mixiユーザー(id:2438654)

2017年06月13日22:15

518 view

ボリショイバレエ 白鳥の湖

東京文化会館 

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
台本:ユーリー・グリゴローヴィチ
  (ウラジーミル・ベーギチェフとワシーリー・ゲーリツェルの原台本に基づく)
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワノフ、アレクサンドル・ゴールスキー、ユーリー・グリゴローヴィチ
制作:ユーリー・グリゴローヴィチ
美術:シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督:パーヴェル・ソローキン
照明デザイン:ミハイル・ソコロフ
舞踊監督:マハール・ワジーエフ
指揮:パーヴェル・ソローキン
管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団

◆2017/6/7水 18:30-

オデット/オディール:オルガ・スミルノワ
ジークフリート王子:セミョーン・チュージン
王妃(王子の母):ヴェラ・ボリセンコワ
悪魔ロットバルト:イーゴリ・ツヴィルコ
道化:アレクサンドル・スモリャニノフ
王子の友人たち:クリスティーナ・クレトワ
        マルガリータ・シュライネル
花嫁候補たち
ハンガリー:アナ・トゥラザシヴィリ
ロシア:アナスタシア・デニソワ
スペイン:エルヴィナ・イブライモワ
ナポリ:クセーニア・ジガンシナ
ポーランド:ヤニーナ・パリエンコ
3羽の白鳥:オルガ・マルチェンコワ
      マルファ・フョードロワ
      アリョーナ・コワリョーワ
4羽の白鳥:ダリーヤ・ロフツォーワ
      オルガ・カリーニナ
      マルガリータ・シュライネル
      ダリーヤ・ボチコーワ

◆2017/6/8木 19:00-

オデット/オディール:スヴェトラーナ・ザハーロワ
ジークフリート王子:デニス・ロヂキン
悪魔ロットバルト:ミハイル・クリュチコフ
王妃(王子の母):ヴェラ・ボリセンコワ
道化:アレクサンドル・スモリャニノフ
王子の友人たち:アナスタシア・デニソワ
        アナ・トゥラザシヴィリ
花嫁候補たち
ハンガリー:ネッリ・コバヒーゼ
ロシア:ヴィクトリア・ヤクシェワ
スペイン:エルヴィナ・イブライモワ
ナポリ:クセーニア・ジガンシナ
ポーランド:ヤニーナ・パリエンコ
3羽の白鳥:オルガ・マルチェンコワ
      マルファ・フョードロワ
      アリョーナ・コワリョーワ
4羽の白鳥:ダリーヤ・ロフツォーワ
      オルガ・カリーニナ
      マルガリータ・シュライネル
      ダリーヤ・ボチコーワ


ボリショイ・バレエの来日公演で目下、ボリショイ祭り中。最初の演目はジゼルでしたが、まずは白鳥から感想を。

2キャスト観たのですが、いやー楽しかった!!って公演でした。白鳥で楽しいってなんか変な気がするけど、グリゴローヴィチ版白鳥は、次から次へと踊りの見せ場があり、ストーリーは正統派で悲劇の白鳥なのに、壮大なエンターテイメントでありました。オケも滅茶苦茶速いテンポだし。もうちょっと味わいたいんですけど・・・って言ってる間にどんどん次に行き、全く退屈するヒマがない。

ボリショイの白鳥は、マリインスキーのそれとは全くタイプが違います。どちらかというとバンバン踊って身体性で見せる。それに対して、マリインスキーはもっと精神性で見せるタイプだと思う。それぞれに違いがあり、それぞれ面白い。そういえば、マリインスキーが2018年の11-12月にかけて来日するとの発表もありました。白鳥があるみたいなので、これも楽しみです。

さて、最初に観たのはスミルノワ×チュージンのペアでした。チュージン王子がお目当てで、期待に違わぬボリショイらしからぬエレガントな踊りにはやっぱり魅了されました♪あと、スミルノワも光り輝くように美しかった。彼女の強靭なテクニックには、惚れ惚れしますね。黒鳥の連続フェッテ、ほとんど元の場所から軸足が動きませんでした。そして、ロットバルトのツヴィルコが素晴らしかった!この版ってロットバルトがバンバン踊るんですよね。結構王子との絡みもあったりして、ヌレエフ版ほどではないけどドキドキ。ツヴィルコのロットバルトは妖しく暗い色気があり、悪の美って感じで、舞台に出てくると目が釘付けに。なぜに彼がこの役のファーストでないのか、不思議なくらいです。そういえばこの日は王子の友人の一人がパリの炎でワシリエフと共に主演するクレトワっていう豪華キャストでした。

そして、次の日はザハロワの白鳥。

参りました、としか言いようのない高い完成度でした。長い手足が活きるこの役、本当に人ではない何かがそこにいるように見えました。彼女の白鳥は、昔新国にゲストで出てくれてた頃から何度も観ていますが、昔と比べると、彼女自身の役への想いが伝わってくるなぁと感じました。

テクニックの点では全盛期ほどの万全さが無くなりつつあるなか(とはいえ、いまだにかなりのものですけど)、黒鳥の連続フェッテの後ではほっとしたような笑顔を見せたり、あと、カーテンコールのときにスタオベの観衆に向かって嬉しそうに何度も投げキッスをしたり。彼女としても、キャリアの終盤に差し掛かっているなかで、この日は本当に全霊で踊ってくれていたように思います。チケット完売だけあってこの日の観客の集中度は物凄く高くて、会場全体が公演に集中して一体になっていました。それが彼女に伝わった部分もあったのかな。

ザハロワは、ロパートキナのように心を震わせるような演技をするタイプではないですけど、様式美としては彼女の白鳥は一つの完成形だと思います。ザハロワって政治家とも近いみたいだし、多分ロシアではとても身分も高いと思われるのですが、それでもステージに立つときはいつも完璧であろうとしてるように見える。そういうバレエに対するプロフェッショナルな態度が、私は結構好きだな。

ザハロワの白鳥の日は彼女にしか目が行かず、脇のダンサーがその前日と比べてもちょっと弱かったかなという印象。ロヂキンは、すっかり真ん中を踊れる堂々としたダンサーになっていて成長を感じました。リフトやサポートには全く心配なし。テクニックも確かで美しいし。願わくば、演技がもうちょっと上手いといいんだけどな。まあ、アルブレヒトよりはジークフリートの方が似合ってたと思います。ロットバルトは断然ツヴィルコの方がよくて残念。あと、両日とも、道化がイマイチだったなあ。いえ、テクニックはかなりある方なんですけど、ボリショイの道化だったらもっと超絶凄いのを観たかったなあ!

そして、ボリショイの女性ダンサーって、ライブシネマのときも思ったんですけど、コールドまでみんな本当に力強くてかっこいいな。男性陣も美しくてみんな上手くて。さすがバレエの国・おロシア。

あ、あと、ボリショイの白鳥は、ロシアンアバンギャルドがちょっと入ったようなシモン・ヴィルサラーゼの舞台装置と衣装がとっても好きです。衣装、すっごいたっぷり高価な布を使っているように見えました。物凄いお金かかってそう。

最後になってしまいましたが、座つきのオケもよかった!一流のオケみたいにテクニックが完璧ってわけじゃないけど、踊りの雰囲気と同じで遠慮なく見栄切るような音を出す感じが気持ちいい。特に管、文化会館中に響き渡るような音を出してました♪

ボリショイ祭りは、あとはパリの炎を残すのみ、です。
4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する