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2017年01月27日22:25

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METライブビューイング 遥かなる愛(サーリアホ)

2017/1/21土 10:00- 新宿ピカデリー

音楽:カイヤ・サーリアホ
演出:ロベール・ルパージュ

指揮:スザンナ・マルッキ

出演:
クレマンス:スザンナ・フィリップス
ジョフレ:エリック・オーウェンズ
巡礼の旅人:タマラ・マムフォード

現代音楽はどちらかというと不得手なのですが、ルパージュの演出が凄いという評判を聞きつけて観に行ってきました。ルパージュが演出を手掛けたMETのリングは大好きなので。

いやーとっても素晴らしかったです!リングよりもこちらの方が、音楽との一体感や、大きな機構ものに頼り過ぎずに聴衆に深い印象を与えるという点で、演出的には上だと思いました。

舞台上のメインの装置は、豆LEDライトがたくさんついたロープ。それが水平に、手前から奥に向かって少しずつ高さを上げる形で、何本も張られている。客席から見ると、LEDライトのラインが「面」のように感じられます。そのライトが、実に多彩な動きをして、この演出のメインテーマである水面(=海)を表現。あるときは凪、あるときは嵐、あるときは朝、あるときは夕景。それが実に美しくて、しかも美しいだけではなくて、サーリアホの音楽を見事に視覚化していた。

おそらく、音だけで聴いたらかなり(私にとっては)しんどかったであろうサーリアホの音楽ですが、LEDライトの多彩な表現が解釈の一つを明確な形で与えてくれる。これ素晴らしい。現代音楽ってメロディラインを追いかけるものではなく、その音から想起されるイメージを楽しむものなのだ、ということをこんなにはっきり、しかも本能に刺さる形で教えてくれたものは、今までにありませんでした。

ルパージュ天才。

この舞台、生で観たい。リングと違ってこれなら引っ越し公演も可能だと思うんですけど、日本には絶対にもってこれないよね(NBSさんが受け入れないであろう)。

と、演出に大感激した作品ではありますが、合唱は出てくるものの話の根幹を支えるたった3人という、重要な役割を担った歌手の皆さんも素晴らしかった。エリック・オーウェンズはMETのリングの素晴らしいアルベリヒでお馴染ですが、ナイーブな吟遊詩人の役も見事でした。そして女性陣二人も非の打ちどころがなかったです。

そういえば、合唱がLEDのロープの間に立って胸から上だけが見えるという演出も、この作品には滅茶苦茶あってた。主役の3人の実在感と、その外側の群集としての存在との対比がはっきりしていました。

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