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2017年01月02日14:14

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『山の郵便配達』(霍建起 フォー・ジェンチー)

皆様、あけましておめでとうございます。
今年の1本目はジャン・ルノワールの『ピクニック』になるのか、この『山の郵便配達』になるのか。いずれにしても自然の近くで登場人物たちが自分の生き方を探る映画である。

舞台は湖南省西部の山岳地域。点在する村村を山越えをしながら、約3日ほどかけて郵便を受け取り配達する仕事をする。父親は足を悪くし一人息子にこの仕事を託そうと上司にかけあったようだ。息子も引き受ける気でいる。しかし、この仕事がどのような仕事かは知らない。父親に代わって初めて荷を背負い出かけようとするが、いつも道案内をする犬もついていかない。見送る父親も心配だ。

まだ十分引継ぎができないと感じでついていくことにする。その道行が映画になっている。ロードムービーに違いない。固定カメラで橋を渡るシーンが最初と最後に出てくる。山の上から集落が見てくるところではカメラははるか下を見下ろすだろう。また迫った山を登るところではカメラは天を仰ぐだろう。父親がどのような気持ちでどんな人々のもとを毎回訪れていたかを息子は初めて知るだろう。

父と子、家族の歴史、村と村をつなぐ役割、人の生き方をめぐってじわりと見えてくる。この息子の将来もぼんやりと描くだろう。最小限の人間で山を移動しながら撮影したのだろう。テロップの人数からもそれがうかがえる。いい映画はこうやっても撮れるのだというのまでも教えてもらったように思う。

父親役の俳優さんの表情の演技は特にすばらしいと感じた。



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