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2017年04月05日05:16

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東京春祭「神々の黄昏」(演奏会形式・楽日)

4月4日 東京文化会館
指揮:マレク・ヤノフスキ
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ

出演
ブリュンヒルデ クリスティアーネ・リボール
ジークフリート アーノルド・ベズイエン
ハーゲン アイン・アンガー
グンター マルクス・アイヒェ
グートルーネ レジーネ・ハングラー
アルベリヒ トマス・コニエチュニー
ヴァルトラウテ エリーザベト・クールマン

 やはり職場で所用が入り、だめなら2幕からと思ったが電車の神接続でギリギリ・セーフ。経験上こういう時はいい公演になることが多いが、予想通りになった。初日もよかったが、それを超える神公演。素晴らしかった。

 指揮は基本は初日と同じだが、やはり2回目とあって余裕があった。初日はグイグイ引っ張っていく指揮だが、昨日は少し手綱を緩めていた。その分、オペラとしての有機的な絡み合いがより生まれていた。初日のドキドキ感も捨てがたいが、完成度では昨日の方だろう。

 凄かったのが第2幕。ここは陰謀や裏切り・嫉妬など人間のネガティブな感情が渦巻き、それが表面的な華麗さの中で展開する、最もオペラ的な場面。ローエングリン第2幕の発展形態で、なみいるワーグナー指揮者が、腕によりをかけるところ。ここを凄い集中力の直球で描ききった。下手にいじって恐ろしさを強調するより、よっぽど恐ろしい。

 3幕最後も、それまで強面を貫き通してきたのに、ほんの少しオケを歌わせて感情をほとばしらせる。怖いオヤジが実はいい人だった、というギャップ萌えに泣けた。

 歌手でリベンジしたのがベズイエン。初日でまともだったのは3幕だけだったが、昨日は前半も声が出ていた。もともとリリック・テノールで、ローゲあたりのキャタクター・テノールが本領だろう。ジークフリートはほとんど歌ったことはないと思う。急な代役は厳しかったんだろう。2日間の休みにかなりリハしたのかもしれない。昨日も3幕の森の小鳥との回想場面は、声質に合っていてよかった。これなら十分。

 本役のリボールも素晴らしいブリュンヒルデ。強さもあるが柔らかさと弱音もあり、包容力がある。こちらも初日降板のリベンジとあって全力できていた。特に自己犠牲は、最高レベルの歌唱。初日代役のパワー勝負のティームとはタイプが違って好みが分かれるが、日本ではリボールの方が好まれるだろう。イゾルデもいいと思う。とにかく、タイプが違う実力派のブリュンヒルデが2人続けて聴けたのは贅沢だった。

 それ以外の歌手は初日と同じく文句なしだが、中でもハングラーはやはりいいことを再確認した。来年エルザを歌うという情報があるが本当だろうか。そうならば楽しみだ。

 秋に新国で黄昏の公演があるがこれを超えるのは厳しいかも。もうひとつのワーグナーオケ読響がピットに入るということなので大丈夫だとは思うが、新国もぜひ頑張って欲しい。

 しかし、結局女性の嫉妬が神々の世界をも崩壊させるとは…。ワーグナーもかなり女性では苦労しているようだ。げに恐ろしきは、……。
 

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