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2017年04月13日07:25

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新国立劇場「オテロ」(二日目)

4月12日 新国立劇場
指揮:パオロ・カリニャーニ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

出演
オテロ カルロ・ヴェントレ
デスデモーナ セレーナ・ファルノッキア
イアーゴ ウラディーミル・ストヤノフ
ロドヴィーゴ 妻屋秀和
カッシオ 与儀巧
エミーリア 清水華澄
ロデリーゴ 村上敏明
モンターノ 伊藤貴之

 急遽参戦することにした。後半だけだと思ったが、なんとか開演に間に合ってラッキー。職場から新国まで1時間というのは本当にありがたい。

 初日と比べて、全体の流れは遙かによくなった。特に2・3幕。これらの幕は、緊張と緩和が波のように繰り返しながらクライマックスへと向かうように、恐ろしく緻密に構築されている。初日はその波が少しギクシャクしていたが、かなり改善されていた。

 2幕のハンカチの四重唱は、歌手を狭い台の上で歩かせる演出なのでタイミングを合わせるのが難しいのかもしれない。特にドレスを着たデスデモーナ役は大変。このあたり演出と音楽どちらが優先なのか、難しいところ。3幕のコンチェルタートの前半も、やはり複雑で難しい場面。初日よりはよかったが、楽日にはもうひとまとまりするんじゃないだろうか。

 指揮は、緊張のところで少しリズムを前のめりにするとヴェルディらしさが出てくるが、後期なのでやり過ぎても駄目だし難しいところ。ダイナミックに音楽を動かすというより、響きを重視して構築する方を優先するタイプのよう。指揮者の趣味なんだろう。秋にバッティストーニが同じオケでこの大傑作をどう料理するか、逆に楽しみになった。

 ヴェントレは、初日よりさらに力の入った歌唱。2幕以降は全力できてくれた。素晴らしかったのが3幕のモノローグ。ここが数多くのヴァルディのバリトンも含む名アリアの頂点であり、極北であることをわからせてくれる歌唱だった。4幕も初日と同じく見事。カテコでガッツ・ポーズも出ていたし、やりきったという感じだったんだろう。凄いブラボーだった。

 ファルノッキアも初日より遙かにいい。3幕のオテロとの二重唱は、ある程度中低音で押すことが出来ていたので、ただの綺麗事じゃない表現の幅が出ていた。コンチェルタートも、埋没しないでしっかり全体をリードしていた。3幕で頑張った分4幕のアリアは初日の方が美しかったが、これは仕方がないところ。全体を通してみれば昨日の方が感銘度が深かった。これもブラバー。

 それ以外の歌手は初日と同じ感じ。清水はかなり飛ばしていて、4幕では泣かせてくれた。エミーリアで泣かせられるのは彼女ぐらいじゃないだろうか。スズキは歌ってるのだろうか、役柄的には違うかもしれないが、ちょっと聴いてみたい気がする。

 ソワレとあってマニアが集まっていたようで、会場の雰囲気もよかった。隣にイタリア人の男性2人組がいて、マニアらしい雰囲気だったが、カテコでブラボー・ブラバー飛ばしまくってた。清水と与儀にブラボーしてくれたのにはちょっと感激。さすがにわかってるじゃないか。日伊同盟ということでこっちもつられて声かけしたが、ネイティブのようにはいかないものだと痛感。まだまだ修行が足りない。声かけの勉強にイタリアに学びに行かなければ。

 外国人の姿がかなり見られたが、新国もいよいよ世界と勝負できるオペラ・ハウス目指して頑張ってもらいたいものだ。

 

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