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2017年07月16日23:39

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ハンブルクバレエ 人魚姫

2017/7/5水 19:30- ハンブルク州立歌劇場

Music: Lera Auerbach
Choreography, Staging, Set and Costumes: John Neumeier

Conductor: Simon Hewett
Orchester: Philharmonisches Staatsorchester Hamburg

Der Dichter: Lloyd Riggins,
Die kleine Meerjungfrau / Seine Kreation: Silvia Azzoni,
Edvard / Der Prinz: Alexandre Riabko,
Henriette / Die Prinzessin: Carolina Agüero,
Der Meerhexer: Karen Azatyan

恒例の、ハンブルクバレエ週間。今年は2週間の祭りの前半の4演目を観てまいりました。最初は人魚姫。キャストは、シルヴィア&ロイドの初演メンバーに加え、王子にサーシャ・リアブコ、プリンセスにカロリーナ、海神にカレンという、この時点で望み得る最高のメンツ。

作品のあらすじなどについては、2015年のバレエ週間のときのこちらのエントリをどうぞ。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1943957340&owner_id=2438654

人魚姫を観るのは、これが4回目。前回2015年に観たとき、もうロイドは詩人の役を踊らないのだなと悲しく思っていたので、また彼の詩人を観ることができて嬉しかった。詩人=アンデルセンの、切なく哀しい心情を、彼ほど美しく表現できるダンサーは、他にはいないんじゃないかなあ。ハンブルクバレエでも、この役を継ぐ若手は、今のところバレエ団にいないのです。(有力候補だったサーシャ・リヴァは移籍してしまった・・・)

そして、詩人の友人に対する切ない恋心が結晶した人魚姫を演じるシルヴィアが凄かった。今まで彼女の人魚を観て、少女の純真な恋心みたいなものを感じていたのですが、今回はもっと王子に対する愛に真剣なものを見たような気がします。その分、王子が結婚してしまった後の彼女の苦しみは、より痛い。彼女を見ていると、年々演技の深みが増しているように感じます。

サーシャの王子役を全幕で観るのはこれが初めてでした。観る前は、彼にはあの能天気な王子の役は似合わないよなー、ってあまり期待もしていなかったのですが、これが意外にも、すんごく良かった!サーシャの王子はとても貴族的で品がよく、まさにヨーロッパのプリンスって感じ。踊りもたたずまいも実に優雅でファンとしては彼の美しさを堪能できて最高にハッピー♪

ただし、人魚姫に対しては、カーステンの王子よりも心理的な距離があるように思いました。カーステン王子にとって人魚姫は妹みたいな存在だけど、サーシャ王子にとっては同じ列の人間とは観ていないというかペットに近い扱いかな。サーシャ自身は、王子はとてもシンプルな人物なので、役に入り込みにくかったって言ってました。人魚姫と踊ってても何かを感じてしまうのだけど、それを感じないようにする必要があるとか。繊細なメンタリティを持つ彼らしいコメントだなぁと思います。

海神のカレン、堂々とした存在感とスケールの大きい踊りで、抜群にかっこいい。カロリーナのプリンセスは、エレーヌのそれよりも人魚姫に対して優しい雰囲気で、彼女のキャラクターが出ているなぁと思いました。

そして人魚姫は、アウエルバッハの音楽や演出が素晴らしい。ノイマイヤーの人魚姫は、ディズニーのそれとは違いかなりダークな部分のある演目ですが、テルミンを使った現代的な音楽がその暗さを海の質感と一緒に実にうまく表現している。人魚側のメイクや衣装には日本の歌舞伎の影響も見られ、それに呼応した形で人魚の世界では和風なメロディも。そして、舞台を海中/地上へと瞬時に変える、舞台を横切る蛍光チューブ(だと思うのですが)の使い方も見事。うーん、この作品もジョンの最高傑作の一つだと思います。

幸いなことに人魚姫は、回数は少ないながら、来シーズンもハンブルクバレエの上演演目に入ってます。シルヴィアの人魚をまた観に行きたいな。
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