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2017年06月05日11:36

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観音様の法話

あれから50年以上たち、お墓参りに行きたい気持ちが募ったものの、お寺もお墓もわからない。
田中は実家があった場所へ行ったものの、まったくの様変わり。近所の人や宅急便のお兄さんを捕まえて「田村という家、ありませんか」と聞きまくり、数軒尋ねるも他人ばかり。
私は四十九日の挨拶状を保管していたが見つからない。それさえ見つかれば、寺名がわかるのだ。紛失か、まさか処分したかと考えると、心は重くなるばかり。
その挨拶状が見つかった!
小躍りした次の瞬間、がっくり。お寺の名が載ってないのだ。
しかし戒名が記してあった。もしや戒名と宗派と関連があるかと思い、菩提寺に電話をしたらあるという。それは浄土真宗。ネットで近所の浄土真宗のお寺を探したらよいだろう。ただし今はプライバシーの関係で教えてくれないかもしれないが、とのこと。
      フォト 十代の頃の田村

ダメもとでいいから探しに行こうとメールしたら、腰痛で旅行をキャンセルした畑中も一緒に探したいという。
プライバシー云々で断られるのを覚悟で、実家に近い浄土真宗四寺をピックアップし訪ねた。私たちは三人とも技術系。だから上手に話すのは無理なので、飾らずありのままを話した。
三軒は住職が留守だったが、住職夫妻がいたお寺ではその場で過去帳を調べてくれた。
しかし該当者なし。そして、むかし檀家であっても今は公園墓地などに移ってしまった場合探しようがないなど、探し当てることの難しさを話してくれた。区役所の住民課に引っ越し先をたずねるも、やはりプライバシーの関係で無理。

しかし次のお寺で、あれっということが起きた。
私たちと同年代の住職の奥さんが、「まぁ、幸せだこと!」といきなり言ったのだ。
私たちは意味が解らなかったが、その方が言うのには、亡くなった田村さんは、こうしてお友だちが捜し歩いている姿を見て喜んでいると言うのだ。
その方の兄さんがつい最近亡くなり、今、極楽浄土に向かっているので、早速お線香をたいて兄に、これこれこういう訳なので、田村さんに会って、まだ先のことだが、このお友だちが行くときには極楽浄土の入り口で温かく迎えてほしいと、事づけをしますと。

まさかこんな言葉が返って来るなんて三人とも思ってもみなかった。
この五十数年間、ちゃんとお墓参りを続けていれば、実家と連絡を取り合っていればと、たらればの反省ばかりだったから。

後からわざわざ電話してくれた住職もいたが、結局見つからなかった。そして都内の浄土真宗のお寺は200寺もあることや、都内とは限らないなど見つけることの難しさを知った一日だった。
疲れ果てて、三人で居酒屋に入ってビールを飲みながら話した。
あの奥さんから、思いがけない言葉をかけてもらってうれしかったな。まるで観音様から法話を聞いているみたいだったな。救われたな。見つからなくても仕方ないか。これで一区切りかな。
 フォト 共に初スキーのとき。赤倉山荘にて。

しめった話なのに最後まで読んでくれてありがとうございました。俺は元気盛々だぜ!


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