mixiユーザー(id:2279985)

2017年03月26日20:52

523 view

『レコード・コレクターズ4月号』から考察する『Flowers In the Dirt』

フォト



手元にある2枚の『Flowers In the Dirt』
茶色がかったものは1989年にリリースされたもので、赤みのあるものは1993年にリリースされたもの
1993年版はボートラ3曲を含んでいる。


今年4月に来日予定のタイミングに合わせてか、ポール・マッカートニーのアーカイヴ・コレクション第10弾として発売されるアルバム『Flowers In the Dirt』(1989)のリイシュー盤が2タイプでリリースされる事になっていた。
2万円以上もするデラックス・エディションだなんて今の僕には手が出せられません・・・本当にSirポールには庶民の懐事情が理解されていないものです・・・



80年代を飾るポール作品として評価が高い『Flowers In the Dirt』に関してはポールのソロアルバムでは好きなアルバムの1つでもあり、このアルバムの発表から翌年には、ついに日本来日を果たした事も印象深いものとなった。(1990年のライブは行きました)
あれがあってそれを端とする今のポールが存在するのだと信じて止ない。





フォト


『レコード・コレクターズ2017年4月号』

【特集】 ポール・マッカートニー『フラワーズ・イン・ザ・ダート』

ポール・マッカートニーのアーカイヴ・コレクションの第10弾は、1989年の『フラワーズ・イン・ザ・ダート』。エルヴィス・コステロとの共作曲が収録されたり、新規メンバーや多くのプロデューサーも参加したことで彼自身の意欲も高まったのでしょう。80年代のポール作品としても特に評価が高いアルバムの、制作の過程に迫る豪華版の登場です。
http://musicmagazine.jp/rc/



アーティスト、そして作品を捉えてその考察に納得させる文面の多い雑誌『レコード・コレクターズ』の今月号はリイシュー盤リリースされる、ポール・マッカートニー『フラワーズ・イン・ザ・ダート』の特集、ジョージ・ハリスン紙ジャケ再発に伴う特集とジョン・ウェットン追悼特集も掲載されており、久々に読み応えのある内容だった。
殊にジョン・ウェットン追悼特集では数多くのロック・バンドに参加した経緯と、氏の象徴として生涯を費やしたエイジアの事などが記載されており、エイジアに関してはジェフ・ダウンズという有能なパートナーがいなければ、エイジア再スタートはなかっただろうと空想に更けてしまったぐらい・・・と、ジョン・ウェットンの事はここまでと(^^;


『Flowers In the Dirt』はエルヴィス・コステロとの出会いが大きな意味を持った作品として知られており、電話を通じて知り合ったポールとエルヴィスは、2人で多くの曲を共作し11曲も完成させたと語っていた。
うち4曲は『Flowers In the Dirt』に、2曲はエルヴィスの作品『スパイク』(1989年)に収録され、後にポールとの共作曲が聴きたくてついつい『スパイク』も購入した次第。


『レコード・コレクターズ』誌による『Flowers In the Dirt』の見解では前作(いや、前々作になるのか)『Press To Play』におけるエリック・スチュワート同様にエルヴィス・コステロとの共作アルバムを想定されていた事を記載されていた。
と、なると幻のアルバムと言うことのなのだろうか?
その根拠としてはデラックス・エディションに含まれる18曲のエルヴィス・コステロとのデモトラックの数々。


フォト




ポールにとってのジョン役とも揶揄されていたエルヴィス・コステロ、当時は宣伝文句として『ポールの曲に難癖を付けた』とか『そんなクズな曲』とかそんな文面ばかり目に付いていたのだが、いくらなんでもねと誰しもが感じていただろう、だってポール師匠にそんな事を言える訳がない。
後年に和久井光司氏によるコステロへのインタビューの中で『ああいう人が誰かの影響で変わる事はないと思うよ』は信憑性のある内容であろうか。
今を思うとこの作品群はビートルズらしさと言うものは感じられず、ポールの自分探しの果てに行き着いた80年代の総決算だったのだなぁと。

実際の『Flowers In the Dirt』では曲作は4曲のみに留まり試行錯誤の跡も窺える。
その結果、コステロの貢献度は低いものとなっていたのだが、リリース以前の泥沼時代から這い上がるきっかけとなったコステロとの共作作業においては、ポールはその事を忘れらなくてか、あるいはコステロへのお礼を含めてのデモトラックを公開する運びとなったのだろう。


と、まぁ、それはそれで好い事なのかも知れないのですが・・・これまでのアーカイヴ・コレクションでは未発表曲、デモトラックの他にシングルでしかリリースされずアルバムに収録されなかったレコードで言えばのB面曲も含めていた。
『Press To Play』に続き、このアルバムでもシングルカットにおいては複数のフォーマットで出るようになり、しかも収録曲が違っていたり別バージョンだったり、そう言った内容を総括させるものだと思い込んでしまったのだが、それが今回では一切なし、ダウンロードでしか聴く事が出来ない、おまけに今となってはポールがなかった事にしたかった曲は隠蔽されてしまい・・・
アーカイヴ・コレクションと言う名称としては、これはちょっと面白くないのである(´・ω・`)






*Paul McCartney - 'My Brave Face [Original Demo]'
https://www.youtube.com/watch?v=6-zrV_wIH34


アーカイヴ・コレクションリリースのトレーラー映像として『My Brave Face』のデモセッション映像が公開されていた。
デュエットで聴かせる『My Brave Face』、そもそもはこのような感じでリリースしたかったのか、あるいはポールとの共作を楽しむコステロの様子(それは反対だろう)を伺わせていただけだったのかも知れないが、初めて聴いた第一声での『My Brave Face』とは異なった様子に、共作を楽しみそして自分らしさを磨いているポールの雰囲気を掴めるようでとても興味深いものだった。
あぁ〜こう言う映像観ていると、デラックスは買えないけどスペシャルエディション、どうしよう!と気持ちが揺らいでしまうではないかw





フォト


本秀康‏ @motomotohide

レココレ今号の「レコスケくん」は『フラワーズ・イン・ザ・ダート』と『クラウド・ナイン』の関係性を軸に、ポール特集内ですがジョージにもスポットを当てています。『フラワーズ〜』は人生の数枚に入る好きなアルバムなので、それだけに描くの大変でした!是非読んでください!

13:43 - 2017年3月16日
https://twitter.com/motomotohide/status/842234820814024704




本秀康氏の描く泥沼時代ポールからポールのミラクル大作戦(それ知っている人って年齢分かるよなぁ)へと変貌を告げたコミック展開には、思わず納得してしまったw
ポールにとってジョージは何時まで経っても弟扱いで、ジョージにとってポールは厄介な奴と思っていたのだろうけど、80年代のビートルズメンバー復活の発端を切り開いたジョージの影響を得てか、ジョージの成功を真似たかのように歩んだ『ポールのミラクル大作戦』は分かりやすい。
あぁ、クラウド9も持ってますので。
ポールにとってのジョン役だったコステロはその後はジョン・レノン風の風貌になっていたとか??


今回ではここで最後にしておきたいのだが、『Flowers In the Dirt』と言うアルバムタイトルは『Flowers In the Dirt』と言う曲名があるのではなく10曲目にある『That Day Is Done(ふりむかないで)』の歌詞の一節『She sprinkies flowers in the dirt』から引用されている事に気がついたのは1990年ごろだったか。
当時は頻繁に聴いていた『Flowers In the Dirt』の歌詞カードを眺めていると偶然にもその一節が目に入ってしまった。

『彼女は花を泥の上に撒き散らす』

ワルツの展開で進行するこの曲はある女性の失恋を諭すものと言われているのだが、それはその事を比喩するものではなくポール自身の泥沼時代の怒りとそこからの決別の意思にも考えてしまうのだが、このアルバムがヒットしたこそ、その意味がそう感じさせてしまうのであった。

コステロが参加してもなお試行錯誤の跡も窺えるこのアルバムの謎は誌を読むことで、そうなのかなぁとか、やはりそうだったのかなぁと様々な思いを巡らす事が出きた。
曲そのものは素晴らしいし、何度聴いても20年以上経ったのに飽きないし、やっぱり紛れもない傑作アルバムです。

(おわり)
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する