まだ十一日だというのに、食料も、金も尽きかけている。
先日毀した眼鏡代でなくなってしまったのだ。
何か、食べるものはないかと探したら、以前KY君のお母様が送ってくれたスパゲティーの乾麺があった。
僕、この歳になるまでスパゲティーを茹でたことがないのだが、この際挑戦だと思い、電気コンロで鍋に水を入れ沸かし始める。
棒状態の麺を見て、ハテ、分量はどのくらいなんだろう?と一瞬悩むが、結局、全部入れちまえ、と麺を一袋全部鍋にブチ込む。
十分ぐらい茹でたか、芯がないのを確認して、ザルにあける。
ちょっと……ちょっと量が多すぎるみたいだ。いくらなんでも、こんなには喰わないよ。
ま、半分ぐらいは冷凍して取っておくかと、半分、別の皿に盛る。
冷蔵庫にケチャップがあったので、ナポリタンにでもするか、とフライパンをコンロに掛ける。
サラダオイルを垂らし、麺を入れケチャップを混ぜ、炒める。
かくして所要時間約十五分、なんにも具のはいっていないスパゲティー・ナポリタン(もどき)が出来上がった。
そのあと、冷蔵庫のいちばん下の段にタマネギが一個あるのを発見するが、今更何かするのは面倒なので、見なかったことにする。
さて、実食だが、香りはナポリタンそのものだが、味はひたすらケチャップの味。食べても食べてもケチャップオンリー。
しかも、半分にしたとはいえ、量が多いのなんのって。
ようやく食べ尽くし、台所を見ると、ザルに入ったスパゲティーが、まだ半分残っている。
明日は、醤油で炒めてみるか、満腹で無気力の頭でそう考えながら、台所の洗い物をする。
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