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2017年05月07日13:08

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【映画】 独裁者と小さな孫 【☆4.0】

※記憶保持が主目的の為ネタバレ全く自重していませんので、今後観る予定のある方は読まないことをお薦めします。
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【独裁者と小さな孫】 (DVD)
2015年
総合評価 3.9 → ☆4.0

「シナリオ」 (1.0) … 4 → 4
「演出全般」 (1.2) … 4 → 4.8
「心理効果」 (1.5) … 4 → 6
「視覚効果」 (1.1) … 3 → 3.3
「音響効果」 (0.9) … 4 → 3.6
「教養/啓発」 (0.8) … 5 → 4.8
「俳優/声優」 (0.7) … 3 → 2.1
「独創性」 (0.8) … 4 → 3.2
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【ストーリー】
革命により素性を隠して国内を逃亡する羽目になった独裁者とその孫が、国民達の不幸を等身大で味わうロードムービー。
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≪キーワード≫
グルジア 政治系

【魅力】
・期待を裏切らない展開
・演出全般
・教養

【不満】
・説明不足

【印象に残ったシーン・台詞】
色々
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【少し突っ込んだ感想】
傍若無人な独裁者が無様に逃げ回る、という設定自体面白いけど、シナリオ展開は決してその期待を裏切らず、独裁政権の業が存分に主人公に降りかかる。その様は一種の不条理劇でも観ているかのようだけど、不条理劇のような芸術性はなく、あくまでリアリティを楽しむよう意図されていると思われる。

独裁者は特に人間性が破綻しているわけでも無く、少し厳格で冷酷だけど、子煩悩で孫バカな老人。寧ろ、クーデターを起こした新政権の兵士の方が結婚式途中の花嫁をレイプ(凄く、早かった)したり、風俗で料金踏み倒すなど、不快感を感じる行動が目立つので、客観的な目線で観ることができる。

独裁者の威厳が失われていく様が、この作品の最大の見どころの一つだけど、同行する孫の存在がその効果を一層際立たせる。孫は単なる甘やかされたワガママなガキで、現状認識も出来ずに逃亡の足手纏いになる上に、落ちぶれた自身の姿を見られている、というだけで独裁者のプライドがズタズタにされている様が伝わる。

とはいえ、この作品が伝えたいのは、独裁者の罪というよりも、独裁「政権」の罪と言ったところだろう。様々な不幸を生み出したものの、独裁者自身が預かり知る部分はほんの一部でしかなく、現実に手を下したのは、革命後に善人面で躍起になって独裁者を狩ろうとしている兵士達だったりする。最後に達観した目線を持った人物の言動により、真のエンディングは鑑賞者に委ねられることになる。とても丁寧に作られた秀作だと思う。


【蛇足】
赤いデブが独裁者裏切って脱出させなかったけど、それ以前に脱出した独裁者の家族は無事だったのだろうか?無事だったとすればその理由の説明が無かったのが不完全燃焼。あと幼女の正体も謎。
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