mixiユーザー(id:2438654)

2017年02月13日15:55

253 view

ハンブルクバレエ マーラー交響曲第三番

Opera di Firenze
2017/2/10金 20:00-
2017/2/11土 20:00-
(録音音源)

マーラー三番が観たくて、ハンブルクバレエのフィレンツェツアーの弾丸追っかけをしてきました。本拠地ハンブルクでもこの直前に公演があったのですが、サーシャ・リアブコとシルヴィア・アツォーニの主演キャストを狙い、キャスト発表を待たずに旅の手配をするためにはツアーの方が確実との計算でした。無事彼らによるファーストキャストと、セカンドキャストを一回ずつ観られてよかったです。

マーラー三番、かなり前に生で二回ほど観ているのですが、久々に全幕で観るとつくづく名作だなと思います。ジョン・ノイマイヤーの、マーラーの音楽への敬愛と理解は驚くほど深い。

昨年、ヤンソンス×バイエルン放送響のマーラー9番を聴いたときに、「すべてを赦し包み込む大いなる愛」を感じて感動したのですが、今回この作品にも同様のものを感じました。

2時間の作品の中で117分出突っ張りの主役、ドイツ語ではDer Mannとなっていますが、彼の心の旅を作品にしたもの。無生物的なもの、花や恋人達、そして別れなどを経て、手の届かない愛〜生涯追い求めるべきもの〜に気付く。ノイマイヤーがまだ若い頃の作品なので、踊りも体力・技術的にハード。2時間があっという間に感じる濃密なつくりです。

金曜日のファーストキャストは、泣けて仕方がありませんでした。

私のマーラーに対する愛着と理解が以前より増していることと、そして何より、サーシャとシルヴィアのマーラー三番の全幕を観るのはもしかしたらこれが最後かもという気持ちが、私を涙もろくしていたのは間違いありません。

サーシャが演じるこの役は、ニジンスキー役とは全く違い、終始静かな雰囲気です。人間ではあるが、高潔な精神の求道者。一瞬たりとも無駄や緩みのない完璧な所作、音楽と隅々まで一体化した動き、しなやかな身体。愛を演じるシルヴィアとの最後のパドドゥで見せる慈愛に満ちた表情…。あまりに素晴らしすぎて、観ながら、どうしよう、やっぱりこの人大好き、と思って余計に泣けてしまいました。あの精神性の高さは、元々本人がそういうものを持っていなければ表現できないと思う。何て人なの。

シルヴィアのAngel(愛)も、どこまでもピュアで温かくて深い。ラストで上手から下手にただ歩くだけのシーンにこんなに引き込まれるのは何故だろうと思って、シルヴィアにあのときは何を考えているの?と聞いたら、"I'm love."と。人間ではない、とも言っていました。なるほど納得。

この二人の最後のパドドゥ、ガラで何度も観ていますが、全幕で観ると意味の深さが全然違います。演じる方も、気持ちの入り方が違うのじゃないかな。神々しいとしか言い様がない…!この壮大な作品の意味は、すべてこのパドドゥに集約される。はー、いま思い出しても震えるくらい感動しました。

土曜日のキャストは、主役がカーステン・ユングでAngelはシルヴィア。カーステンのDer Mannはサーシャとは違って私達と同じ場所にいる人間で、ヒトが人生の意味に気付くというストーリーに見えました。ひょっとしたら、こちらの方がジョンの振付の本来の意味に近いのではないかなあ。ニジンスキーもそうですが、サーシャは実は表現がとても個性的。

ファーストキャストにがつんとやられたので、サーシャのいない二日目のキャストがもの足りなく感じるかもと心配していたのですが、主役以外のところが結構よくて、これはこれで楽しかったです。特に、第二楽章で有井さんと菅井さん(円加ちゃん)がメインを踊ったのですが、これが素晴らしかった!有井さんはパートナーのJacopoとの相性がとてもよく、いつもと違う引き出しが開いていてすっごくきれいでした。Jacopoはリフト・サポートにパートナーに対する尊敬と配慮があってgood!円加ちゃんの音の取り方、ほんと気持ちいい。コジョカルを彷彿とさせるなあと。円加ちゃんのほうが生命力が強い感じだけどね!

2泊4日の弾丸でしたが、行ってよかった。その価値がありました。


3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する