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2017年06月04日10:27

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「時代が変わると変わるもの いなくなるもの」

落語「お若伊之助」のなかで
古今亭志ん朝が噺のマクラでこんなことをいっている

時代とともにいつのまにかいなくなってしまった生き物がいる
蚤虱の類いがそれで
いま「蚤を見つけたら1万円あげる」といわれても
簡単に蚤をみつけることはできない

おれにしたところで
最後に蚤を見たのはずいぶんむかしのことだ

空き地にいた仔猫をじゃらしていたら
猫が仰向けになった瞬間
腹のところにかなりの量の蚤がたかっていた
飛びのくように猫から離れたが
蚤を目撃したのはあれが最後だった

もっとも池袋に住んでいたころには
一家で外出するたびに母親がバルサンを焚いていたので
蚤や虱・南京虫がわりといた時代だったのだろう

気がつくと身の周りからは
蚤も虱も南京虫も消えていた

ハナシは変わるが
最近では「ビールス」といわなくなった
いまは「ウィルス」である

まぁ外来語なので
発音的なハナシでしかないが
イタリアやドイツではビィールスだし
アメリカでは「ヴァイラス」と呼ばれているので
どっちにしろ
ビールスがウィルスに変わってもあまり大差があるワケではない

ハナシは元に戻る

いまごろの季節になると
母親の住んでいた家の近所にレンゲの花がいっぱい咲く場所があって
ミツバチがたくさん飛んでいた

東京育ちで山梨に疎開経験のある母親は
ミツバチを大層警戒していた

ミツバチ自体はひとを襲うことが少ないが
ミツバチを襲うスズメバチがきっと近くにいるはずだというのだ

甲斐や信濃では「蜂の子」を食べる習慣があって
そのせいで母親はハチ全般に敏感なのであった

思えば最近ハチを見かけなくなった
山や野原を訪れることが少なくなったこともあるが
家庭の庭などにあふれんばかりの草花があって
当然いろんな虫が群がってしかるべきなのに
しかるべき虫の姿がない

一時期
「蜂群崩壊症候群」という現象が話題になった

ミツバチが巣を放棄してどこかにいってしまうという
奇怪なことが世界各地で見られたのである
原因はハチに規制するダニだとも
ネオニコチノイド系殺虫剤のせいだともいわれていたが
ハッキリしたことが解明されないまま
いつのまには話題は終息してしまった

地球上の生物のうち
産業革命以降約半数の種が絶滅したといわれている

蚤や虱のように厄介な生き物がいなくなっても
誰も気にしなかったが
さすがにミツバチは人類の友だちだし
「いなくなられたら困る」というキモチがある

だから絶滅してしまった半分の種は
人類にとって「どーでもいい」存在だったのかもしれない

でも生態系というのはそういうものではない

宮澤賢治の「よだかの星」にかんじる違和感がそれだ
一羽のよだかが小動物や虫を食べなくなっても
ほかの生物が入れ替わるだけだし
生態系には影響はない
しかし食物になるモノが絶滅してしまうと
それを主食にしていた生き物は困る
そこに絶滅の連鎖が起こる

過去
地球では大絶滅とよばれる生物の危機が何度か起きている

今度の大絶滅の原因が
人類が起こしたものではないことを願いたい
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