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2017年06月12日11:48

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アニメ会社の崩壊はもうすぐそこまで来ているというのに

■『クローズアップ現代+』がアニメーターの貧困を特集! 製作委員会の搾取が原因と指摘、当のNHKにも制作費倍増を要求
(リテラ - 06月11日 22:02)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=209&from=diary&id=4615853

 もうどれだけ問題視されてきたか分からない、アニメーターの薄給問題であるが、こうして特番になって問題提起されるだけ、芸能界の薄給問題よりはまだマシと言えるのかもしれない。少なくとも「どこが悪いか」ということは分かるしね。
 製作と制作の区別がよくついていない一般人も多かろうから(口頭だと発音が同じだから特に)、言い換えた方がいいと思うんだが、要するに「製作」はスポンサーで、最初にカネを出す企業、「制作」が実際に作品を作るアニメ会社(下請け含む)と考えてもらえばいいわけだ。
 記事では、アニメ制作会社に利益が還元されないことを、スポンサーの製作委員会が「搾取」しているからだ、と指摘しているが、テレビ局や映画会社にアニメ制作部門がなく、結局はアニメ制作会社そのものが下請け扱いになっているからそうなってしまうので、だったら、アニメ制作会社も、製作委員会の中に入るように契約システムを変更すればよいのだ、ということは誰でも考え付く。そうすればヒットした作品の利益が少しは還元されるだろう。

 でもそこには二つの問題がある。一つは、アニメ会社に、最初に出資するだけのカネが無いというのが大問題。毎週毎週、自転車操業でアニメを作っている状況では、「次の企画」でスポンサーがお金をくれなかったら即倒産、といったところも少なくないのだ。実際、企画が通らずに潰れた老舗のアニメ会社も多々ある。
 もう一つは、テレビ局他のスポンサーがアニメ制作会社の参加を拒んでるってことなんだろうね。安く作れて大きく儲かる可能性が高いからアニメ事業に参入しているわけで、ハイリスク・ローリターンなら、わざわざアニメなんて作らないよ、ということになってしまう。

 これがまた、テレビアニメのパイオニアであった手塚治虫の責任を問う形になってしまうが、彼がテレビ局に『鉄腕アトム』をダンピングしたために、「アニメは安上がりで作れる」という誤解を局側に蔓延させてしまったのである。実際には実写番組の何倍もの制作費用がかかるというのに。
 だからテレビ局や製作会社は、物価上昇による増加以上の制作費を払おうとはしない。利益還元もされないから、アニメーターは永久に薄給のままだということになる。こんなブラック企業に就職したがる新人なんてそうそういるわきゃないので、本当にアニメを作るのが好きな人でも、早々に離職するというケースが後を絶たないのだ。冗談ではなく、もう「破綻」が起きていることは、アニメの制作が間に合わない事態が続出していることでも明白だ。


 『クローズアップ現代』の番組を観た、『勇者特急マイトガイン』『機動新世紀ガンダムX』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の監督で知られる高松信司氏が、次のようにtweetしている。‏

> 高松信司‏ @takama2_shinji 6月12日

> 今さらながらクロ現のアニメブラック特集。最初はアニメーターはこんなに貧乏、可哀想といういつもの話。後半は効率化、機械化(AI、CGI)の話で、使われる側から使う側(経営)の話になってしまい、これだと最初に出てきた低賃金のメーターはクビになってしまうので全然救いがない(苦)

> 権利とか再配分とかそういう話じゃなくて、
単純に、「単価を上げて欲しい」という話だと思うんだけどなあ。

> 原画単価が1000円UP、動画単価が50円UPするとして、300カット4000枚だと、50万円? 
そのくらい制作費を上げられないものかなあと思うけど、上げられないんだろうね(遠い目)

> そもそもアニメはほかのテレビ番組より制作費が高い。
ただ人件費のかたまりだから個々の受け取る金額は小さくなってしまう(苦)

> 1話に数百人の人が関わっているからね。
たとえば1千万円でも200人で分けたら一人5万円みたいな?

> よく「本数を減らして制作費上げろ」とかいう人がいるけど、それもナンセンスなんだよね。今、1億とか2億とかかけて1クールのアニメ作ってるけど、それを倍の予算かけて作っても売れるかどうかわからないわけで、そんなリスキーな事は誰もやらないよなーと思う。

> だいたい、今だって、儲かってる作品の方が少ないのに(苦)

> あと、番組の中で監督には配分があるみたいな事を言ってたけど、少なくとも私は「監督印税」は一度も貰ったことはありません。
有名監督になれば印税契約できるのかなあ?(笑)

> なので、
円盤がいくら売れても監督には1円も入ってこない訳で、
個人的には売れようが売れまいが知ったことじゃないんですけどね(笑)

> 話しついでにもう一つ。

> 「アニメが安いのは手塚治虫が最初に安く売ったから」という都市伝説があるけど、半分本当で半分嘘。確かにアトムは安くテレビ局に売られたけど、それは「この値段なら他社はアニメを作れまい」というアニメを独占するための手段で、手塚は自腹を切って社員にちゃんと給料払ってたという。

> 虫プロはアニメーターを社員として雇ってたし、待遇も良かったという。 pic.twitter.com/t3E9B6bamu

> アトムが始まった1963年はこんなかんじ。 pic.twitter.com/vgBWnmElZK

> まあ、だから虫プロは倒産するわけだけど、(苦)

> 余談だけど
そんな虫プロの倒産から制作スタッフが独立して出来たサンライズは、だからアニメーター(演出や監督などクリエイター全般)は絶対に社員にしない(笑)

> Wikipediaの「サンライズ」は、こんなかんじ。 pic.twitter.com/7j2Dzb0g8k

> まあ、今のアニメの作り方は限界に来ているので、遅かれ早かれどこかで破綻して作り方は変わると思う。
それが5年後なのか10年後なのかはわからないけれど。(いや、10年はもたないか笑)


 (笑)って、作り手の立場にいる人間にあまり悲壮感がないように感じるのは、私の気のせいだろうか。手塚治虫の件は「都市伝説」なんかじゃないぞ、彼がなくなった時に、宮崎駿が記名で告発したれっきとした「事実」なんだから、と、細かい部分の誤謬についてもツッコミを入れたくなるが、一番問題なのは、この薄給問題の解決策について、まるで他人事のように書いている点であろう。
 私たちファンがDVDやBlu-rayを購入するのは、それが少しでも「次作」の制作資金になるのなら、という期待があるからだ。ただ観るだけなら、レンタルもネット配信もあるんだからそれで充分。オタクなら円盤買うのが常識なんて時代じゃないんだよ。アニメーター一人一人に還元はされないとしても、それ以外に作り手側に協力する術がないんだから、そりゃ頑張って円盤くらい買うさ。それを「俺には還元されない」と愚痴られてもなあ。
 最初から、スポンサーがお金を倍出してくれれば、というのは期待できない。この問題を扱ったNHKだって、『おじゃる丸』や『忍たま乱太郎』の制作費を倍にしようということはしないだろう。そこを談判したらどうだと言いたくなるが、高松氏にそんな気はないように見える。それとも実は高松氏自身は結構「儲かってる方」に入るから、暢気に構えているのだろうか。

 本来、製作委員会方式は、出資のリスクを下げるのが目的で、それなら一社提供よりはリスクが分散してるんだから、もうちょっとお金を出すことだってできるはずである。個々のアニメスタジオがそれを要求するのではなくて、横のつながりを作って、製作会社側に持ちかけていかなければ状況は変わらないと思うのだが、高松監督の様子を見ていると、サンライズはそれに乗り気ではないみたいね。ダンピングでアニメを独占企業にしたがった、手塚の血がまだ流れてるんじゃなかろうかね?
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