mixiユーザー(id:2616666)

2017年02月25日17:46

443 view

【共謀罪】合法的不正義の恐怖

■「共謀罪」法案の概要判明 薬物など5分類277種類
(朝日新聞デジタル - 02月25日 07:13)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4449559

以前の日記にも書いたとおり、昨今のテロはホームグロウンテロリズムを特徴としており、組織犯罪として行われないのであるから、テロ対策としての共謀罪など無意味である。無意味が言い過ぎとすれば、百害あって一理程度である。

そういう無益な法律を切実に欲しがる理由は、テロ対策が「目的」ではなく「口実」だからである。テロ対策という大義名分を掲げれば、情報に疎い国民を騙せると思っているのだろう。

自民党という政党は、自分たちと意見の違う政治集団を権力によって剪除・壊滅させることを本気で狙っている集団である。その根拠は、彼らが恥ずかしげもなく公表している改憲草案にある。

本日記では何度も言及した話なので繰り返さないが、改憲草案の第21条第2項はほとんど無制限な言論弾圧を可能にする条文である。その論理構造はこたびの共謀罪と瓜二つなのだ。どちらも特定の「目的」を持っていると権力者が評価・判定したら、外形上完全に合法な活動であっても取り締まることができる性格の条文である。

「目的」という主観的・内面的要素を犯罪の構成要件に繰り込むとどうなるか。

外部化された実行行為と違って、特定の目的を内面的に持っていたかどうかについては行政権力による評価と認定が不可欠となる。これは評価者側に大きな裁量権を与えることになる。自民党が望んでいるのは、この裁量権拡大にある。

客観性のある実行行為を扱うより、主観的な内心を問題にしたほうが評価者の裁量は大きい。当然のことだ。これは政治的対抗勢力を駆逐する上で非常に便利な道具立てとなる。

こういった内心に踏み込んで「犯罪者」を取り締まる社会というのは、犯罪者がいない社会になるのではなく、誰もが犯罪者扱いされる社会になる。北朝鮮しかり、ナチスしかり、ソビエトしかり、絶対権力を志向する政治集団は、ほとんど例外なくこういった「目的」を評価・判定する類の法律を欲しがるものである。

産経新聞あたりは、金正男の暗殺を受けて「金正男氏が暗殺された…これが現実だ」とテロ等準備罪の整備を急かしているが、まさに日本を北朝鮮化させないためにも、こういう危うい法律は認めるべきではないのである。

多方面から指摘があるとおり、現状の法律でも組織犯罪への有効な対応は十分可能である。そしてホームグロウンテロリストに共謀罪は無意味である。必要性も実効性も低い法律をかたくなに欲しがるのは、動機が別のところにあることを示唆している。

こういう立法は憲法が保障する思想信条の自由に抵触する可能性が高い。自民党もそれを知っているからこそ、改憲草案に治安維持法まがいの条文を堂々と仕込んで、違憲の恐れなく法整備できるように下ごしらえを目論むのである。

もし改憲草案にこういう条文がなければ、あるいは自民党は完全な善意で行動していると評価できなくもない。だが、実際には条文は存在するわけで、共謀罪が非憲法的、非文明的な法律であることについて自民党が確信犯であることを物語る。

本当は改憲しないと違憲立法の恐れがあるのだが、欲しくて仕方がないので「テロ対策」という名目で誤魔化そうという卑しい根性をさらけ出しているわけだ。

国民は知るべきである。国家権力による合法的不正義がなされる状況は、最悪の組織犯罪よりもはるかに悪い。なぜなら定義上その不正義は完全に合法で、「犯罪」を構成することすらないからである。
8 5

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年02月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728