Bright Step 2017

2017/7/30日 18:00- 新宿文化センター大ホール

バレエ・スプリームBプロを観た後、その足でこちらの公演を観てまいりました。ダンサーの自主公演なのに、あの広いホールの1階席は9割くらいの入りの盛況。凄いことですね。

この公演自体は今回が3回目だそうです。私は去年から見に来てます。

◆海賊　第1幕より　オダリスク
淵上礼奈、寺田翠、大谷遥陽

◆海賊　第1幕より　奴隷のグラン・パ・ド・ドゥ
菅井円加、関野海斗

◆Mononoke
振付：シディ・ラルビ・シェルカウイ
加藤三希央

◆Buddy
振付：西島勇人
大川航矢、西島勇人

◆ラ・シルフィード　第2幕より　グラン・パ・ド・ドゥ
北野友里夏、高橋裕哉

◆ゼンツァーノの花祭り　より　グラン・パ・ド・ドゥ
淵上礼奈、福田昴平

◆Puppet
振付：山本勝利
山本勝利

◆ロミオとジュリエット　より　寝室のパ・ド・ドゥ
振付：ジョヴァンニ・ディ・パルマ
石崎双葉、高橋裕哉

◆グラン・パ・クラシック　より　グラン・パ・ド・ドゥ
奥村彩、加藤三希央

◆said and done
振付：Masa Kolar
菅井円加、西島勇人

◆タリスマン　より　グラン・パ・ドドゥ
寺田翠、大川航矢


多くの方にとって一番印象的だったダンサーは、菅井円加さんだったのではないかしら。彼女の素晴らしさは、ジャンプが高いとか体幹が強いとか連続フェッテは全部2回以上だったとか、そういうことではなくて、その強いテクニックに裏付けされた演技力だと思います。今回も、なぜに円加ちゃんが海賊の奴隷のパドドゥを踊らなくちゃいけないのさ、と思っていたのですが、売りに出された自分の運命を哀しむ一人の女性のドラマをあの短時間で観客に感じさせたことに驚愕。先日観たENBの海賊はよかったけど、あのときの奴隷のパドドゥにここまで意味を込めてたダンサーはいなかった。いや本当に凄いダンサーです・・・。後半の彼女のコンテンポラリーも、音の取り方が本当に気持ちよくて、そして、明確なストーリーは分からないながらも、何か人間のドラマを感じさせるところがあって目が離せませんでした。この若さであの完成度、末恐ろしい人だわ。この先が楽しみ。ご贔屓のハンブルクバレエで彼女の成長を今後も見られるのは幸運なことです。

個人的には、元ハンブルクの石崎双葉さんの踊りを久々に観られたのがとても嬉しかった。ディ・パルマのロミジュリ、リフトが多くてなかなか難しい作品ですね。テクニック重視の今回のプログラムの中で彼らの踊った作品は大人っぽくてストーリー性があり、二人に準備の時間が十分でなかったであろうにせよ、とてもよかったと思います。彼女は、キャラクター性があって踊りでストーリーを語れるダンサー。来シーズンからはハンガリー国立バレエに移籍するとのこと、新天地での活躍を心から祈っています。

加藤さんのMononoke、横浜バレエフェスで観たときもとても面白いと思ったのですが、やっぱり好きだなーこの作品。彼も、シェルカウイのあの粘っこい難しい動きを、自分なりによく咀嚼してるなと感心します。おどろおどろしいのにどこかコミカル、オリエンタルだけど完全に和じゃない。そしてあの音楽が絶妙にいい。何度も言うけどシェルカウイの作品って本当に大好き。

大川さんと寺田さんは、ロシアのコンクールでの受賞が大きく報道されて、一躍有名人になりましたね。彼らは昨年も出ている常連さんですが、自信もついたのか、更に堂々とした感じがしました。大川さんには、このテクニックを大切にしながら大人っぽいノーブルさを身に付けてもらって芸術的な高みを目指し、素敵な王子を踊れるようなダンサーになってもらえないかしら、と期待したくなります。

主宰の西島さん。何から何まで自分達でやらなくちゃならなくて、本当に大変だったと思います。お疲れ様でした。彼の、円加ちゃんと踊ったコンテはなかなかよくて、ああ雰囲気あるものを踊れる懐の深い人なのだなと。あと北野さんのシルフィードも、丁寧な踊りで好感を持ちました。

昨年から引き続き出演しているメンバーの成長が分かったりしてなかなか面白いこの公演。昨年のような小さいホールならあくまで知人を中心とした観衆＋αだけど、今回はより公演らしくなっていて、そうすると相応しい演目も変わってくるなという実感も。やはり、実績ある振付家の作品と、そうでない人の作品は、力が違う。次回はもっと大きいホールでの開催を予定しているとのこと、是非そのあたりを考慮して公演自体としても進化してくれるといいな！

Bright Step 2016の感想はこちら。
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