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2017年08月02日22:58

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7月の読書記録

先月上旬は引越しのため、読書が進まず。引越し後挽回しようと思ったのだけれど、イヴェントが続いたり、引越しの疲れが出たり、急遽職員に欠員が出たりで、結局今年最低の読書量になってしまった。ただ、それでもナイスが百を超えたのはうれしいけれど。今月はなるべく読書にいそしむようにしよう。

2017年7月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3392ページ
ナイス数:131ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■レクイエム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
解説にもあるが、先に読んだ『インド〜』に連なる作風。一日本人としては、イタリア人でありながら、ポルトガルに憧れ、その国を舞台にした小説を書くというのが、どうもピンとこないが、本書を読むと、確かに何かがあるのだな…と思わせる。そして、夢と現実が重なり合ったような言語世界はやはり作者ならでは。主人公が旅先で出会う人には、死者も含まれており、それが余計に本書の印象を深いものにする。個人的には父親との邂逅がとりわけ心に残ったか。それと灯台でのエピソードも独特の味わいがあった。灯台には象徴的な意味がある気が…
読了日:07月24日 著者:アントニオ タブッキ
https://bookmeter.com/books/510835

■シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)
冒頭でやたら人が出てくるので、若干ひるんだが、やがて会話のテンポの良さに惹かれてほぼ一気に読了。一見闊達で男気にあふれた好人物であるシラノが見せる繊細さ、気弱さ、卓抜した文才、それに同性愛的志向が巧みに描かれているのが印象的。また、持ち前の反骨精神と不器用さ故、出世から見放されるという顛末には心が痛んだ。類稀な能力がありながら、浮かばれない人物というのは、いかにも日本人好みだな…と思っていたら、実際日本ならではの受容の経緯があるとのこと。さもありなん。実際に舞台化されたこの作品を観てみたい気がする。
読了日:07月23日 著者:エドモン ロスタン
https://bookmeter.com/books/76731

■アミダクジ式ゴトウメイセイ【対談篇】
対談集ということで、サクサク読み終えるかと思いきや、想定外のヴォリュームと内容で、手身近な感想でまとめるなどとても無理。ただ、とりわけ印象的だったのは、二葉亭四迷への言及がかなり多いこと。その名前と言文一致という業績だけが取りざたにされがちなこの作家に新たな光が当てられる縁となるかも?後、後藤が近大で行っていたという講義のエピソードが興味深い。文学離れが著しい昨今にあっても、素材を提示すれば食らいついてくる学生は恐らく今でも少なからずいるのだろう。古井由吉との対談が収録されていないのが個人的に残念だった。
読了日:07月21日 著者:後藤 明生
https://bookmeter.com/books/11890026

■インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
百数十頁程の小品ではあるが、その内容は非常に豊穣にして濃厚。インドという未知の国の情景が、文章を通して鮮やかに頭の中で映し出される気がする。それと同時にカフカを思わせる迷宮的世界、ラストでのどんでん返しであるのと同時に更なる謎かけと不思議な余韻を読者に与える展開も見事。また、インドだけでなく、世界の様々な国の要素が巧みに織り込まれており、著者のコスモポリタン的要素が如実に感じられる。個人的には訳者解説でも言及されている肉体的障害のある占い師の兄を背負った少年と主人公とのエピソードがとりわけ心に残ったか。
読了日:07月16日 著者:アントニオ タブッキ
https://bookmeter.com/books/524716

■プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)
プロテスタンティズムという言葉で一口に括られてしまうが、ただ多種多様というだけではなく、宗派によっては、真逆と言っていいほどの様相を呈する事実に驚かされる。また、元来正統派に対するカウンターとして出てきたルター派が長い歴史の中で保守派に回り、新たなカウンターが出てくるという流れには、なんとも言えない皮肉を感じる。それはそうと、神学という立場からではなく、社会学という立場からプロテスタンティズムを論じた書というのは、意外に少なくその点で新鮮だった。ただ、ある程度キリスト教の素養がないと理解が難しいかも。
読了日:07月15日 著者:深井 智朗
https://bookmeter.com/books/11556770

■供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
須賀敦子訳ということで手に取ったが、思いがけず引き込まれてほぼ一気に読了。かつては名編集者だったが、今はある程度有能ではあるが、かなりしょぼくれたオヤジ感が漂う主人公ペレイラの描写が、つい自分を重ねてしまうこともあってか、何とも言えず心にしみる。心臓に疾患を抱えながらもオムレツとレモネードについ執着してしまうというのも、情けなくていい(笑)。そして作品中何度も繰り返され、タイトルにもなっている「供述によると…」というフレーズは作品のラストのその後も暗示しているが、最終的な判断は読者に委ねられていると思う。
読了日:07月15日 著者:アントニオ タブッキ
https://bookmeter.com/books/534951

■菜根譚―中国の処世訓 (中公新書)
佐藤優氏が処世術の書として勧めていたので読んでみた。てっきり同期を出し抜くとか、上司に取り入る…という類のことが書かれているのかと思ったが、その思想の根幹にあるのが中庸ということで、実に良い意味での常識…それも昨今では殆ど忘れられているそれが書かれていたので、かなりびっくり。と同時に「うんうん、本当にそうだよな」と納得させられることしきり。一見、効率を求めているかのようで、長い目で見れば、実は非効率的なことばかりが罷り通る昨今において、本書に書かれている教えは非常に示唆的。今度は原作の方を読みたくなった。
読了日:07月13日 著者:湯浅 邦弘
https://bookmeter.com/books/400029

■デヴィッド・ボウイ: 変幻するカルト・スター (ちくま新書1234)
二百数十頁という限られた紙幅でボウイの全キャリアを手堅く纏めたということで、彼の生涯を概観するのに便利だけれど、ある程度ボウイのことを知っている者からすると、やや新味に欠けるというか食い足りなさを覚えるのも確か。著者自身がいわば後追い世代に属するためか、60年代から70年代の熱気がリアルに伝わってこないのが、その主な原因か?それと個人的にはボウイに多大な影響を与えた異父兄とのエピソードを深く取り上げていないのが不満。ただ、巻末にフーのピート・タウンゼントとのエピソードが綴られているのは嬉しかったけど。
読了日:07月11日 著者:野中 モモ
https://bookmeter.com/books/11259387

■キリスト教は役に立つか (新潮選書)
やや挑発的なタイトルに身構えてしまいそうになるが、繙いてみれば、平易かつ含蓄のあるエッセイ集という趣で、一気に読めてしまう。ただ、その平易な語り口に惹かれてさっと読み通すだけではあまりにも惜しい多くの知見がちりばめられているのを忘れてはいけない。つい即物的、効率的なやり方に流れがちな昨今にあって、いわばその対極にあるというべきキリスト教に触れることの意義が本書から強く伝わってくる。それも決して強引なやり方ではなく、広く浅い所からジワジワと伝わってくる感じ。日本におけるいわば理想的な宣教のありかたかも?
読了日:07月10日 著者:来住 英俊
https://bookmeter.com/books/11685133

■統合失調症あるいは精神分裂病 精神医学の虚実 (講談社学術文庫)
以前単行本で読了したものを文庫版にて再読。最初読んだときは心地よかったべらんめえ口調が今回はちょっとくどく感じたな(笑)。それはともかくとして、理屈より臨床ありきという著者のスタンスには改めて好感を抱いた。また、分裂症から失調症へと呼び名が変わったことにある程度の意義を認めながらも、あえて分裂症という言葉を使うところに著者ならではの拘りを感じる。それとかつて一部で持て囃された、分裂症を神聖視するような思的潮流への苦言にも考えさせられるものがあった。そして、やはり現状がなかなか変わらないという事実が重い。
読了日:07月08日 著者:計見 一雄
https://bookmeter.com/books/11564927

■夜行
謎が謎を呼び、結局肝心なところは解決されないまま、宙ぶらりんになった状態で終わった感が…それがまた独特の余韻を残す所が妙味でもある。一読して印象的だったのは、これまでにない円熟味を感じさせる文体。ちょっと純文学の香りが…と思ったのは僕だけか?個人的に最も「あれれ?」だったのは奥飛騨篇か。微妙な問題を抱えた人間同士の旅行の描写には、若干息がつまる思いがしたが、その緊迫した話の顛末には若干拍子抜け。そして最後の最後には『猿の惑星(?)』的などんでん返しにはど肝を抜かれた感が。この辺りは著者の真骨頂かも。
読了日:07月07日 著者:森見 登美彦
https://bookmeter.com/books/11182143

■たとえ世界が終わっても ──その先の日本を生きる君たちへ (集英社新書)
日本の論壇はなぜ橋本治を黙殺し続けるのだろう?ふとそんなことを思わされた。多くの読者を持ち、その発言はそれなりの影響力を持っている筈なのに、左右両方の論客が氏の言説を取りざたにするのはあまりに少ないように思われる。それだけ、氏の言説がラディカルということなのだろうか?二百数十頁という紙幅が信じられないくらいの豊富な内容。そして、その中でほぼ一貫して、経済成長のあり方に疑問符をつける氏のスタンスには共感するところ大。殆ど誰もが疑わず前提としている経済成長の行き着く先は何か?その問いの意味はますます重くなる。
読了日:07月06日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/11519980


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