日刊県民福井 2017年2月17日(金)
発達障害児向けに学習塾
「一対一」で指導 学校の支援態勢に不安
発達障害児を対象にした学習塾が増えている。講師が生徒に一対一で教えるなど、発達に違いのある子どもの特性に合わせて工夫を凝らす。学校での支援が不十分なことに不安を持つ保護者が多いことが、塾増加の背景にある。
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塾を運営するのは株式会社GUTS(ガッツ、名古屋市中区)。2013年に初めて発達障害児向けの塾を開設し、今は名古屋市内と愛知県豊田市に計四校を展開している。小中学生を中心に50〜80人の生徒がいる。
同社は、保護者から子どもの性格や成績、興味関心などを聞き取った上、運動や言語の発達段階をみるため、医療機関などで使われている発達検査を希望者に実施。子どもの特性をつかんで支援計画を立てて、授業をしているという。
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関東と関西で同様の塾を運営する業界大手「LITALICO(りたりこ)」(東京都目黒区)によると、発達障害児向けの学習支援の塾は全国的に増加傾向。同社は11年から発達障害児向けの塾事業を始め、現在74教室に8000人の生徒が通う。現在は定員いっぱいの状況で、入塾待機が5000人いるという。
「つまずきの原因知り 特性に合った指導を」
発達障害児向けの塾が増えていることについて、奈良教育大学の大西貴子特任准教授(発達障害心理学)は「本来は学校でしっかり支援態勢を作ることが望ましいが、現状では難しい。保護者が塾に支援を求めるのは理解できる」と話す。
塾であっても、子どもの発達に詳しい臨床心理士らが発達検査を通して、子どものつまずきの原因をまずはっきりさせることが必要と指摘。例えば、勉強に集中できない理由が読み書きの障害のためなのか、周囲に気になるものがあるからなのかを見分けておかないと、丁寧に教えても効果は上がらないためだ。
しかし「保護者の話しから、支援態勢が十分でない塾もあると感じる」という。
「塾の指導者は、つまずきの原因に基づいて、子どもに合った方法を柔軟に工夫をしながら指導してほしい」と要望する。
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