません。仲間との軋轢・調整・衝突・妥協・無意味なカオスのなか、最優先とする共通の目的のため、そんななかで生活します。
しかし、社長命令の『集団生活ごっこ』はあくまで『会社、社長のため』のカリキュラムです。
決められた日数・時間で自動的に終わります。終わったあと、再び日常に戻る現実。
会社勤めですから、社長の期待に応える、悪い評価で終わらせたくない気持ちが最優先に作用します。
時間の限られた集団生活で『良い方向で目立つ』には『声が大きいこと』のみ。
自衛隊や体育会系のように何年も一緒に生活するならば、当然、助け合いや相手への気配りも分かるようになりますが、わずか1日や数日の研修では、声が大きく『頑張ってるように見える』『みんなを励ます声を掛けてる』などの【スタンドプレー】しか目立ちません。

そんな『スタンドプレー』しか出来ない者が、幹部として、人の気持ちが分かり、人を育て、組織を取り巻く状況判断ができるでしょうか?
『オレはこんなに頑張ってるぞ! みんな頑張れ!』と社長の前で声高にあげ、声高に返事する者のみ評価される組織・・・、軍隊以前に組織として、単なる社長をヨイショする『太鼓もち』集団です。
プレゼンの要領なんて、本にいくらでも書いており、ちょっと声が大きく、要領を得れば、『さも、大勢のなかで自分のロジックを説明してる』ように錯覚します。

本当の集団生活の真髄を分かりもせず、『集団生活ごっこ』でビジネスする会社と、そんな紛い物会社にカネを出す阿呆な会社。
結果は自明の理でしたね。








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