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2017年07月21日01:35

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丁寧だけどコレジャナイ感が……「パワーレンジャー」を観た!

 タイトルからアレですが、どうにも観た後のモヤモヤ感が拭えず、甘々とベタ褒めが信条の私目としては久々に批判がちの感想となります。ネタバレあるよ!

●パワーレンジャー(吹き替え)


1・What is パワーレンジャー?

 海外版スーパー戦隊の映画化……と書けば単純だが、そのルーツはかなり独特で、最初は日本の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」を海外へと輸出。その際戦闘シーンは日本の映像を流用し、ドラマパートのみ海外で撮り直すという手法が取られた。それが海外でバカ受けし、以降も同じ手法によりシリーズの製作が続き、現在ニンニンジャーが放映中とか。

 で、初代パワーレンジャーはモチーフこそジュウレンジャーだが、ドラマはアメリカの学園モノがベースとなっており、「ビバリーヒルズ白書with戦隊バトル」といった不思議なフォーマットになっている。日本だと今ニコニコで配信中のメガレンジャーに近い感じだろうか。ただメガレンは日本の高校なのでもっと親近感のあるテーマだが。

 それを踏まえて、今回の映画版は「日本のスーパー戦隊をハリウッド映画化!」というよりは「初代パワーレンジャーをリメイク」の方が正しいので、ニチアサのノリを期待して観に行くとちょっと違和感強いので注意してほしい。


2・5人の力が今(やっと)目覚める!

 舞台はアメリカの田舎、エンジェルグローブ(ググっても出てこないので多分架空の町)。その高校の補習科では問題児とされる生徒たちが集い、鬱屈した日々を過ごしていた。そんな5人がふとした事から発掘現場に集い、そこで不思議な力を秘めたコインを手に入れる……。

 と、能力の覚醒(コイン入手)自体は割と早いのですが、その前後にキャラ5人の掘り下げがあって、それが「分かったから早く!」って感じで、アクションを期待するほどじらされるパートとなっています。悩める一般人が紆余曲折経て等身大のヒーローへと変貌するってのはアメコミでもおなじみですが、それを5人分やらなきゃいけないのが戦隊もののネックですね。1人ぐらい悩みない奴混ぜりゃ良かったのに……。

 あとは秘密基地に戦闘訓練など、一応通るべき道は通っているのですが、肝心の変身が「心を通わせないとダメ」というぶっつけ本番形式なので、前述したドラマパートと合わせてじらされ感がより加速します。ダンクーガかよ!

 ついでにもう一つ、ここまでドラマを掘り下げていた割には、冒頭の主人公(赤)がバカをやってアメフトクビになった理由がよく分からないのがアレ? って思いました。


3・敵は強大(でも一人)だ! 地球(アメリカの片田舎)の平和を守れ!

 敵はジュウレンジャーでいう女王バンドーラに該当する「リタ」。かつてパワーレンジャーの一員(緑)であり、力を追い求めるあまり裏切った魔女である。その力は強大で地球に害をなす巨悪なのだが、まず力を復活させるために町中の金を片っ端から奪いにかかる。好意的に見れば特撮特有の「世界征服のための回りくどい作戦」とも取れなくはないが、それにしても田舎の宝石店襲ったり、ちょっとスケール小さすぎやしません?

 と思ったのだが、これはよくよく考えたら通常の戦隊の場合、こういう小賢しい作戦は配下の怪人が担当するものであって、ボスは「面白い! やれ!」とけしかける係である。残念ながら今回は悪役が一人しかいないので、こういう草の根運動を自分でやらなくちゃいけないのである。

 でも、それはそれで部下がいなくても「現地人を洗脳して悪事を働かせる」とかやりようがあったと思うし、幹部クラスが自分だけなので、結果としてバトルが最終決戦だけになってしまっているのが非常に勿体ない。「町で暴れる怪人→パワーレンジャー発出動→見事撃退」があれば、アクションパート増やせたのに……。


4・これは戦隊式ですか? いいえハリウッド式です

 肝心の戦闘については、CGバリバリだしメカもガチャガチャ動くしで、日本と違ってかなり予算のかかったものだが、「戦隊」を念頭に置いて観るとどうしても引っかかってしまう部分が多かった。以下思った事。

・名乗りがない
・ザコが妙にでかいゴーレム兵(つかみ合いができない)
・ザコ戦闘がすぐ終わる
・変身後のレンジャーVS幹部の肉弾戦がない
・赤がソードを出す以外武器が出てこない(せめて光線銃を撃ってほしかった)
・恐竜メカの黒がマンモスじゃない(謎の多脚生物)
・合体シーンが誤魔化されている(バンク見せろや)
・メガゾード(大獣神)がTF風味
・必殺技なし

 と、痒い所に手が届いてないような感じで、特にメカデザインに関してはTFブームのアオリも受けたのかもしれないが、とにかく生物的・有機的で戦隊感はゼロだった。もっとこう、プラスチック製のおもちゃ感出してくれないと……。

 こう書くと「これはあくまでパワーレンジャーなんだし、ね?」と言われそうな気がするが、それにしては「なぜか採石場で戦闘」とか「マスクオフ」とか「いじわるなクラスメイト」など、戦隊・パワレン小ネタ挟む余地があったので、もっと戦隊テイストを意識してほしかった。向こうの特撮ファンだってせっかくパワーレンジャーを題材にする以上、ありふれたSFアクションじゃなくて「独自のルールを持った作品」が観たかっただろうし。ぶっちゃけると前にやった「GIジョー」の方がまだ戦隊感あったぞ。


5・まとめ

 振り返ってみると「戦隊テイストを残したアクション映画」という感じで、それも「5人の若者が変身し、巨大ロボに乗って戦う」というテーマに沿って無難に作られた印象。手堅いドラマとそこそこ見栄えのあるアクションはあるが、そこに気迫を感じるかと言われたらノーだと思う。特に戦隊好きから見れば「ここはもっとこう……」とヤキモキしてしまうだろう。

 それでも、昨今のアクション映画が適宜バトルシーンを挟んで退屈させないようにしているのに対し、本作は最後の最後までため込んで爆発させる形式なので、単純に物足りなさを感じてしまった。あの最終決戦にしたって、戦隊なら「こうして新たな戦いが始まった……」と1話でさっさと済ませるケースだし。

 一応お約束のように続編を匂わすラストなので、もし続編があるならキャラの掘り下げ済んでいるので、もっとバトルましましのギミックバリバリのやつを期待するのでした。

 もひとつ言えば、吹き替えは自然な感じで聞けて、杉田さん(コミュ症黒人)がいつもと違った感じなのが良かったとです。
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