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2017年03月26日10:33

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◆テレビに視聴者がうんざりしている真の理由 目先の視聴率狙いで繰り返される策にノー!

◆テレビに視聴者がうんざりしている真の理由 目先の視聴率狙いで繰り返される策にノーexclamation

【東洋経済オンライン】 03/26
木村 隆志:コラムニスト
人間関係コンサルタント/テレビ解説者




 皆さんは今のテレビを見て、何かしら「これはおかしい」という不満や、「何でこうなの?」という疑問を抱いていないでしょうか?

1人の視聴者であると共に、テレビ局や関連会社に出入りしている私も、いくつかの不満や疑問を抱いてきました。

そこで200人の一般視聴者(10〜60代の男女各100人)に「テレビへの不満や疑問はありませんか?」というアンケートを実施。

皆さんには共感、テレビマンにとっては耳の痛い声が集まりました。

東洋経済オンラインは、多くのテレビマンも読んでいる媒体だけに、一般視聴者の率直な声を届けるとともに、改善のヒントを探っていきます。





●「無料放送だから大丈夫だろう」の過信


 最も多かったのは、「CM前後で同じ映像を見せられる」という不満の声。

「いいところでCMに行くだけでストレスがたまるのに、CM明けに同じ映像を見せるのは時間の無駄。 視聴者をなめているexclamation」(30代男性)、

「同じ映像を見せられた分、その後のハードルが上がるのに、大抵面白くない」(40代女性)

という厳しい声があがりました。

視聴者にしてみれば、「番組にのめり込みテンションが上がっていたのに、台なしにされてしまう」という印象が強いようです。



 そもそも、仕事や家事、趣味や自分磨き、SNSでのコミュニケーションなど何かと忙しい現代人にとって、無駄な時間に対するストレスはかなりのもの。

テレビもネットや本などと同じように効率よく楽しみたいのに、それができないのでは、不満を感じて当然でしょう。



 多くの番組がこうした演出をするのは、皆さんの予想どおり、「チャンネルを変えずにCMを見てもらいたい」から。

CMに入るとき、「絶対見逃せない」と思わせて、他の番組に変えられないようにしているのです。

テレビマン達は、未だ

「これ位の演出は大丈夫だろう」

「無料放送なのだから許容範囲でしょ」

という過信があるのかもしれません。



 しかし、当然ながら不満を抱いて見るCMへのイメージは良いものになる筈がありません。

テレビ番組に限らず現代人は、取捨選択の基準にイメージを重視するだけに、スポンサーにとっても得策とは言えないでしょう。



 また、最近の視聴者は、企業サイドの意図をスルーして自分に都合よく使いこなす賢さを持ち合わせているもの。

テレビでいえば、リアルタイムで見られるにもかかわらず、あえて録画して5〜10分程度遅れで視聴し、「CMを飛ばして、重複する映像も早送りする」という人が増えています。



 「テレビが面白くなくなった」と言われがちなのは、こうした無駄にハードルを上げる演出にも一因があるのは明らか。

テレビ局は、これまで以上に番組への好感度や信頼感を高めるとともに、「視聴者が思わず見たくなる」番組タイアップCMや、シリーズCMをプロデュースするくらいの本気度が求められている気がします。



 視聴者に「テレビ局の都合でCMをはさむクセに」ではなく、「CMの時間も楽しみにしている」と思わせるためにはどうすればいいのか。

クライアントやCMクリエイターとの連携を深めて、視聴者に選ばれるための工夫が必要でしょう。





●ユーザビリティ無視の番組開始時間


 2番目に多かったのは、「番組のスタート時間が、〇時54分などバラバラで分かりにくい」という声。

「最近の番組は分刻みで1分ごとに違うとか、まぎらわしくて困る」(50代男性)、

「どの局も同じ時間にスタートすればいいのに、何でそんな簡単な視聴者サービスができないのか?」(40代女性)、

「『数分だけ時間がかぶって録画ができない』とイライラさせられる」(30代女性)

という怒りの声が飛び交いました。



 40代以上の人なら、いかりや長介さんが「8時だョ!」と声をかけて、ドリフターズのメンバーと観客が「全員集合!」と返す『8時だョ!全員集合』(TBS系)のオープニングを覚えているのではないでしょうか。

かつては、殆どの番組が「〇時ちょうどか、〇時30分ちょうど」にスタートしていたのに、今では過半数が分刻みでズレているのです。



 テレビ欄を見てみると、8時台の『とくダネ!』(フジテレビ系)、『スッキリ!!』(日本テレビ系)、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)、『白熱ライブ ビビット』(TBS系)は、そろって8時丁度にスタート。

ここは足並みが揃っているのでOKです。

しかし、これ以降は、9時50分〜『ノンストップ!』(フジテレビ系)、10時5分〜『おびゴハン!』(TBS系)、10時25分〜『PON!』(日本テレビ系)、『ワイドスクランブル』(テレビ朝日系)と、5分刻みの分かりにくいスタート時間になります。



 その後、11時55分〜『バイキング』(フジテレビ系)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)があり、13時45分〜『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)、13時55分〜『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)、『ゴゴスマ』(TBS系)などの情報番組が続きます。



 夜の時間帯を見ても、例えば金曜では、19時56分〜『ぴったんこカン・カン』(TBS系)と『究極の〇×クイズSHOW!!』(日本テレビ系)、19時57分〜『金曜プレミアム』(フジテレビ系)、20時57分〜『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)、21時54分〜『報道ステーション』(テレビ朝日系)、21時55分〜『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)と、分刻みのスタート時間ばかりです。



 なぜこれほど細かいスタート時間を設定するのか?

その理由は、「他局より先に放送してチャンネルを合わせてもらおう」という視聴対策に他なりません。

夜の番組で、〇時56分・57分スタートが多いのは、「他局の番組が終わってCMに入ったタイミングを狙っているから」なのです。

ちなみに、ゴールデンタイムの連ドラは、すべて「〇時ちょうど」のスタート。

連ドラは「冒頭の数分を見逃すとその後を見てもらうチャンスが激減する」ため、意図的に避けているのです。



 ネット業界では、ユーザビリティの向上が必須事項ですが、テレビ業界は、さにあらず。

「他局を出し抜くために、視聴者の使い勝手は二の次にする」という姿勢は、時代の流れに合っていません。

そのことに薄々気づいている視聴者は多く、不信感を抱き始めていることが今回のアンケートで明らかになりました。

今後、他のエンタメやネットコンテンツに対抗するためには、各局で「紳士協定を作ってユーザビリティを整える」などの改善策が必要でしょう。





●3〜5時間の間延びした特番にうんざり


 3番目に多かったのは、「特番のような長時間番組ばかりなのはなぜ?」という疑問。

「1時間でもギリギリなのに、同じ番組を2時間や3時間も見ていられない」(20代男性)、

「クイズ番組とかトーク番組を2時間とか意味が分からない」(30代女性)

という戸惑いの声が目立ちました。



 1人あたりの趣味やツールが増えて時間の概念が細切れになる中、短尺のネット動画が普及した影響もあって、長尺のテレビ番組には逆風が吹いています。

しかし、テレビ業界の流れは、ここでも逆。

改編期だけでなく、365日ずっと長時間の番組を放送し、なかには3〜5時間の超特番も少なくありません。



 その意図は、日曜夜の『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)のように、「高視聴率の番組が2〜3本連続することはめったにないから、高視聴率の番組を長時間放送する方がいい」というもの。

また、長時間化することで経費が抑えられるため、「制作費を抑えつつ、特別感を出そう」という一石二鳥を狙っているのです。



 酷いのは、19時〜と20時〜の1時間番組を普通に放送するのではなく、「『2時間スペシャル』にして隔週で交互に放送する」というパターン。

もはや毎週のレギュラー番組とは言えず、多くの視聴者は

「中身を薄めて間延びさせただけ」

「『スペシャル』というフレーズを聞くだけでうんざり」

とがっかりしています。



 通常放送の見やすさと、特番の特別感を取り戻すために必要なのは、原状復帰。

日本テレビが放送する日曜夜の番組が支持されているのは、質の高さだけでなく、

「1時間ずつというレギュラー放送の形態を守っているから」

という側面も大きいようです。



 視聴者との信頼関係を築くためには、まず

「毎週この時間はこの番組が放送されている」

「この番組の次はこの番組が放送されている」という認知をうながし、

「毎週きちっと1時間で放送する」

という原点に戻るべきではないでしょうか。





●にぎやかしのタレントと内輪ネタ


 4番目に多かったのは、「出演者がおかしい」というタレントへの不満。

その多くが、

「出演者が多すぎる。 にぎやかしにしか見えないから厳選してほしい」(50代男性)、

「どの番組も同じタレントばかり。 しかも、芸のない人やおバカタレントが多くてつまらない」(20代女性)

というキャスティングに関するものでした。



 いわゆる「数字を持っている」本物のスターが減った分、多くのタレントを出演させようとするのは自然な流れ。

しかし、視聴者にしてみれば「面白くない人や、あまりしゃべらない人ならいらない」というのが本音なのです。



 さらに多くの声が集まったのは、タレント達が芸能界やテレビ業界の内輪ネタで盛り上がるシーンへの不満。

「そういう話に興味がない」(10代男性)、

「何を言っているのか分からない」(20代女性)とアレルギー反応を示し、

「だからテレビを見る時間が減った」(30代男性)

という人が少なくなかったのです。



 この状況を改善するために大切なのは、番組制作や芸能事務所との慣習からいかに離れるか。

例えば、

「一事務所、一出演を徹底する(バーター出演もなくす)」

「番宣出演を減らす」

「おバカを売りにするような構成を変える」

「自局でスターを育てる」

などの変化をもたらすことができれば、視聴者の不満は減るでしょう。



 実際に、番宣出演を一切認めない番組もありますし、イモトアヤコさんという日本テレビ発のスターも生まれるなど、決して無理なことではありません。

要は「我々テレビ業界の事情があるから」と逃げてしまうと、「テレビはつまらない」というイメージが加速するだけ。

視聴者はテレビマン達が、「自分達の慣習を優先して、視聴者をおざなりにしている」ことに気づきはじめているのです。





●“視聴率”への圧倒的な嫌悪感


 5番目に多かったのは、「芸能事務所によって扱いが違う」という反発。

「『この事務所に所属しているタレントのスキャンダルは扱わない』という区別はおかしい。 今ではテレビは嘘ばかりと思っている」(30代男性)、

「司会者とかドラマの主演とか、『事務所の力でねじ込んだんだな』と思って萎える」(20代男性)など、

強い口調の批判が見られました。



 「テレビと芸能界のもはや隠しきれないタブー」 (1月12日配信 http://toyokeizai.net/articles/-/153067)でも書いたように、視聴者に業界の事情がバレているのは間違いありません。

改善策は前項目と同じで、「これまでの慣習からいかに離れられるか」が鍵を握っています。



 視聴者の声を無視すれば、ますます批判はヒートアップし、テレビ離れは加速するばかり。

ビジネスである以上、全てを清廉潔白にやるのは難しいとしても、テレビ局と芸能事務所にとっての都合ではなく、視聴者を含めた3者の視点から、最も都合のいい着地点を早急に見つける必要性があるでしょう。



 ここまで、テレビに対する不満・疑問の上位5つを挙げてきましたが、その他にも

「昔の焼き直しのような番組が多い」(50代男性)、

「すぐに番組が入れ替わって落ち着かないので、最低1年間はやめないでほしい」(20代女性)、

「視聴者参加型の番組をなぜ作らないのか?」(40代男性)、

「アニメが夕方と深夜だけなのは納得いかない」(30代男性)、

「自分の好きな番組が低視聴率だったが、ネットの盛り上がりは凄かった。 なぜ他の指標を出さないのか」(40代男性)

などの意見がありました。



 これらの声は、「視聴率狙いで無難な番組を作り、視聴率が取れなければすぐに打ち切り、視聴率が取れないから視聴者参加番組やアニメを放送しない」など、そのほとんどが視聴率に対する不満・疑問に集約されます。



 今回のアンケートを見て感じたのは、

「面白い番組や好きな番組ほど録画するのに、視聴率以外の指標を作らないのはなぜなのか?」(30代男性)、

「毎日ネットメディアで視聴率に関するニュースを見て嫌な気持ちになる」(40代男性)

という声に象徴される、視聴率への強い嫌悪感。

同時に、視聴率の高低に一喜一憂するテレビマンたちのことも冷めた目で見ていました。



 ここ数年そんな状況が続いているだけに、視聴者が「明らかな視聴率狙い」と感じる策を繰り返すのは、自らの首を絞めるようなもの。

テレビ業界が映像制作技術でトップレベルであることに疑いの余地はありません。

しかし、視聴率という呪縛でその技術を存分に発揮できず、視聴者に不満や疑問を抱かせているという現状はもったいないとしか言えないのです。



 若年層の「テレビはつまらない」というイメージを覆すだけでなく、テレビを楽しんで育った大人層の心を離さないためにも、ここであげた不満・疑問が少しでも改善されることを願っています。




      ◇◇◇

木村 隆志(きむら たかし)
コラムニスト/人間関係コンサルタント/テレビ解説者

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。
さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。
著書に『トップ・インタビュアーの聴き技84』(TAC出版)など
記事一覧 http://toyokeizai.net/list/author/%E6%9C%A8%E6%9D%91_%E9%9A%86%E5%BF%97

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