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2017年03月04日11:08

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東京バレエ団 ウィンター・ガラ

2017/2/23木 19:00- Bunkamuraオーチャードホール

◆「中国の不思議な役人」
振付:モーリス・ベジャール 
音楽:ベラ・バルトーク  

無頼漢の首領:森川茉央
第二の無頼漢―娘:入戸野伊織
ジークフリート:ブラウリオ・アルバレス
若い男:二瓶加奈子
中国の役人:木村和夫

◆「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:フレデリック・ショパン  

沖 香菜子−秋元康臣
川島麻実子−ブラウリオ・アルバレス
上野水香−柄本 弾

ピアノ:松木慶子

◆「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル

オレリー・デュポン
杉山優一  岸本秀雄 森川茉央 永田雄大

*「中国の不思議な役人」 と「ボレロ」は録音音源


オレリーのボレロが看板演目の東バのウィンター・ガラに行ってきました。かなり時間が経ってしまったけど、備忘録として感想を残しておきます。

中国の不思議な役人、過去に全編観たことあると思ってたのだけど、ほとんど記憶にありませんでした。同タイトルの作品だと、Noismのやつの役人が強烈に気持ち悪い印象なので、それを観てからだとこちらはちょっと大人しいかも、と思ってしまった。

木村さん入魂の役人が不気味で面白い。彼、ルックスもこの役にぴったりですね。首領の森川さん、演技がはまっていていい味を出してました。若い男の二瓶さん、美しかったな。ジークフリートのブラウリオ、演技頑張ってた!

ツイッターでどなたかが呟いていてなるほどと思ったのですが、この作品にはいろいろなバレエのメタファーが。若い男と首領とジークフリートの関係は「白鳥の湖」のオディールとロットバルトと王子の関係だし、果てる役人のシーンは牧神ですよね。興味深いです。

牧神が終わって休憩時間にホワイエに移動しようとしていたら、後ろから「バレエってこんなに安っぽいもんなの?!あの音楽がそもそもあり得ないし!」と怒った口調の大きな女性の声が聞こえてきました。後ろを振り返らなかったけど、会場には小さな女の子とを連れたバレエママみたいな人が結構いらしていたので、そういう人達のお一人だったのかなあ・・・。まあベジャールは好き嫌いが分かれるとは思いますが、音楽はバルトークの有名な作品ですよぅ!最近バレエ公演に人が入らないため、バレエ少女やママをターゲットにしたプロモーションが盛んにおこなわれていて、それ自体はいいことだとは思いますが、こういう方向けの公演ばかりになってしまったら、私はあまり楽しくないなあ、うーん、と考え込んでしまいました。

気を取り直して、イン・ザ・ナイト。この作品がこの公演で一番よかったかな。東バの若手プリンシパル中心の6人が踊るロビンスの世界。バレエフェスなどで観た名演に比べたらそりゃいろいろありますが、個人的にはみんな頑張ってるな!と嬉しくなりました。沖さん、本当に可愛くて踊りも繊細で、いいダンサーですねー。秋元さんは舞台での存在感とか演技力とか、もう文句なし。ロビンスを踊っていてもややロシアンだなぁとは思いましたが、それはそれで彼らしい味という感じかな。そして、最近私が東バで一番注目している川島さん、素晴らしい!日本人らしく繊細さがあるのは勿論なのですが、それと同時に彼女は適度な色気があって大人っぽく、舞台での存在感が大きいんですよねえ。我らがブラウリオも、このプリンシパル陣に混じって健闘。彼はテクニックの人というより、優雅さと演技力、そして美しい姿が持ち味。この日もその点よかったと思います。上半身の使い方、本当にきれいなんだよな。そして、最後の水香ちゃんと柄本君は、テクニックが必要なパートをきっちり踊りこなしてました。欲を言えば彼らにも、その前に二組のような情感がもうちょっとほしかったけど。あと、全体的に、個々人はとてもよかったけど、パートナーシップというか、相手との感情のやりとりという点ではまだまだ伸びしろがあるなとは思いました。

でも、こういう作品を若手のダンサーに踊らせるという考え方は、素晴らしいと思う。テクニックだけでなく情感で見せる、そういうことを覚えてダンサーはパフォーマーとして成長していくと思うので。ユカリューシャは、なかなかいろいろ考えているなぁ。

最後のボレロ。オレリーのボレロってあまり想像できなかったけど、この人は女王だなと思ったことがないので、やっぱり、ギエムのように支配する存在ではありませんでした。でも、メロディとリズムが融合して一つの作品となっている、という、本来ベジャールが創ったときのボレロが表現されてたのかな、と思った。ベジャール・バレエ・ローザンヌが来日したとき、割と若い女性ダンサーが踊ったボレロを観たことがあるけど、彼女よりはさすがにオレリーの方が存在感があるなぁとは思いました。しかし、この、メロディって、すっごくハードでテクニックのいる振付なのねえというのを改めて思い知ったり。助走なしにぽんとジャンプして空中できれいなポーズをとるの、女性だとそりゃ難しいですよねえ。

この作品はギエムが余りにも強烈すぎて、他の人が踊ると違和感を覚えてしまうのは、如何ともしがたいです・・・。そうそう、リズム陣は、さすがにこの作品はかなり踊り込んでいるのもあって、よかった。ギエムが踊るとメロディだけで作品が成り立っちゃうように思うのですが、リズムが強いボレロというのもよいと思う。むしろ、リズムがメロディを食っちゃうくらいのも、最後のシーンが怖くなって面白いかもね。
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