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2017年03月29日08:44

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◆ 座れる列車「Sトレイン」意外な停車駅のワケ  自由が丘や保谷に停車、池袋は通過

◆ 座れる列車「Sトレイン」意外な停車駅のワケ  自由が丘や保谷に停車、池袋は通過

【東洋経済オンライン】 03/29
小佐野 景寿:東洋経済 記者



 土曜・休日は西武鉄道・東京メトロ副都心線・東急東横線・みなとみらい線を直通して秩父と横浜方面、平日は西武線の所沢と東京メトロ有楽町線の豊洲を結ぶ新しい列車「Sトレイン」が3月25日、運転を開始した。



 2人がけのクロスシートと長手方向のロングシートの両方に変えられる座席を備え、コンセントやWi-Fiも設置した西武鉄道の新型車両「40000系」を使用したこの列車の最大の特徴は、なんといっても「必ず座れる」座席指定制であることだ。



 西武では従来から座席指定の特急「レッドアロー」が走っているものの、東横線やみなとみらい線、副都心線ではこれが初の座席指定列車。

各線の沿線でも注目度は高く、運行開始初日にみなとみらい線の元町・中華街駅で開かれた出発式には、一番列車の乗客だけでなく新しい列車を一目見ようとする鉄道ファンらが早朝にもかかわらず大勢詰め掛け、地下のホームは賑わいを見せた。





● 停車駅はちょっと意外?


運行開始後最初の週末となった25・26日は、沿線の各駅で珍しそうに列車を見送る人やカメラを向ける人の姿が見られたが、日ごろSトレインの通る各路線を利用している人からは「なぜこの停車駅になったんだろう」と不思議がる声も聞かれた。



 例えば大ターミナルである池袋は、副都心線経由の土休日の列車では「降りられる」ものの乗車はできず、有楽町線経由の平日の列車は通過してしまう。

東京メトロによると、これは「需要を推定した上での判断」だ。

確かに、同駅は西武池袋線の始発駅でもあり、所沢や秩父方面に座って行きたいと思えば、同線の始発列車に座ることや、特急列車を利用することも可能。

あえて地下鉄直通の座席指定列車を停める必要はなさそうだ。



 だが、「意外」なのは池袋通過だけではない。



 その一つが東急東横線の「自由が丘」だ。

土休日に運行される、西武秩父(西武秩父線)−元町・中華街(みなとみらい線)間のSトレインの東横線内での停車駅は、渋谷・自由が丘・横浜の3駅。

同線の特急列車はこのほかに中目黒、武蔵小杉、菊名にも停車するが、Sトレインはこれらの駅には停まらない。

渋谷と横浜は同線の両端に位置する駅だけに停車しても不思議ではないが、なぜ中間の停車駅に自由が丘が選ばれたのだろうか。



 東急電鉄のwebサイトにある東横線各駅の紹介で、自由が丘は「『住みたい街』にランクインするおしゃれな街」として大きく取り上げられている。

同社が発表している2015年度のデータによると、自由が丘の1日平均乗降人員は9万7453人だ。

東横線と大井町線が接続する主要駅であり、紹介の文句通り「おしゃれな街」のイメージで知名度も高いが、乗降人員では特急が停まる6駅の中でもっとも少なく、特急の通過する日吉(通勤特急は停車)や綱島と比べても少ない。





● 観光要素のある駅で誘客図る


 同駅をSトレインの停車駅にした狙いは何だろうか。

東横線は、渋谷−横浜間を乗り通しても特急で26分。

通勤路線であり、有料の座席指定列車にはやや距離が短いこともあってか「これまではあまりそういった(座席指定列車の運行を求める)声はなかった」(東急電鉄)という。



 それだけに、同社が期待しているのはどちらかといえば東横線内のみの利用よりも乗り入れ他線との直通利用だ。

そこで、西武沿線からの誘客に向け、東横線内でも特に知名度が高く、観光要素のある自由が丘が停車駅に選ばれたという。

東急の担当者は停車駅について「お客様の意向などを伺いながら選んでおり、また今後検討させていただければ」といい、今後の利用状況などで変化する可能性も考えられそうだ。



 ちなみに、東横線・みなとみらい線を走るSトレインは土休日のみ、1日あたり2往復半と本数は少ないものの、両線では全駅の券売機で指定券が購入できるようになっている。

初の座席指定列車への意気込みがうかがえる部分だけに、ひょっとして平日のSトレイン運転に向けた布石か……とも思ってしまうが「特にそういった計画はない」(東急)という。



 平日に運転される西武線の所沢と東京メトロ有楽町線の豊洲を結ぶ列車でも、日ごろ西武池袋線を利用する人にとっては意外に思えるであろう停車駅がある。

保谷だ。同駅では朝の豊洲行きで乗車のみ、夜の所沢行きで降車のみ可能となっている。



 平日の池袋線内のSトレインの停車駅は、石神井公園・保谷・所沢の3駅。

このうち、所沢は特急を含めた全列車が停まるターミナルであり、石神井公園も特急と朝ラッシュ時上りの「通勤準急」を除いてすべての列車が停車する。

だが、保谷は特別料金不要の列車で最も速い「快速急行」も、次いで速い「急行」も停まらず、この3駅の中では異色だ。



 2015年度のデータによると、保谷の1日平均乗降人員は6万0058人で、西武全線92駅中で14位。

同駅視発着の各駅停車も数多く走っており、主要駅であることは間違いないが、乗降人員でいえば隣接する大泉学園のほうが多く、快速急行・急行が停まるひばりヶ丘や地下鉄線方面へと分岐する練馬など、他にも候補になりそうな駅はある。

その中で、保谷を停車駅に選んだ理由は何だろうか。





● 「有楽町線利用者が統計的に多い」


 保谷は列車の折り返しが可能だが、西武鉄道によると「そういった駅の構造面はSトレインの停車とは特に関係ない」といい、地域などの要望を受けたからでもないと説明する。

同駅を平日の有楽町線直通Sトレインの停車駅としたのは「あくまで利用状況などによって総合的に判断した結果」。

同社はその一つの理由として「同駅の利用者に、有楽町線の利用者が統計的に多い」ことを挙げる。

副都心線に乗り入れる土休日の列車は同駅に停まらないことを考えると、一定の説得力ある説明といえそうだ。



 一方で、駅の構造を理由に通過駅となったのは西武秩父線の横瀬。

特急が停まる駅だが、ホームの長さがSトレインの10両編成に対応していないためだという。



 鉄道会社にとって、列車ダイヤは利用者に使いやすい輸送サービスを提供するための「商品」。

列車をどの駅に停車させるかも、その重要なポイントになる。シートやコンセント、デジタルサイネージなど車両の設備に関心が集まるSトレインだが、従来から各線を走っている特急や急行とはちょっと違う、ある意味で「戦略的」ともいえる停車駅が果たしてユーザーにどう受け止められるか、あるいは変化していくかどうかも、これからの注目点といえるだろう。




      ◇◇◇

小佐野 景寿(おさの かげとし)
東洋経済 記者

1978年生まれ。
地方紙記者を経て2013年に独立。
小佐野カゲトシのペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。
2015年11月から東洋経済新報社記者
記事一覧 http://toyokeizai.net/list/author/%E5%B0%8F%E4%BD%90%E9%87%8E_%E6%99%AF%E5%AF%BF
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