「ふるさとの訛り懐かし停留所」

バス停留所で
老人がものすごく大きな声で喚いている
携帯電話かスマホに向かって怒鳴っているようだ
「ぬずかんぬいっぽんなんだよ！」
「・・・」
「だからよ　ぬずかんぬいっぽんなんだってばよ！」

見るとバス停の時刻表を覗き込んでいた

つまり
「２時間に１本しかバスがない」ということを
電話の向こう側に説明している

「２時間に１本しかバスが来ないから　約束の時刻には間に合いそうもない」とかなんとか

「ぬずかんぬいっぽんなんだよ！」

おれは東北出身者ではないが
こういう方言の響きが好きだ

むろん所沢にも独自の方言はあるが
どんなに老人でも方言を丸出しにしてしゃべることなどない

だから
件の老人は所沢出身者ではなく
ただ単に東北からやってきたひとなんだろう

そして最後にこう言放った

「ぬずかんぬいっぽんって　どんだけ田舎なんだべか」