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2017年04月10日06:29

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新国立劇場「オテロ」(初日)

4月9日 新国立劇場
指揮:パオロ・カリニャーニ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団・世田谷ジュニア合唱団

出演
オテロ カルロ・ヴェントレ
デスデモーナ セレーナ・ファルノッキア
イアーゴ ウラディーミル・ストヤノフ
ロドヴィーゴ 妻屋秀和
カッシオ 与儀巧
エミーリア 清水華澄
ロデリーゴ 村上敏明
モンターノ 伊藤貴之

 プレミエのルチアの後で、レパートリー公演のオテロ。日曜日とあって満員だった。

 ヴェントレは、去年アンドレア・シェニエを聴いて、その時オテロがいいんじゃないかと書いたが実際にやってくれた。スカラにムーティ指揮のマントヴァでデビューしたとプロフィールにあり、パワーだけじゃない柔らかい表現もできるのがいい点。1幕の二重唱はそのあたりが生かされていた。力にも不足はなく後半に向けて調子を上げ、オテロの死は渾身の歌唱だった。

 ファルノッキアも度々聴いている。フリットリとレパートリーがかぶり声質も似ていて、どうしても後塵を拝するということになるが、いいソプラノ。高音に綺麗な響きがあり、それとピアニッシモを駆使しての柳の歌〜アヴェ・マリアは素晴らしかった。ただ中低音が今ひとつで、3幕のオテロとの二重唱はもうひと頑張り欲しいところ。初日なのでセーブしていたのかもしれない。

 ストヤノフはブルガリアのバリトンということ。声量で押すタイプでなく、最初は目立たなかったが、なかなか知的な歌唱で悪くはない。いかにもという悪役を演じるのではなく、ほとんど表情を変えずに悪巧みをするところが逆に悪そうでよかった。他のヴェルディ・ロールも聴いてみたい気がする。

 よかったのが脇役の日本人歌手。豪華メンバーで、アンダーの小林厚子を加えれば別の演目で一公演できそう。このオペラ、さすがにシェイクスピアだけに、脇役がしっかりすると演劇的に厚みがでる。清水のエミーリアは隠れ十八番だが、与儀のカッシオがよかった。オテロの妄想でデスデモーナとカッシオが親密になる演出なので、カッシオがオテロに対抗すると、ドラマに説得力が増す。

 指揮は前にナブッコを聴いたが、その時と同じでメリハリをつけた、かなりオケを引っ張る指揮。東フィルもよく応えていたと思う。帰りの初台の駅でチェロの綺麗なお姉さんがベンチに座っていたが、心の中で、「お疲れ様、チェロよかったですよ」と言っておいた。2幕のハンカチを奪うところの4重唱や3幕のコンチェルタートの前半で、少し緊張感を失っていたが、このあたりは初日なので仕方がないところ。カテコでブーが出ていたが、ブーするようなものではない。1幕の喧嘩の場面なんて、下手な指揮者ならなにがなんだか、となるところもしっかり裁けていた。合唱は巧すぎて、キプロス(ヴェネチアか)の民衆はこんなに歌が巧いのか、と逆に思っちゃうほど。まあ、贅沢。世田谷ジュニア合唱団も結構うまかった。

 シーズン後半に向かうところだが、安定飛行というところか。楽日に向かってよくなるとは思うが、今回は初日で終わり。後はフィガロで軽く繋いで、トリの大ネタ、ジークフリートというところ。

 しかし、女性の嫉妬は世界をも崩壊させるというのに、男性のはただの自滅か。ホント、男は小さいもんだな…。

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