mixiユーザー(id:2279985)

2017年06月04日21:14

410 view

『サージェント・ペパーズ』50周年盤

フォト



1967年6月1日に発売されたビートルズの8作目のオリジナル・アルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』はビートルズ中期の実験的サウンドの集大成であり、また当時から世界初の『コンセプトアルバム』『トータルアルバム』と称されていた。
今年の5/26にはアルバム発売50周年記念として50周年記念アニバーサリー・エディションがリリースされた。
(この内容は全曲レヴューではありません)




4形態のアニバーサリーエディションがリリースされていたのだが、6枚組豪華版はさすがに金額が高額・・・今回は未発表テイクをアルバム順に収められている2CDを購入。


それにしても、2009年には全てのアルバムのリマスターが行われたのに、サージェントだけが50周年盤として新たにリミックスが行われたのだろうか。
そもそもビートルズのアルバムCD化を行われるきっかけは1987年でのサージェント20周年を記念して、最初にCD化させたのがサージェントであり、他のアルバムとは異なり別格の意味をもたせているのであろう。
それはこのアルバムが『トータルアルバム』である事と、アーティストとして新たな一面を見せていたビートルズの賜物となっていたからだ。



1966年末のセッションでは『Strawberry』『Penny Lane』と『When I'm Sixty-Four』の3曲だけしか用意していなかったメンバーであった。
新しいシングル曲の要望で『Strawberry』『Penny Lane』はシングルとしてリリース、結果的にアルバムのコンセプトは『少年時代の懐古』ではなくなり、やがて後付けで『トータルアルバム』と言う体裁に至った事は、これを機にビートルズの楽曲が『オールディーズ』のような懐メロサウンドに至らずに今現在でも聴き伝えられる楽曲に至った、のだと。


*『トータルアルバム』と言う体裁に関して
『サージェント』では『トータルアルバム』と言いながらも冒頭の2曲だけが組曲なのであって、後にリプライズが加わた事でコンサートのアンコール曲として『A Day in the Life』が生きてくる・・・『トータルアルバム』としては詰めが甘い、やはりそれがポールだから?
タイトルソングを除けばビートルズの代表曲と言う視点で見るのならば各々の曲がシングル曲になり得るのか?と感じる事がある。
特にポールの曲ではパワー不足とも感じたりした事もあったけど。



フォト



*手持ちのサージェントCD(レコードでは持っていない)
左:1988年頃に購入したもの、当時の価格で3200円(1988年頃には消費税は導入されていなかった)
右:今回購入した2CD、税抜きで3600円(税込3888円)


フォト



*CD見開き
ペッパー軍曹ペーパークラフトとジャケット写真のNG写真?
しかし、こちらの写真でもポールの頭上には手のひらが上げられている。


フォト



*2枚組の内容を簡単に記すと以下のとおり。

ディスク1:新たにリミックスとイギリス盤オリジナルの『Edit for LP End(Sgt. Pepper Inner Groove:便宜的のタイトルも存在)』かのLPの溝の最後の部分は米国盤ではそれが収録されておらず、ここで世界共通となった。
リミックスにおいては小さな音が大きく聴こえている事がポイントであったし、また冒頭と『Within You〜』の後での観客の声が大きく聴こえているのもツボだったりする。


ディスク2:アルバム収録曲13曲の未発表の完全テイクを含む18曲を新たにステレオでミキシング、アルバムと同曲順に収録。
2CDのディスク2では『Strawberry Fields Forever』の異なる2テイクと『Penny Lane』のインストが含められており、サージェントでのセッションの源流であったこれらの2曲を含めていた事で、どことなくサージェント完成への過程を伺える事が出来たかも知れない(^^;

様々なテイクがあったがその中で特記するのならば・・・
まず一つは『Getting Better』におけるリハーサルテイクでのエレピのバッキングサウンドがフューチャーされており、そして後のトラックである『Penny Lane』のインストでのバッキングが似てるかなぁ、と思わしきサウンドに、実はどちらも『ペット・サウンズ』(あとで記すのだが)にて実践された鍵盤楽器での引用をポールがここで挑んでいたのかと伺える。
それにしても『Penny Lane』と『Getting Better』は同じサウンド趣向だったか?と言う発見をしてしまったかも・・・
『She's Leaving Home』のストリングスインストはきれいなメロディだった。
これにおけるストリングスにおいての1小節にチェロによるメロディがそもそも含まれていたのを、余分であったこの1小節をジョージ・マーティンがカット、確かにあるのとないのとで違和感があった。


フォト



*『サージェント』の誕生は『ラバー・ソウル』から

『サージェント』製作の経緯はポールが『ビーチ・ボーイズのペット・サウンズに影響された』事を上げており、『ペット・サウンズ』製作の発端はグループの重鎮であるブライアン・ウィルソンが『ラバー・ソウル』を聴いた事によるもので、ブライアン・ウィルソンが『ペット・サウンズ』を製作した後に今度はポールがそれに影響されて『サージェント』を製作したと言う堂々巡りはまるでネタなのか?と言わざる終えない(^^;


そんな『ペットサウンズ』製作のきっかけとなった『ラバーソウル』だけど、当時ブライアンが聴いた『ラバーソウル』は米国編集盤ではなかろうか?と言う説もあり、おそらくこちらが自然の成り行きであろう。
英国基準とは異なる収録曲と収録順ではビートルズが狙った自身の音楽への想いがブライアンのみならず聴き手に伝わらなかったはず、果たしてどちらを聴いていたのだろうか?

『ペット・サウンズ』はブライアン・ウィルソン(製作上のブレーンはいたが)のみ孤独な実験作業であり、キャピトルは売れ行きが芳しくないアルバムに難色を示していた。
方や『サージェント』ではメンバー4人とジョージ・マーティンとの合作で、EMIが膨大な制作費を肩代わりしており、雲泥の差を感じられる・・・レノン・マッカートニーと張り合った唯一の人物に尊敬の念を感じてしまう。
(と、長々となりそうなのでここまでと)



*楽曲の製作過程の中で

後々に収録曲のヒントが明かされていったようだが、このアルバムの謎を知りたかったリスナーがかなり多かった結果だと伺える。
後にも先にもヒントが解明されていたアルバムはサージェントぐらいなもので、その事も今となってはこのアルバムに興味を抱かせる訳でもあるのだが、そこでヒントが解明されている曲を並べてみる。


1.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
マル・エバンスとポールとのやり取りから、塩コショウ(ソルトペッパー)の聞き間違い?

3.Lucy in the Sky with Diamonds
ジュリアン・レノンが描いたお絵描きの内容、ダイヤモンドを持った空飛ぶルーシーから

4.Getting Better
ジミー・ニコルの口癖から

5.Fixing a Hole
ポール所有の農園にある屋根の修理中に思いつく

6.She's Leaving Home
家出少女の事が記載された新聞記事より

7.Being for the Benefit of Mr. Kite!
古いサーカスのポスターからの文面全て

8.Within You Without You
ハーモニウムを触っているうちにメロディがひらめく

9.When I'm Sixty-Four
ポールが15歳頃に作った古い曲

10.Lovely Rita
アメリカの駐車違反取り締まり婦人警官の名称から

11.Good Morning Good Morning
コーンフレークのテレビCMの口上より

12.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
ニール・アスピノールによる(まとめる為に)最後にバンドとして戻って来るアイデアから

13.A Day in the Life
2つの新聞記事とポールのフレーズから


フォト



『サージェント』はペパー軍曹率いる架空のバンドの一夜のショーを再現した内容と言われているが、実はビートルズが別名のバンドとしてアルバムをリリースしたかったのでは?と言った形跡が偲ばれており、アルバムの背表紙(と言うのか?)には『The Beatles』と言う表記は無かった事に、実はそうだったのかなぁと伺える。



ある時にふと気が付く事がある。
ビートルズに関しては1970年に完全な活動を停止して以来、バンドとしての存在は消滅してしまったのだが、それにも関わらず今でもなお、メンバーのその後の数々の動向、メンバーの誰かのソロとしての新曲やアルバムがリリースされ、そしてメンバーの誰かの死去と言う多くの出来事があったにも関わらず、こうした50周年記念盤がリリースされており、そして恰も現役のバンドかのように扱われている世界で唯一の奇妙な集まりである事に気が付く。
だけど実に不思議な話なのだが、それに違和感を感じる事は全くない・・・


さて、様々な人々に影響を与えたサージェントであるが、次回?(あるいは近日)は様々なミュージシャンによるサージェントのカバー曲を紹介予定

(つづく?)
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する