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2017年04月01日13:35

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政治   共謀罪(テロ等準備罪)を知りたければ昨年トルコで起きた”クーデター未遂”後の政府による野党、ジャーナリスト、教職員、裁判所判事らの一斉逮捕・粛清を参照しよう 

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201704010818466






2017年04月01日08時18分掲載  無料記事  印刷用

政治

共謀罪(テロ等準備罪)を知りたければ昨年トルコで起きた”クーデター未遂”後の政府による野党、ジャーナリスト、教職員、裁判所判事らの一斉逮捕・粛清を参照しよう 


  今、国会に内閣から提出され、いずれは強行採決の可能性もある共謀罪(テロ等準備罪)法案は戦前・戦中の軍国主義を後ろから支えた治安維持法と本質的には同じで、市民活動に対する危険性を帯びた法律案である。

  犯罪の実行よりはるか以前に逮捕可能となるほか、捜査当局とつながった”スパイ”が組織に潜入して犯罪を煽って組織の構成員を一網打尽に逮捕することもできるようになる。しかも当該の”スパイ”が無罪になることができる条文もある。国会答弁では「LINE」のようなソーシャルメディアでも「共謀」は成立するとされ、もしスパイ的な人物が共謀罪の構成要件に該当する277の犯罪を唆した場合は、当局に通報する以外に(もし犯罪の着手があったとされた場合は)「共謀罪」から逃れることができなくなる。

  こうした事例を考える際に最も身近な事例がトルコで昨年夏に起きたクーデター未遂のケースだろう。トルコのエルドアン政権に対するクーデター未遂事件の後、事件を引き起こした軍人だけでなく、なんと野党よりの新聞社・放送局、政治家、教職員、判事などが一網打尽に逮捕・粛清されたケースである。

  あの事件ではアメリカに事実上、亡命しているフェトフッラー・ギュレン師(エルドアン氏の昔の仲間である)がエルドアン政権へのクーデターを煽っていたとして、「ギュレン運動」に共鳴していた人々を共謀で一網打尽にしたのである。逮捕に当たって個々の人々がどのように具体的なクーデターへの関与が現実にあったのかどうかは、当時、国際的には報道されなかったために謎である。そもそもクーデターは秘密裏に行われるもので、何万という公務員が「共謀」していたとは常識的に考えられない。そんな愚かなことをしていたら政府に察知されるだろう。


  日刊ベリタで去年、この件を紹介した記事から。

  エルドアン氏へのクーデター未遂事件が起きたのは昨年の7月15日だったが、7月28日付の(フランスメディアの報道によれば)言論機関への一斉弾圧が行われたことが印象深い。

■7月29日「トルコのエルドアン政権の言論弾圧が進行中 『非常事態宣言』で新聞45紙、TV16チャンネル、15の雑誌、出版社29社、23のラジオ局、報道会社3社が停止措置、89人の記者らメディア職員も拘束される」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201607290150235


 さらに、エルドアン政権の報復・粛清の及んだのは報道機関だけでなく、三権分立を可能とするはずの司法権が徹底的に解体された。

■7月25日「非常事態宣言と行政府による司法権の徹底的解体  トルコのケースから」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201607250151491

 「エルドアン大統領が3か月の非常事態宣言をして、まずやったのが軍人と司法関係者の逮捕・拘束・解職でした。クーデターを起こしたのは軍人ですから、それはまだ理解できるとして、司法関係者が2745人もいきなり解職されるというのは驚くべき事態です。」

  実を言えばエルドアン政権がクーデター未遂の後に最も早く動いたのが判事たちの一斉検挙だった。これは最初から逮捕者リストがすでに作られていたのではないか、という疑いがもたれている。

■7月24日「トルコをめぐる報道  英紙ガーディアン『非常事態宣言下の大統領令で1043の私立学校閉鎖 資金は財務省が没収』」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201607242104070

 「エルドアン大統領は3か月の非常事態宣言発令後、初の大統領令として1043の私立学校の閉鎖を命じた。これらの学校はクーデターの発案者と非難されている米亡命中の宗教指導者フェトフッラー・ギュレン師の影響下にあるという理由だという。英紙ガーディアンが報じている。さらに1229の財団や組織、35の医療施設、19の労働組合、15の大学が閉鎖を命じられ、それらの資金は財務省が没収することになるという。」

  要するに、非常事態宣言を出した政府はクーデターへの共謀を理由に、エルドアン政権に反対する報道機関、裁判官や検察官、教職員、教育機関を徹底的に締め上げ、排除し、解体したのである。これはエルドアン氏の政治目標を実現する上での障壁を一気に排除できたことを意味するのではないか。

  もし、同様のことがこれから審議が始まる共謀罪のもとで起き(この法案のまま施行されたとして)、さらに改憲で裁判官に対する国民審査の条項が憲法から削られた場合、市民が司法をチェックする機能が失われる。それが何を意味するかと言うと、最高裁判事の任命を安倍政権が今後も継続していくと、最高裁判事が長官も含めて全員安倍首相のイエスマンだけになってしまう可能性があるということなのだ。このことは「緊急事態条項」と重ね合わせると、首相が立法・行政・司法の3つの権力をすべて掌握し、その元で警察と自衛隊(国軍化を改憲で目指している)を自分の一存で動かせるようにもなることを意味する。

  共謀罪は治安維持法と重なる危険な法律だが、去年トルコで起きた事象で十分に想像することが可能だと思う。トルコのエルドアン大統領が近代的な人権意識に立脚する世俗主義を捨てて、イスラム主義を根っこに据えた宗教原理主義国家を目指していることも忘れてはならない。この点でも日本の安倍政権と親和性を持っている。


村上良太


■ロイター通信 2016年7月19日
<トルコ、クーデター未遂で処分強化 教師など5万人停職に>
http://jp.reuters.com/article/turkey-security-idJPKCN0ZZ2XM

「同国ではこれまでに、兵士、警察官、裁判官、公務員、教師など約5万人が停職となったり、身柄を拘束されたりした。トルコ当局は19日、ギュレン師寄りとみられるメディアの活動を停止させたほか、教育省職員約1万5000人や情報機関職員約100人を停職とした。また、宗教局では492人、首相府は257人、エネルギー省は300人が解職処分となった。」


■報道機関もテロ等準備罪(共謀罪)の対象となりえる 報道を萎縮させる拷問と自白のセット = 改憲案では「拷問の絶対禁止」が欠落
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702230421574


■日本の司法は独立を保てるか? 最高裁判事が全員、安倍首相の応援団になる日 自民党改憲案の真の怖さ
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201606160619394


■国会と内閣  与党議員に三権分立の意識はあるのだろうか?
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201703260718270


■違憲の疑いが濃い安保法に基づく、日本の「テロとの戦い」 機能不全の三権分立の立て直しが急務
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201511250810593




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