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2017年01月14日20:50

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「夏に抱かれて」、「あやに愛しき」

 …ひさしぶりに川崎市民ミュージアムに行ってまいりました。が、寒さがキビシくて多摩川べりの風に死にそうになった!

 午前中、ビデオでロベール・アンリコ監督の「夏に抱かれて」を観て、昼前に川崎市民ミュージアムへ向かう。

 午後2時、宇野重吉監督の「あやに愛しき」を観てまいりました。



 ☆「夏に抱かれて」(1987)監督 ロベール・アンリコ 出演 ナタリー・バイ、クリストフ・マラヴォワ、ピエール・アルディティ、フィリップ・クレヴノ、ジュヌヴィエーヴ・ムニック、モーリス・シュヴィ、ジャン・ブイーズ

 1942年、夏。ドイツ占領下の南フランス。抵抗運動を続けるレジスタンスの一員アリス。彼女はユダヤ人を国外逃亡させるための待機所に利用するため、恋人のジェロームとともに彼の幼なじみの男シャルルの家を訪ねる。
 彼らが滞在しているうちに、シャルルは魅力的なアリスに次第に惹かれていくのだった……。


 原作はフランソワーズ・サガンの同名小説。
 戦時下の哀しい三角関係を描いたものであるにしても、サガンには珍しく政治色の濃い作品です。

 「追想」や「オー!」そして何よりも名作「冒険者たち」で知られるロベール・アンリコ監督の戦時下のメロドラマです。…が、惜しいなぁ。

 なんかね〜、ヒロインのアリスと二人の男の妙な距離感が最後まで気になっちゃったんだよね〜。
 結局、自殺してしまったユダヤ人の最初の夫が忘れられないんだろうなぁ。
 ジェロームとはあくまでプラトニックだし、シャルルとは肉体的な繋がりだけ(とは言わないけれども)。

 …ジェロームとシャルルの間にいるアリスが妙に “ 冷静 ” なんだよね。だから、ドラマがいまひとつ煮え切らない感じで終わっちゃった。



 ☆「あやに愛しき」(1956)監督 宇野重吉 出演 田中絹代、信欣三、東野英治郎、芥川比呂志、小沢栄、菅井一郎、奈良岡朋子、吉行和子、山田五十鈴、毛利充宏、高田幸子

 私小説作家の小早川武吉は妻の徳子と幼い二人の子供と暮らしていた。しかし、長らく続く貧困生活と過労から妻の徳子が精神を冒されてしまう。
 徳子が入院してしまい、武吉は子供二人と生活することになるが、武吉の妹の澄代が手伝いに上京してくれた。作家仲間の中沢や行きつけの飲み屋の女将も協力してくれる。
 徳子は脳病院へ送られることになり、武吉は妻と自分のために文章を書き残すことにした。武吉は作家仲間の励ましもあり、妻の姿を文学として残すことを決意するのだった……。


 原作、上林暁の「病妻物語」を、新藤兼人が脚色。演技派名優として知られる宇野重吉の映画監督デビュー作です。
 この後、宇野重吉は4本の映画を撮っています。

 が、しかし、名優、すなわち名演出家、というワケにはいかなかったようです。
 精神病に冒された妻と、その事に向き合わなくてはならなくなった売れない作家である夫の愛憎を描いたものですが、“ 憎しみ ” の部分がほとんど描かれていないと思います。

 夫婦愛を描くのはいいけれども、ちょっと “ きれいごと ” 過ぎる印象を持ちました。
 
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