ある映画関係者から薦められて久しぶりに時代劇の小説を読んでみた。たまには物語世界で楽しむのもいいだろう。肩ひじ張らずどこまで楽しませんてくれるか。フィクションの面白さは映画でも小説でもそれなりに味わってきたつもりだ。ただこの小説が受賞した日本エンタメ小説大賞というのは、有名映画プロデューサーが選考委員を務める独特の賞であるらしく、第二回目は該当者なしになっている。
映画を撮るための原作本を求めて募集しているのだろうと思う。この話を全部ここに書いて紹介すれば読む手間が省けてよいかもしれないが、まだ見ていない映画、まだ読んでいない小説の結末まで書くのは特にエンタメにおいてはご法度だろうと思うので、輪郭だけご紹介したい。物語内容もともかく私はこの小説を映画化するのに、誰が主演を務められるのかをむしろ皆さんにお聞きしたいと思った。なかなか主演女優が思い浮かばないからだ。ということは、この小説の主人公は造形として独特ということになる。
この小説の主人公は、豪農の家で生まれた6尺の大女だ。あまり言葉も多くなく、体が大きいためか動きもすばやくなく、むしろのろまで、大飯食いで体ばかりがどんどん大きくなった。農家でのたち働きは男並みで頼りになるが、嫁の貰い手を探すのが大変であることはおよそ予想はつく。よって持参金50両をつけて嫁にもらう家はないかと家の者は考えている。
一方下級武士の家の経済も江戸時代初期から中盤の頃はいったん決まってしまったら一生そのお金でやりくりしなければならず、よっぽどの出世話がなければ、じりじりと借金をしながらなんとか武家の体面を崩さないように保持しなければならない。そういった家には、50両の持参金はのどから手が出るほどほしい。しかしどうだ、見てみれば体躯の大きい農家で育った女っけなしの嫁をもらおうという家はあるのか。息子に嫁を探していた下級武士の切り盛りをやっていた姑は、息子の意志もそこそこにしか確かめず、この話をまとめてしまった。
冒頭は嫁入りのシーンだが、嫁入りの籠が時間より遅れてつくと(乗っている人が重いからだがw)、周りの驚きと失笑はとても印象的だ。ここから武家の嫁としてのしつけが始まる。姑は姿勢からたたき込み、所作、言葉遣い、心得も。
この家にもこの大女は徐々になじんでいくだろう。問題はこの先だ。むしろ話はここから始まると言っていい。夫は下級武士で勤めを果たして悪い男ではないが、最初は母親が押し付けたとんでもない妻だと思いなかなかなじまずお茶屋遊びをやっているが、夫婦仲も落ち着いていく。ところがこの夫がひょんなことで殺されてしまう。
ここからは読んでいただきたい。この大女に迫ってくる運命とそこを乗り切っていく話の行方を。
ここまで説明したが、さてこの役を演じられる女優さんは?安藤サクラかしずちゃんくらいしか私には浮かばない。
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