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2017年07月15日22:22

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女性宮家が皇室を滅ぼす

【正論8月号】女性宮家が皇室を滅ぼす 「弱み」につけ込んだ民進党 作家 竹田恒泰 http://www.sankei.com/premium/news/170715/prm1707150019-n1.html @Sankei_newsさんから
正論8月号2017.7.15 01:00

 天皇陛下の譲位を定めた譲位特例法の付帯決議に、女性宮家に関する文言が付されたことが波紋を呼んでいる。皇室典範は、女性皇族は結婚とともに皇族の身分を離れることを定めている。この規定を改め、結婚後も皇室に残れるようにしようというのが「女性宮家」である。政府与党は、女性宮家は「女系」天皇への道を開く可能性があるため、慎重な立場を保ってきた。総理官邸や自民党でも女性宮家の是非を検討した形跡は無い。それに対して、女性宮家創設を強引に主張してきたのが民進党である。  

 与党は両院で多数を形成しているため、たとえ民進党が反対しても法案を通過させる力を持つ。しかし、天皇陛下の身位に関することであるだけに、与野党合意の元で粛々と進めなくてはならないとの雰囲気があった。与党が民進党だけでなく共産党をも含めて合意を取り付けようとしたのはそのためである。その弱みにつけ込んだのが民進党であった。民進党は、付帯決議に女性宮家の創設を検討する旨の条項を入れない限り、特例法に反対すると明言し、与党に揺さぶりを掛けたのである。  確かに、付帯決議は野党から政府与党に対しての要望を書き入れるものに過ぎず、法的拘束力を持たない。言い換えれば、国会の審議の結果、法律に盛り込まれず、却下された事項に他ならない。しかし、民進党は、女性宮家の検討が付帯決議に盛りこまれたことを武器に、今後政府に女性宮家創設を検討するよう執拗に迫るであろうことは明らかである。

 最初に女性宮家を政府に公式に提言したのは、小泉政権下の「皇位継承に関する有識者会議」であった。有識者会議は主に、(1)女性天皇・「女系」天皇を認めるべき、(2)皇位は長子優先で継承されるべき、(3)女性宮家を認めるべき、の三点を提言した。 

 女性天皇とは女性が天皇になることであり、歴史上八方十代の先例があるが、女性天皇の子が即位すると、歴代天皇の男系の血筋を引かない者が天皇に即位することになり、それは歴史上一度の先例もないことである。有識者会議の提言が実施されれば、将来、「女系」天皇が成立するはずであった。  

 ところが、秋篠宮妃紀子殿下がご懐妊遊ばしたことで、この議論は停滞し、後に若宮がお生まれになったことで、女性天皇・「女系」天皇を主張する者はいなくなった。若い世代に歴史的にも法的にも正統な皇位継承者を得た訳であるから、若宮を排除してまで愛子内親王殿下にご即位をお願いする必要がなくなったためである。  

■スパイが皇族になる可能性も   

 女性天皇・「女系」天皇を認めた場合は、女性天皇の配偶者は皇族になるのであるから、女性皇族の配偶者にも皇族の身分を与えるのは自然な流れであり、ゆえに有識者会議では、女性宮家は、女性天皇・「女系」天皇と一体となるものとしていたのである。

 いや、むしろ「女系」天皇を認めなくとも、女性宮家さえ認めておけば、将来的には「女系」天皇への道が開かれるのは当然の帰結である。すなわち、女性皇族が民間人と結婚し、その子が即位したとすると、歴代天皇の男系の血筋を引かない天皇、いわゆる「女系」天皇が出現することになる。「女系」天皇の実現を目論む一派は、若宮ご誕生以降暫く水面下に隠れていたが、再び活動を始めたのが、平成二十三年のことであった。 

 「女系」天皇論を推進する中心人物の一人である羽毛田信吾宮内庁長官が、野田総理に女性宮家の創設を進言し、野田内閣は翌年、女性宮家創設を検討すべきとの提言をまとめた。譲位特例法で、野田氏が女性宮家にこだわったのは、自分の内閣で提言したことであり、余程の愛着があったと思われる。  

 女性宮家の提言者は、第一に今後皇族が激減すること、第二に陛下の御公務を削減するためにも一定の皇族を確保する必要があることを主張してきた。譲位特例法が成立したため、第二の問題は解決したが、第一の問題は依然として深刻であることは間違いない。ただし、いくら皇族を確保しなくてはいけないとはいえ、誰を皇族にしてもよいという話にはならない。  

 二千年以上に及ぶ我が国の皇室の歴史において、結婚により民間出身の女子を宮中に入れたことは数多の例がある。今から千六百年以上前から、藤原氏をはじめとする有力氏族は娘を皇室に嫁がせてきた。しかし、民間の男子を皇族にした例は一例もない。民間の男子を皇族にするというのが女性宮家なのである。

 歴史的に女性宮家が許されていたらどうなっていたであろうか。平清盛、足利義満、織田信長、徳川家康などの為政者たちは、自分の息子を皇族にして皇室を政治的に操ろうとしたであろう。さらにその子供が即位したなら、それは「足利王朝」あるいは「徳川王朝」と呼ばれるものである。欧州では男系継承が途切れる度に王朝名が変わることを常としてきた。  

 皇室は外部の女子は受入れてきたが、外部の男子を一人も受入れてこなかった。それが男系継承の趣旨である。つまり、女性宮家の拒絶は、女性を排除するのではなく、男性を排除する考えなのである。これは男尊女卑ではなく、むしろ女尊男卑というべきであろう。 

 もし女性皇族が恋に落ちたのが、大物政治家の息子であったらどうであろうか。いや、外国人であったら、あるいは、日本人だと思っていたら本当は外国人であったらどうであろうか。外国のスパイである可能性はないであろうか。このようなことを考えると、先人たちが、外部の男子を一人も皇族にしてこなかった意味をうかがい知る事ができると思う。  

 このような保守派の批判を警戒してか、女性宮家推進論者は、女性皇族の配偶者を皇族にしない、あるいはその子も皇族にしないと主張してきた。かつての民主党はその様な説明をして保守派の合意を得ようとした。しかし、同じ屋根の下に皇族と民間人が同居することが果たして可能であろうか。皇族の生活費は「皇族費」という公費が使われる。無論、民間人の生活費に公費を充てることはできない。つまり、朝ご飯の目玉焼き一つとっても、妻の卵は公費で、旦那の卵は自ら稼いだ私費で払わなくてはならず、もし旦那が妻の玉子を食べたら、即公費流用になる。実に現実離れした意見といわざるを得ない。

 かつて民主党は、女性宮家に生まれた子は皇族にしないから男系継承は維持されると説明した。しかし、将来皇位継承の危機が生じた際には、女性宮家に生まれた子を皇族にすべきだという世論に押されて、なし崩し的に男系継承が崩れるであろう。皇位継承を安定たらしめるためには、皇位を担えない女性宮家なるものを増やすのではなく、伝統的にも法的にも皇位を担える正統な皇族を確保する必要がある。

■非の打ち所「ある」天皇に変化 

 「女系」天皇がなぜ問題であるか、これまで様々な点から指摘されてきたが、ここでは一つだけ理由を述べておきたい。もし男系の血筋を引かない者が天皇になれば、それは天皇の血統原理が変更されることを意味する。そのような天皇を、果たして天皇と呼んでよいかという疑問も生じる。もし「女系」天皇なるものが成立したら、ある人は認めるがある人は認めない天皇になってしまい、天皇の正統性が揺らぐことになる。  

 現在の陛下は非の打ち所の無い天皇であられるが、それが非の打ち所のある天皇に変化してしまえば、もう二度と元に戻すことはできない。憲法第一条は、天皇は「日本国民統合の象徴」と規定するが、ある人は認め、ある人は認めないような天皇が、果たして「国民統合の象徴」として機能することができるか疑問である。

 この世には様々な職業や地位があるが、努力や運次第で如何なる職業や地位にも就くことができる。だが、天皇だけにはなる方法が存在しない。如何に努力しても、国民的人気があっても、天皇だけにはなることができない。天皇は血統の原理なのであって、それ以外の理由で天皇になる者はあってはいけない。その天皇の血統の原理を変更しようというのが、「女系」天皇であり、女性宮家なのである。  

 女性宮家創設という提案は、耳に聞こえは良いが、実は皇室を滅ぼすことになる危険な企てであることを知って欲しい。

 竹田恒泰氏 作家。昭和50年、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫。慶應義塾大学法学部卒、平成26年3月まで同大法学研究科講師も務めた。

※この記事は、月刊「正論2017年8月号」から転載しました。



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