問題点

この件に関しては飽くまでも「首相がその地位を私して特定の団体に利益を供与しようとしたか」が政権追及の問題点となる訳だが、どうも脱線が甚だしい感じがする。

ベン図を描いてみれば分かるが、



1. 加計ありきだったか否かは上記論点の必要条件であって十分条件ではない。

2. 同様に、首相が加計学園が獣医学部新設に向けて政府や地方自治体と何らかのやり取りをしていることを把握していたか否かも必要条件であって十分条件ではない。

3. 愛媛県あるいは今治市がずっと前から加計学園とともに獣医学部誘致/新設に向けて動いていたかに関しては、首相の関与を否定する根拠にはならない。



首相を追及する側が主に詰めている1. 2.に関しては、確かにそれを立証できれば疑問の余地を一歩狭められるとは思う。

ただ、それでも首相がそこに関与したという根拠がなくては、行政のシステムに問題があったか否かの問題であって首相の政治家としての資質を問う話にはならない。

（行政のシステム上の問題はそれはそれで改善の必要な大きな問題たりうるが、民進党などの追及の仕方を見ているとどうも首相のほうばかり見ているようで、そこに向かっている感じがしない）



一方、政権側が出してきた3.に関しても、安倍首相の就任以前から愛媛今治-加計ラインで話が持ち上がっていたとしても、その経過において首相が「他の学校ではなく加計でなくてはならない。他に先を越される前に加計で話を進めよ」と指示したのであればそれは地位を私する行為な訳で、問題なしとは言えない。



という訳で首相の責任（説明責任はまた別の話だが、説明責任だけでは首相の進退を問うことはできまい）を議論する場合、飽くまでも「官邸の最高レベルが言っている」文書の意味するところ、あるいは他に首相の関与を示す証拠の有無がカギとなる訳で、penumbraであれこれやっても一向に話は進まないと思う。

システム上の議論だったら、むしろ首相周りのほうがpenumbraになるので、半端にそこを目指すのではなくきっちり問題点の洗い出しと解決策の検討をやって頂きたい。

この辺、今回のこの国会中ならびに閉会中審査については捨ておかれているように見えて気にくわない。政権の対応は不誠実だとは思うが、追及する側にはあなたがたこの国の問題を解決する気でやっていないだろうとそのあり方に不満を覚える。



なお私見を言うと、加計ありきではあったのだと思うよ。政権側としてはそれを否定する根拠を出せば首相の疑惑は必要条件から否定されるので一発解決であるところ、それをしていない。恐らく否定できないのだろう。

ただ、加計が古くから愛媛今治とともに陳情した結果、まず用意できそうなのが加計という話ならば加計ありきであることには何の問題もない（上述のように、それは途中経過における首相の関与を否定しうるものでは全くない）

パブリックコメント前の内定だったということに関しても、愛媛今治-加計の陳情を受けて話を進めつつ、世間の意見を求めることに何の問題もない。

一方獣医師会が言うように、「京都など他に先を越される前に加計での開設を実現に漕ぎ着ける」という首相なり内閣なりの意向があったのであればそれは他の学校に対して不公正な訳で、ここは詰めるポイントになると思うが。



だらだらと書いたが、私の意見を纏めると、

「寄り道せんと問題点を目指して話を進めてくれ」
「国を良くしたいと思って解決するつもりでやってくれ」

ということ。
議員も決して遊んでいる訳ではないし、他の問題に関してはきちんと話を進めているが、これに関しては無駄に回り道をしすぎて労力も費用も浪費しているように見える。


■安倍首相「加計の計画承知せず」＝民進は矛盾追及―参院閉会中審査
(時事通信社 - 07月25日 11:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4684642