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2017年04月21日07:58

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新国立劇場「フィガロの結婚」(初日)

4月20日 新国立劇場
指揮:コンスタンティン・トリンクス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

出演
アルマヴィーヴァ伯爵 ピエトロ・スパニョーリ
伯爵夫人 アガ・ミコライ
フィガロ アダム・パルカ
スザンナ 中村恵理
ケルビーノ ヤナ・クルコヴァ
マルチェッリーナ 竹本節子
バルトロ 久保田真澄
バジリオ 小山陽二郎
ドン・クルツィオ 糸賀修平
アントーニオ 晴雅彦
バルバリーナ 吉原圭子

 いつものダンボール・フィガロ。何度も見てるんでそろそろ飽きてきたが、それなりによくできているし、設営が簡単なので劇場的にはいいのかも。特に今回のようなオテロの裏(表か?)なんかにはピッタリなんだろう。でもそろそろ新演出も期待したいところ。

 演出は見なくてもいので、期待は歌手。新国モーツァルトは歌手のバランスをよく考えて揃えてくるのが売りだが、今回もなかなか揃っていた。

 よかったのが、ケルビーノのクルコヴァ。スマートな美人で美少年ズボン役にピッタリ。声も少し高めのメゾでこれもまたピッタリ。アリアも1幕と2幕で歌い方を変えてきたし、声質や表現力も単純ではない色合いを持っている。様式感もあってベルカントも行けそう。カプレーティのロメオなんか最高なんじゃないだろうか。プロフィールによるとマリア・ストゥアルダのエリザベッタも歌っているようで、なかなかの汎用力。年も30代半ばと、売り出し真っ最中というところか。お気に入りリスト入り決定。なんでもいいからまた来て欲しい。

 ミコライは新国初登場のエルヴィラですでにお気に入りリスト入り。役柄的にはエルヴィラだと思うが、コンテッサもよかった。時々エルヴィラ感が出てしまうが、元がロジーナなんでそれも悪くないし、実はコンテッサ自身も外面と内面で分裂しているということがよく理解できた。2幕のアリアは少し緊張していたが。3幕のアリアはよかったし、4幕の許しの場面は見事。

 中村のスザンナは持ち役だろう。自分が前に出るのではなく、他の歌手を支えながらしっかり狂言廻しを努めていた。フィガロがその点今一つだったので、大奮闘。それでも聴かせどころの4幕アリアは、それまであまり表に出さなかったスザンナの真情を表現して見事。立派に国際レベルであることをみせてくれた。またレチタティーボにはほれぼれ。イタリア語わからないのに、わかりそうな気がする。クルコヴァとペアでカプレーティやってくれないかしら。

 伯爵のスパニョーリはよく名前を聴くが聴くのは初めてで、初来日のよう。明るい声のバリトンで、さすがにベテランの安定感。しかもブッフォの呼吸をしっかり持っている。ダンディーニなんか最高だろうし、セビリアのフィガロもよさそう。今回もフィガロと持ち役交代してたら、もっと盛り上がったかもしれない。今度はロッシーニでぜひ。

 フィガロのパルカは代役のようで、まあ若手なんだろう。声量はあるし頑張っていたのはわかるので別に悪くはないんだが、この役はほんと難役。ドラマの中心なので、ブッフォの呼吸と狂言廻しとしての能力がないとなかなか満足できない。それを持っている若手歌手はほんとに人材不足。これを克服するにはイタリアの音楽教育しかないと思うので、イタリア政府は世界遺産レベルの伝統文化として、育成すべきだろう(ちょっと偉そう)。

 日本人の脇役歌手陣はチーム新国としてなんの文句もない。竹本は完全に十八番。小山も持ち前の美声で気を吐いていた。そして、彼らが入ったときのアンサンブルがこの公演の最高の聴き物。

 さて、指揮。最初は居心地の悪さでお尻がムズムズ。一生懸命歌手に合わせようとしてるんだが、合わせようとしているのは合っていないということ、これは男女の仲と…。

 クルコヴァが最初のアリアの途中で突っ込んで入ったので、それまで寝ていた指揮とオケがビックリしたようで、そこから少しはまともになった。活を入れるためにわざとやったんだとしたら、この歌手凄いな。2幕フィナーレでようやくそこそこまともになったが、それでもまったくワクワク・ドキドキしない。何度も見ていて全部わかってる観客を、それでもドキドキさせるのが指揮者の腕の見せ所。

 神様ゼッダ(本当にお世話になりました…)やムーティと比較して、ブッフォの呼吸と言ってもしょうがないし、まあ仕方がない。後半は歌手の頑張りもあってなんとか聴けたが、終わって肩が凝っていた。フィガロで肩が凝るとは…。前に聴いたと思う、ドン・ジョバンニの方がよかったかも。まあ、真面目で誠実なのが取り柄というところだろう。なぜか聴衆には受けていて、ブラボーも出ていた。

 天井桟敷は私のようなオヤジに占拠され、ちょっと殺伐としていて、小競り合いも発生していたよう。なんかの会合でもあったのだろうか。まあ、小競り合いは舞台の上だけにしましょう。
 クルコヴァちゃん目当てにまた行きたいが、今回は本当にここまで。後はジークフリートに向けて体力温存。


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