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2017年05月04日12:21

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ハンブルクバレエ ジゼル

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Music: Adolphe Adam
Traditional Choreography: Jean Coralli, Jules Perrot, Marius Petipa
Staging and new Choreography: John Neumeier
Artistic Adviser: Natalia Makarova
Set and Costumes: Yannis Kokkos

Musikalische Leitung: Simon Hewett
Orchester: Hamburger Symphoniker

2017/4/30 15:00 ハンブルク州立歌劇場

Giselle: Carolina Agüero,
Herzog Albert: Alexandr Trusch,
Myrtha: Leslie Heylmann,
Hilarion: Dario Franconi,
Bauern-Pas de deux: Madoka Sugai, Bauern-Pas de deux: Aleix Martínez,
Zulma: Mayo Arii, Moyna: Lucia Rios,
Berthe: Patricia Friza,
Bathilde: Emilie Mazon,
Der Prinz von Kurland: Eduardo Bertini,
Wilfried: Aljoscha Lenz

2017/4/30 19:30 ハンブルク州立歌劇場

Giselle: Silvia Azzoni,
Herzog Albert: Alexandre Riabko,
Myrtha: Anna Laudere,
Hilarion: Carsten Jung,
Bauern-Pas de deux: Florencia Chinellato, Bauern-Pas de deux: Jacopo Bellussi,
Zulma: Mayo Arii, Moyna: Xue Lin,
Berthe: Patricia Friza,
Bathilde: Emilie Mazon,
Der Prinz von Kurland: Eduardo Bertini,
Wilfried: Graeme Fuhrman

GWにハンブルクにジゼルを観に行ってきました。シルヴィアとサーシャのリアブコ夫妻のジゼルがお目当てでしたが、4/30は午後と夜の2回公演があり、一日で2つのキャストを楽しめました。

夜の回、シルヴィアとサーシャの公演から。

素晴らしかったです…!!!

とてつもなく完成度の高い濃密な公演で、すっかり彼らが作り出す世界に引き込まれてしまいました。終演後、ほぼ満席の会場の観客のほとんどがスタオベで暫く拍手がなりやまなかった。現地のファンも、何度もこの作品を観ているけどこんなのは観たことないと感激しきりでした。

シルヴィアのジゼルが入魂だったと思います。ノイマイヤー版ジゼルは筋書きはほぼ古典通りで、主要な振付も古典版をかなり残してあり、少しだけストーリーの詳細をふくらませる手を加えることでヒューマンドラマを際立たせるという作り。シルヴィアは見事に、素晴らしいテクニックと感情表現でその意図を演じ切っていました。村娘ジゼルのときは体は弱いけど明るくて清らかな少女、アルブレヒトの正体を知ったときは怒りと絶望、そしてウィリになった彼女はアルブレヒトに対する愛情だけに浄化された慈愛のジゼル。特にウィリは母性と神聖さと熱い愛情が一つになった表現で心にひたひたとしみました…。この素晴らしいジゼル、もちろん演技力もなんだけど、やっぱり彼女が本来持っているピュアな部分がそのまま反映されているのだと思います。

こんなに素晴らしかったのに、彼女実は体調が悪くて大変だったのだそう。パフォーマンスからは全く分からなかった。ほんとプロフェッショナルだわ。

サーシャのアルブレヒト、こちらも見事という他ないパフォーマンスでした。去年も彼らのジゼルを観たのですが、そのときちょっと違和感のあった1幕の演技が今回はしっくりきた。彼のアルブレヒトは、意外にも花占いするジゼルを小馬鹿にするようなちょっと浅い男で、でも彼女が壊れ始めてからは他のことが考えられないほど頭が真っ白になり、亡くして初めて彼女の大切さに気づき、救ってもらって本当に彼女を愛するようになるっていう感じ。私は彼の2幕登場シーンが好きだなー。スモークのなかにシルエットで浮かび上がるマントを着たアルブレヒト、このときの存在感が半端ない。その後のコンテの動き入った慟哭のシーンは彼の真骨頂(たまらん)。そしてあの古典の難しい振付を何と美しく正確に、しかも音楽性たっぷりに踊ることか!細かい足捌きも見事で、つま先まですっとシャープに伸びる感じとか大好きー。アントルシャも本当にきれいだった。39才の今でこれってことは、若いとき踊らせたらどんなだったんでしょうね?恐るべし。

そして言うまでもないことですが、彼らのパートナーシップの素晴らしいこと!2列目かぶりつきで観ていてもどこからリフトされたのか分からないほど滑らかな動き。ユニゾンも完璧にシンクロするし、感情のやりとりも緻密で濃密。

はー、ほんと、いいもの観ました。実は行くことを決めたのはキャスト出てからだったのでほんの二週間前。フライトも高いしかなり逡巡したのですが、行くと判断した自分をほめてあげたい!これ、恐らく彼らの最後のジゼルなんです。だから無理して行ったけど、その甲斐がありました。

さて、主役二人にだいぶ割いてしまったけど、それ以外のキャストもみなとてもよかった!ヒラリオンのカーステンは無骨な男を好演、踊らされる演技も真に迫っていました。バチルダ役のエミリー、ワガママでちょっとSなお嬢様がはまりすぎて怖いくらい。

ミルタ役はアンナ・ラウデール、背が高くて悲しげな風情がミルタにぴったり。ただしノイマイヤー版のミルタはそれほど怖くなくて、ジゼルの愛の強さに動揺してあなたの言い分だけは聞いてあげるって言ってるように見えました。そしてウィリ達。ノイマイヤー版では、彼女達がジゼルの愛に動揺して隊列を乱したり、ジゼルの舞を腕をだらんとたらして見たり、と、彼女達にも人間だったときの感情が残っているような表現です。これをコールドのメンバーが実にうまく演じていました。

次は午後の公演。主役はカロリーナ・アグエロとサーシャ・トルシュ。

午後の公演もなかなかよかったです。カロリーナは古典のテクニックはシルヴィアには叶わないけど、でも情感たっぷりのジゼルでした。彼女のジゼルは最初から儚い感じで、シルヴィアのそれと比べると古典の解釈に近いかも。トルシュは、前に観たときは踊りはうまいけど演技ができてないなって思ってしまったのですが、今回は役がしっかり身についてる感じで凄く進歩してる!と嬉しい驚きでした。彼のアルブレヒトは、最初からジゼルに本気でとても純情。領主様についてくる乗馬服姿の人達(たぶん貴族なのかも)に対して反発するっていう独自の演技が入っていて、アルブレヒトはこういう生活や身分に何か満ち足りないものがあってジゼルを愛したのだろうなあと思わされるなど。一晩ジゼルに守り抜いてもらったあとは、リアブコ流とは違って、新しい想いに目覚めて前を向いていく感じでした。彼のキャラには合ってると思います。が、あそこですっきりされちゃうとこのクズ男が!って思ってしまうのですよ女性の心理としてはね…(クズ男云々は、Twitterのバレエクラスタの間でちょっと前に話題になっておりました。ご興味あればTwitter検索してみてください)

ただ古典のテクニックだと、年齢差がかなりあるのに関わらず、トルシュよりリアブコの方がかなり上なんだなーと改めて思ったりもしました。古典をあまり踊る機会がないのにどうやってあのレベルを維持してるの、サーシャ・リアブコさん?不思議な人です。

ペザントパドドゥは円加ちゃんとアレシュ・マルティネス。弾けるように元気がいい、そして幸福感いっぱいの演技。円加ちゃんはテクニックはもちろん凄いんですが、そこから生まれる余裕を演技に使ってるのがとても好き!手先足先、視線の送り方、表情まで、ほんとに細かく気を遣ってます。この感覚、誰かに対して感じたことあるな…と思ったら、新国の小野絢子さん。ルックスは全然違うけど、演技の細部への心配りは似てると思う。(まあ個人的な感覚ですけど)

次のハンブルク訪問は三週間後、いよいよニジンスキーです。5月下旬にまたくるよと言ったらダンサーにあなたはドイツに住んでるのかと聞かれました。住めるものなら、住みたいです!

昨年2月に観た、シルヴィアとサーシャのジゼルの感想はこちら→  
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950553951&owner_id=2438654
昨年7月に観た、コジョカル&トルシュのジゼルの感想はこちら→
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1954284880&owner_id=2438654
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