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2017年05月12日08:53

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9条護憲が最も現実的

■首相改憲発言、自民各派で賛否 「好機だ」「整合性は」
(朝日新聞デジタル - 05月11日 21:20)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4567944

首相は改憲の必要性について、憲法学者の7割が違憲だとする状況を正さなねばならないという説明をしている。しかし、9条1項2項を残した状態で自衛隊についての定めを追加するという形をとると、そもそも改憲段階で条文が矛盾するという指摘が出ることは明らかである。

少なくとも今現在自衛隊を違憲と考える論理からは、条文追加で合憲にできるという発想は導きえない。なぜなら1項、2項があるからこそ、自衛隊違憲となるのであって、それがそのまま温存されているのに結論が変わるわけがないからだ。とすると、「憲法学者の7割」はそのような矛盾する改憲について当然否定することになるだろう。

自衛隊合憲論の立場からのみ、「1項2項温存、3項追加」という手法は合理化できる。しかし、それでは首相自身の説明である「憲法学者の7割」を改憲根拠に挙げることはできない。

結局、首相は集団的自衛権の議論の時に9割の憲法学者の意見を無視したのと同様、こうした指摘を踏み倒して改憲しようと考えているのだろう。必要性を述べる時には、「憲法学者の7割」を都合よく持ち出し、実際に改憲手続に入ったらそれを無視する。

どういう教育を受けたらこのような卑劣漢が育つのかと思う。改憲手続き規定を改憲して憲法改正をやりやすくしようという提案をした際、「裏口入学の発想だ」と批判されたことを思い出す。

そもそも政府解釈にのっとれば自衛隊は合憲なのであるから、このような改憲は必要ない。それをあえて行う理由が「憲法学者の7割」だったわけだが、それもこのように支離滅裂な理屈である。箸にも棒にもかからない珍論である。

改憲論としては、自民党の草案のような根本的改正の方が、論理的には自然である。このような意地汚い改憲案が果たして自民党内の合意につながるか、極めて疑問だ。党内の合意を取り付けても、自民党支持者たる保守層から納得を得るのはさらに難しい。9条1項2項温存に支持が集まるとは考えにくい。

9条改憲というのは、次の二つの立場からのみ成立しうる。まず「自衛隊違憲論」。違憲だから、9条を根本的に変えて合憲にしようという立場だ。もう一つは「国防軍必要論」。自衛隊では悪化する国際環境に対応できない。攻撃力も持った国防軍が必要だとする立場だ。自民党の改憲草案は後者であろう。

安倍の「1項2項温存、3項追加」は「自衛隊違憲論」から来る発想だが、政府は従来自衛隊を合憲だと説明してきたので、正面からそのような立論はできない。そこで無理やり憲法学者の7割を持ち出したわけだ。しかし本来「自衛隊違憲論」に基づく改憲は「1項2項温存」を許さない。完全に論理の袋小路に陥っている。

そもそも国民の大半は自衛隊の存在を受け入れているのが現状である。そして自衛隊合憲論は論理的には成り立ちうるもので、自衛隊支持者ならば敢えて「違憲論」を採用することは考えにくい。かといって自民党改憲草案にあるようなきな臭い「国防軍」路線を気に入るほど国民が好戦的とも思えない。

国防軍になったからといって、すぐに北朝鮮にミサイルを放り込むことに賛成する国民はほとんどいまい。結局やることは今までと同じく平和的に抑制的に外交努力を重ねることでしかないのだ。国防軍路線は軍備拡大による国民負担を増加させるだけで、現実の国際環境に好影響は一切与えない。

穏当な落としどころは「自衛隊合憲」としつつ、9条も温存するという戦後日本が採用し、事実70年の平和維持実績を誇る選択しかないのである。護憲論とは、改憲派のレッテル貼りにも関わらず、最も現実的で有意義な選択なのだ。

首相の卑劣にして無意味な提案にオタオタせず、理性的に判断することが重要である。
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