初優勝、かつ初の14番でいきなり横綱かよ?!

■稀勢の里、千秋楽で白鵬破る　１４勝１敗、横綱昇進へ
(朝日新聞デジタル - 01月22日 17:51)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4396404
大相撲一月場所千秋楽、昨日初優勝を決めた大関稀勢の里は横綱白鵬との結びの一番を掬い投げで制し、14勝1敗として今場所を終えました。
この一番、立ち合い横綱が右で張って左差しから右で押っつけ前に出て、稀勢の里は土俵際まで追い込まれましたが左に廻っての掬い投げで逆転。初の14勝目を挙げました。これで、番付編成を担当する協会の審判部は稀勢の里について臨時理事会の召集を要請、八角理事長（第61代横綱北勝海）がこれを受諾、明日開かれる横綱審議委員会を経て、25日に開かれる三月場所の番付編成会議後の臨時理事会で「第72代横綱稀勢の里」への昇進が正式に決定する運びとなるようです。二所ノ関審判部長（元大関若嶋津）は「昨年は年間最多勝という実績があり、今場所も優勝を果たした。審判部の全員が賛成した」とコメントしたようですが、横綱昇進の主な条件の一つとされる「二場所連続優勝」を、先に昇進した第71代鶴竜に続けて適用しないことになりますね。
鶴竜のケースでは、過去の三場所9勝、14勝同点（決定戦進出）、14勝優勝で37勝で昇進でしたが、稀勢の里は10勝、12勝次点（優勝とは星ふたつ差）、14勝優勝であり、比較してみると「優勝に準ずる成績」をかなり拡大解釈している印象がありますね。昨日時点での報道では二所ノ関審判部長（元大関若嶋津、稀勢の里と同じ一門）が積極的な一方、友綱副部長（元関脇魁輝、伊勢ヶ濱一門）は琴奨菊に敗れた一番はじめ内容の伴わない一番が少なからずあったことを理由に慎重な姿勢を見せており、見解が分かれていたとのことでしたが、慎重派が折れて「審判部の総意」となったのでしょうかね。
一方、積極的な姿勢を示している横綱審議委員会としては、基本的に慎重派と見られていた守屋秀繁委員長が昨日の時点で「最高の幕切れだ。優勝したので、明日の白鵬戦はそれほど重要視しなくていいのでは。日本中の人がそれを望んでいる」と千秋楽の結果にかかわらず、場所後の横綱昇進に積極的な姿勢を示したそうなので、このまま昇進諮問→満場一致で昇進決定となれば、優勝せずに昇進した第60代横綱北尾（昇進を機に双羽黒に改名）に次ぐ“大甘昇進”となるわけで、私のように批判的なスタンスに立つ大相撲ファンも少なくないのではと思います。守屋秀繁横審委員長の「日本国民が期待している」「最高の幕切れだ。優勝したので、日本中の人がそれを望んでいる」との発言に追随し、協会内の疑問や異議を制した上での結論であるのなら、後々横綱稀勢の里を終生抑えつけることにもなりかねないと感じましたね。
やはり、千秋楽の白鵬戦まで横綱戦を経なかったわけで、大関豪栄道戦も不戦勝。いくら「新入幕から73場所目での初優勝は史上2番目の遅さで、大関在位31場所での初優勝は昭和以降最も遅い記録」と言われても、内容を伴わない土俵と評される一面がある以上は、このまま「第72代横綱稀勢の里誕生へ」と一潟千里に進まれるなら、横綱昇進の在り方をめぐって“新たな議論”を引き起こす問題に発展するのではと思います。取り分け、琴奨菊、豪栄道と二人の日本生まれの大関が優勝した後の初優勝なので、なおさら目立つ面がありますね。ややもすれば、相撲人気の今後を左右することになるかもしれません。
さて、今場所の殊勲賞は十四日目の白鵬戦が決め手となった東前頭十枚目の貴ノ岩、敢闘賞は同じく白鵬に勝っている東小結の高安でともに11勝4敗、技能賞には西前頭筆頭の御嶽海と西前頭十枚目の蒼国来が選ばれました。蒼国来は初めての二桁（12勝3敗）であり初めての三賞が技能賞となりましたが、右四つでも左四つでも相撲が取れ、吊り技もある多彩さを持っているので、成績が良ければ技能賞の期待がありましたが、33歳にして初の受賞となりました。八百長スキャンダルの当事者の一人とされ引退勧告を拒否して一旦は解雇され、この処分を不服として協会を告訴し勝訴、2年近くを経て同じ番付で復帰した経歴がありますが、荒汐部屋（師匠は元小結大豊）を挙げて支援、部屋の飼い猫「モル」と「ムギ」に見守られての裁判だったようですね。
また、十両優勝は3敗に並んでいた宇良が里山の取ったりに敗れ、西二枚目大栄翔が12勝3敗で決定戦を経ずに決め、決定戦となった序二段優勝は東十枚目の小笠原改め錦富士（伊勢ヶ濱部屋、7戦全勝）が先場所の序ノ口に続いて制し、6勝1敗の二人の戦いとなった序ノ口優勝は右膝の怪我から復活の西十六枚目の若山（阿武松部屋、24歳）が制しました。