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2017年07月17日22:37

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ハンブルクバレエ ニジンスキー

2017/7/6木 19:30- ハンブルク州立歌劇場

Musik: Frédéric Chopin, Nikolaj Rimskij-Korsakow, Dmitri Schostakowitsch, Robert Schumann
Choreografie, Bühnenbild und Kostüme: John Neumeier

Musikalische Leitung: Simon Hewett
Orchester: Philharmonisches Staatsorchester Hamburg

Vaslaw Nijinsky: Alexandr Trusch,
Romola Nijinsky: Carolina Agüero,
Bronislava Nijinska: Patricia Friza,
Stanislaw Nijinsky: Aleix Martínez,
Eleonora Bereda: Anna Laudere,
Serge Diaghilew: Ivan Urban,
Thomas Nijinsky: Dario Franconi,
Tamara Karsavina: Xue Lin,
Leonid Massine: Leeroy Boone,
Der Tänzer Nijinsky: Karen Azatyan, Leeroy Boone, Christopher Evans, Lloyd Riggins

ハンブルクのバレエ週間、私の二日目はニジンスキーでした。これがあるからもろもろ無理してハンブルクに行ったのに、何と直前に発表になったキャストはタイトルロールがサーシャ・リアブコではなく、トルシュとなっていて、かなりショックを受けました。

ニジンスキー自体を観るのは、この日で10回目くらいかな。うちリアブコでないのは今回を含めて3回だけしか観たことがありません(オットー、ギヨーム・コテ、そしてサーシャ・トルシュ)。

さて、そのニジンスキー。1幕を観たときは、ああこの作品って、演じ手によらず本当に素晴らしい作品なのだなぁと大きな感慨を受けました。一幕、スヴレッタハウスでのニジンスキー最後の公演の場面から始まり、自分が称賛を受けたシーン、ディアギレフとの複雑な関係、そしてロモラとの出会いなどの回想シーンが多重的に展開されていきます。その後、称賛されているのは自分ではなく役柄なのではという不安、ディアギレフとの関係の緊張、、などなどで精神的に追い詰められていくニジンスキー。これらが、バレエリュスの有名なシーンのコラージュとなって息つく暇もなく展開されていく。その構成の巧みさ・緻密さ、そしてシェヘラザードという音楽の使い方は見事という他ありません。

トルシュのニジンスキーは、リアブコのそれとはかなり違っていて新鮮でした。役を演じるときってなんでもそうなのだと思うのですが、ニジンスキーの場合も、自分の中に本当に存在する何かをその役の一部に重ね合わせることで、説得力が出てくるのだと思います。トルシュの場合は、それが、弱さ・未熟さで、リアブコの場合は淋しさ・孤独感かな。どちらが良いというわけではなく、これは個性。

その点に関してはトルシュもなかなかやるな!と思ったのですが、1幕で気になったのは、ディアギレフを演じるイヴァンとの関係。あまりに年齢が違うせいか、彼らの間の上下関係がはっきりし過ぎて、そしてトルシュの弱さ・未熟さの演技のせいもあって、ディアギレフがニジンスキーを虐待&調教しているように見えて辛かった。まあ、実際の彼らのバレエリュスでの関係はそうだったのかもしれないですが、そう見えた方が作品として面白いかどうかはまた別問題。個人的には、サーシャやオットーなどの演じていた、ディアギレフとある程度対等なんだけど葛藤する関係っていう方が面白いなぁと思いました。

そして、2幕。これは、本当に、ニジンスキー役のダンサーの力量が問われるのだなぁと。

一幕のようにストーリー展開が早くなく、ニジンスキーの内面を掘り下げていく2幕は、ニジンスキー役に牽引力がないとちょっと辛い。トルシュも、とても頑張っていたとは思う。彼の場合は、狂っているという感じはあまりなくて、ひたすらニジンスキーの苦しみを表現している感じだった。それはよく分かるんだけど、やっぱりリアブコの、観衆までも自分の狂気の淵に引きずり込むようなパワーは、まだない。経験なのかも、とも思うけど、サーシャ・リアブコのあれは、どうも若い時からそうだったみたいだし、本当に他人にはない彼の個性なんじゃないかなあ。

とか思って、サーシャ・リアブコのニジンスキーが猛烈に観たくなりました。

とはいえ、トルシュのニジンスキーは、それはそれで面白かったです。ニジンスキーって実際若かったわけだし、30代後半のリアブコよりはリアルに近いわけですよね。

さて、主役以外のダンサーについて。

印象に残ったのは、金の奴隷&牧神を演じた、カレン・アザチャン。昨年9月のニジンスキー再演の初日に彼のこの役を観て衝撃を受けたのですが、今回もやはり素晴らしかった。前に他の作品でも書いたけど、カレンはブベニチェク兄弟を彷彿とさせるところがあり、高いテクニックとメランコリックな雰囲気とそして男の色気があって、今のハンブルクにはとても貴重なダンサーです。

そしてディアギレフを演じたイヴァンがもう悪魔的に美しくて。彼、怪我から復帰してからはコンスタントに舞台に出ていて、最近も体の調子はとてもよさそうです。来年2月も彼のディアギレフが見られますように。

ロイドのペトルーシュカが最高であることは言うに及びません。今年のニジンスキーガラで、彼はフォーキンのペトルーシュカの一部を踊ったみたいなんですよね。いいなあ、それ本当に見てみたいと昔から思ってるのです・・・

ニジンスキー、私が次に観られるのは、来年2月の来日公演になります。どういうキャストになるのかな。ファーストは日本公演だということを考えてもリアブコさんのような気がしますが・・・ジョン、お願いしますね。
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