具体的には、"「盾と矛」といって、自衛隊は守り、米軍が攻める役割分担だ"の辺りまで。
そこから先がなあ、そういう従来の在り方を日本が自主的に変えてきたみたいな書き方だけど、
そうじゃないよね。
背景にあるのは、その矛を担う米国がさ、
「日本はもうちょっと自分で何とかせい。あと、我々の仲間なら人や兵をもっと出してくれ」
とその矛を鈍らせてきていることが原因と思うんよ。
トランプ次期大統領が金を出す出さないの話よりずっと前からさ。
国防が敵を刺し貫く矛と、敵の矛を弾く盾と、その2つで成り立っているのはその通りと思う。
いざ他国に攻められたとき、盾しかない国は相手をこちらの意思で黙らせることができない。
あいてが攻め疲れて黙るまで待つしかない。
相手も攻めるにあたっては周到な準備をしてくるわけで、そうそう簡単に疲れてもくれまい。
その間に盾が破られたら一方的に殴られて終わる。
国防には矛もまた必要だ。
今まで日本がそれを持たずに国防を成り立たせられたのは、不戦を誓ったからか?
そんなことはなかろう。
なぜ敗戦によって軍を解体され、戦う力を持たなかったドイツが東西に分断されたのか。
分断された時、いったい誰がそのそれぞれの勢力の背後にいたのか。
日本もまた敗戦によって軍を解体され、戦う力を持たなかったが、分断されなかった。
では日本の背後にいた勢力は誰だったのか。
その辺を考えたら、戦争をできない国が国土を保全できると考えることはできまい。
保全できるとすれば、ヒマラヤ山中の国や、インド洋のセンチネル島の民族の如く、
そこが手間をかけて侵すだけの利点のない土地だった場合くらいだろう。
日本はそういう立地ではない。
(全土属国にし、それを維持する手間を考えたらそこまでする利点はないかもしれないが、
少なくとも部分的には係争地たりうる)
要は記事の通り、日本は米国の矛があったから矛を持たずにやって来られた。
今日本が軍備増強にむけて動いているのはその通りだが、
何も国際的な事情なしに日本の自発的意思を以てそうしているかというと、そうではなかろう。
米国が矛先を引き気味だから、その分自前でどうにかしなくてはという話になってきている。
だから米国の求めに応じて自衛権の在り方を考え直しつつあるが、
さすがに今全部自前でやれと言われても金とか装備とか人員とかの問題で無理がある。
ゆえに今米国に居なくなられては困る訳で、米軍引き止めを併せて考える。
そういうことだろうよ。
ではなぜ米国が矛を引き気味かというと、これは単純に外国まで防衛するには余計に金がかかるということと、
大戦から日が経って日本への警戒心が緩んだためだろう。
日露戦争以降、特に第一次世界大戦以降の日本を取り巻く世界史を見ていると、
英米の態度に見て取れるのは、徹底的な対日封じ込めだ。
2つの海軍軍縮条約にしてもそうだが、いかにして日本という極東で新たに首を擡げてきた国を抑え込むか。
そこに英米首脳の腐心が見て取れる。
その警戒心は第二次大戦直後になっても続いている訳で、米国は念入りに日本の牙を折った。
その後、ソ連との兼ね合いで日本にも再軍備(自衛隊の整備)をさせることになったが、
まだまだ警戒心は強く、
「日本に盾は持たせても矛は持たすな」
という態度だったようだ。
実際日本があらたな護衛艦を作るのにも米国に伺いを立てるという習慣は、
そうした事情から生まれたと聞く。
しかし戦後、70年の交流を経て互いに理解も深まり、また国を動かすのが戦後生まれの世代になるに及び、
その警戒心もかなり薄れた。結果として、
「日本もそろそろ我々の矛に頼り切りにならず、ある程度自前でどうにかしてくれ」
という態度に変貌してきている。
その辺が背景にある訳で、我々としては米国に矛を引かないでもらうか、
あるいは米国の言う通り自前である程度矛を用意しなくては国防に穴が開いてしまうということよね。
その辺、状況を見誤ると困ったことが起きたときに対応できないと思うんよ。
■日本の安全をどう守る? 近隣諸国との領土問題や基地問題を改めて整理する
(dot. - 01月03日 11:31)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=4369106
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