拉致被害者家族が朝鮮学校無償化に賛成だというデマ

■【朝鮮学校無償化判決】「敬愛する金正日将軍様を…」独裁礼賛の教育に「自主性」あるか　　
(産経新聞 - 07月29日 08:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=3&from=diary&id=4691948

■朝鮮学校無償化に反発＝地裁判決で拉致被害者家族ら
(時事通信社 - 07月28日 22:00)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4691595

■社説［朝鮮学校無償化判決］「政治介入」への警鐘だ
(沖縄タイムス ‐ 2017年7月30日 09:34)
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/120334

　北のミサイルが発射されたことで、Ｔｗｉｔｔｅｒで大阪勝訴万歳を唱えていた人々も少し大人しくなった印象があるが、やはり、沖縄タイムスのように、「無償化は当然」と主張する「人権派」の方々がいらっしゃる。
　噴飯ものなのは、拉致被害者家族の名前を出して、「○○さんも政治と教育は無関係だとして、朝鮮学校の無償化に賛成している」というデマを流している人がいることで、これにまんまと騙されてツイートを拡散している人もいるのである。
　そのデマは三、四年前からずっと広められていたもので、張本人はジャーナリストの有田芳生である。

有田芳生‏　@aritayoshifu
> 高校の無償化に〇〇さんが賛成していることは周知の事実。拉致問題とは切り離すべきとの判断だからだ。家族会でも反対ですべてが一致しているわけでもない。在特会が拉致デモに入り「朝鮮人を東京湾に沈めろ」と叫んだことにも横田さんは怒った。この思いを広げるのは私の義務であり責任である。
2013年5月4日

　ところがこの発言が○○さんの発言を曲解したものであったことがすぐに露見して突っ込まれた。記事元はとうに閲覧期間が過ぎているので孫引きになるが、有田氏が根拠とした○○氏の意見とは、「正しい教育はすべきですが、教育と拉致は別問題。朝鮮学校で子どもが教育を受けているわけで、そこは文部科学省がきちんとした対応をしてほしいのです」というもの。
　さらに○○氏は、文部科学部会と拉致問題対策特別委員会の合同会議で「誤った教育をしているところに補助金を出すのは将来に禍根を残す」と明確に反対意見を表明している。
　つまり、○○氏は、「北朝鮮が正しい教育をしているなら、補助金を出すのもよかろうが、そうじゃないんだから、無償化には反対」と言っているわけで、有田芳生の捉え方は牽強付会、我田引水にもほどがある、ということになる。
　今回の大阪勝訴に際しても、拉致被害者の会のメンバーの多くが反対意見を表明しているのは、時事通信社が伝えている通り。つまり有田氏のツイートはとっくの昔にデマだということがバレてしまっているのだ。なのにそれが復活して今また拡散されているのは、拡散者たちに「政治的意図」があるからだと判断するしかないだろう。

　沖縄タイムスは大阪勝訴を妥当とし、さかんに「教育に対する行政の過度な介入」を戒めよと主張するが、問題の争点となっているのはまさしく「北朝鮮による行政の過度な介入が朝鮮学校の教育において行われている」ということではないか。教育と政治が分離されるべきというのは民主主義の根幹であり、拉致被害者の家族もその視点に基づいて発言している。沖縄タイムスの基本理念も同じならば、まずは朝鮮学校と総連、北朝鮮との関係を絶ち、北の思想教育を行わないことを前提にしなければならないのではないか。
　ところが沖縄タイムスは、広島敗訴に関して「広島地裁は朝鮮学校と朝鮮総連の関係について国の主張を追認するが、もし仮にそうであったとしても両者の関係をただせばいいだけの話だ。生徒に対する支援とは切り離して考えるべき問題ではないか」と本末転倒なことを述べるのである。だからその関係が正されてないから、朝鮮学校がマットウな学校だと見なされずに支援できないって話になってるんじゃないの。支援するから、金正恩マンセーはやめてね、と言われて、朝鮮学校が思想教育を止めるのかね。

　朝鮮学校への非難に、差別意識が混じっていることは否定できないと思う。ヘイトスピーチを平然と撒き散らしている連中は、仮に朝鮮学校が思想教育は行いません、北とも総連とも縁を切ります、と言ったとしても、やっぱり「北へ帰れ」を繰り返すだろうから。朝鮮学校の生徒たちも、視点を変えれば思想教育の被害者なのであって、彼らを本当に「差別しない」のであれば、彼らをいかに救済すべきか、北の「洗脳」の軛から開放するか、その方策を考えてみてもいいはずである。ところが誰もそのようなことは言いださない。そこに根深い差別感情があることは間違いがないのだ。
　もちろん「洗脳」されてしまっていてる朝鮮学校の生徒たちが、「全世界を敵視するような北の教育は間違っているんだよ」と言ったところで、簡単に信じることはないだろう。けれども、朝鮮学校のありようを変えていかなければ、日本人の中に生まれている差別感情を解消することもできないのである。国の責務は、無償化排除だけで終わっていいことではない。彼らを北のスパイにしない、北の思想に染まらせない、そのための施策を行うのが急務なのではないか。
　一番いいのは、朝鮮学校を全て廃校にして、普通高校にしちゃえばいいと思うんだがね。ハングルが学びたければ私塾を作ればいいことで。それができないのは、政府が北べったりで「拉致なんてないよ」と言ってた時代の名残が既得権益になっちゃってるせいなんだろうけどさ、そろそろもう、正式な国交を持てそうもない国の教育機関が国内にあることの矛盾について、真面目に考え直して方がいい時期に来てると思うよ。