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2017年01月01日19:25

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12月の読書記録

ここ何年か、12月はなかなか読書が進まないということが続いたのだけれど、今月は何とか5千頁いった。やはり『新人文感覚1』にてこずったな…それから又吉直樹の『夜を乗り越える』のおかげもあって、ナイスが100までいったのがちょっと嬉しい。今年も頑張って本を読もう(笑)。

2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5135ページ
ナイス数:100ナイス

https://elk.bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■顔の現象学 (講談社学術文庫)
自分に一番近い筈なのに、その一方で自分で直接それを見ることができないという意味では、最も遠いとさえ言える「顔」。その一見自明であるように思えて、その実かなり厄介な両義性を孕んだ「顔」を巡る哲学的エッセイ。時して顔は、その人自身の表したりするし、また、「顔が見えない」という言い方は、顔が不可視であることに対する我々の根源的な不安を表している。雑誌に連載されていたということで、若干話がとりとめがない感はあるが、顔という我々のどうにも切り離すことができない属性について、今一度思考するヒントを与えてくれる一冊。
読了日:12月31日 著者:鷲田 清一
https://elk.bookmeter.com/books/381860

■新人文感覚1 風神の袋 (新人文感覚 1)
やっとで読み終えた!!というのが、ひとまずの感想(笑い)。他の評者も述べているとおり、重複する内容も少なからずあるが、それくらい繰り返し反復しないと頭に入ってこない。それくらい濃い、そしてとてつもなく豊饒な内容。ある程度西欧文学に精通していないと、読みこなせないが、西欧文学愛好者にはたまらない内容。その膨大な数の文章の殆どを興味深く読めるはず。とにかく魅力的なのは、著者独特の軽妙で闊達、そして挑発的な文体。そして、著者の専門である英米文学に止まらず、仏文や日本文化にまで至る膨大な知識に圧倒されまくり。
読了日:12月31日 著者:高山 宏
https://elk.bookmeter.com/books/3843168

■ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)
基本的にあまり縁がないと思っていたミステリー。しかし、ミステリーの始祖としてディケンズの作品を最初に取り上げているのに目から鱗。更に、オースティンの作品にもミステリーの要素があるという指摘には唸らされた。確かにミステリー=謎と考えると、たいていの小説にはミステリーの要素があるといえる。取り上げる作品によっては、説明がやや不十分で分かりにくいと思えるところもあったが、概ね興味深く読めた。ミステリーと言えば、大量消費されて後は顧みられることが少ないと思われがちだが、作品によっては深いものがあることを認識した。
読了日:12月27日 著者:廣野 由美子
https://elk.bookmeter.com/books/490172

■夜を乗り越える(小学館よしもと新書)
周囲への違和感、周りからの評価と本来の自分とのギャップからくる葛藤、そして、『人間失格』や『告白』、古井由吉など、自分と共通する読書嗜好…何かにつけ、「わかるわかる」、「そういうのもありか!」と思わせる記述がありまくりの一冊。自分と一回りも下の人間にこれ程共感を覚えるというのが、何とも不思議。これも読書のなせる業か?後、学校の勉強ができなかったこと、母親がクリスチャンだったというのも、何かわかる気がした。著者程の洞察力と文章力が成績に反映されない学校教育って、一体なんだろう?という気がした。
読了日:12月22日 著者:又吉 直樹
https://elk.bookmeter.com/books/11028171

■逆説論理学 (中公新書 (593))
以前読んだ『詭弁〜』と同じく、数学が苦手な人でも、細かい議論や数式はあまり気にせず、読み物として楽しんで読めた。本書でとりわけ印象的だったのは、数学における無限の扱い方。無限なんて人智を超えたものを数式の中で扱うなんて、荒唐無稽というか殆ど無意味ではないか?とさえ思えるのだけれど、それをあえてやってみようとするのが、数学者の性ということか?後、巻末のマイナスとマイナスをかけたらなぜプラスになるのか?という趣旨のコラムも興味深く読めたか。これは全ての数学教師必読だと思う。次はもう少しじっくり読んでみたい。
読了日:12月20日 著者:野崎 昭弘
https://elk.bookmeter.com/books/522612

■視線は人を殺すか―小説論11講 (MINERVA歴史・文化ライブラリー)
タイトルが示すとおり、まさに「視線」をキー・ワードにして、英米を中心とした文学作品を読み解いたもの。他の人も述べているが、かなり詳細に作品のあらすじを紹介しているので、未読の本についても、殆ど違和感なく読み進めることができる。個人的にはかつて熱心に読んだオースティンの作品が三つも取り上げられているのが、ちょっと嬉しい。実際著者自身好きな作家ということ。後、印象的だったのが、エリオットの『サイラス・マーナー』。薄幸な主人公みなしごの金髪に盗まれた金貨の象徴を見たというエピソードは何とも言えず心を打たれる。
読了日:12月18日 著者:廣野 由美子
https://elk.bookmeter.com/books/521244

■ボブ・ディラン――ロックの精霊 (岩波新書)
かなりアクの強い評論が印象的な著者にしては、比較的客観的で淡々とした語り口が印象的。その生い立ちから現在に至るまでのディランの歩みをコンパクトにまとめた良書と言えるだろう。ただ、前書きに「レコードを売り上げていない」とある割には、後年でもかなりの好セールスをあげているアルバムがあるのが気になるけど。それから驚かされたのが、最初ディランはピアノを演奏していたという事実。その腕前はいかほどのものだったのだろうか?後、印象的だったのが、ディランのルーツ・ミュージックへの拘り。その豊饒な世界を垣間見てみたい。
読了日:12月18日 著者:湯浅 学
https://elk.bookmeter.com/books/7401557

■神学・政治論(下) (光文社古典新訳文庫)
上巻に引き続き、「身の危険を冒してまで、よくこんな本が書けたな…」と思うことしきり。現在のクリスチャンの目からしても、相当にラジカルに映るのに、当時の人達が本書をどれだけ危険視していたかは、推して知るべし。解説にもある通り、本書は国家が言論の自由を保障することが、国家の安全を保障することを説いたものだが、その考えに対する著者の思いは伝わってくるものの、もう少し他の書き方はなかったのか?とつい思ってしまう。後、キリスト教の立場から本書に言及したものが殆どないのも不思議。これは探求の余地があると思うのだが。
読了日:12月16日 著者:スピノザ
https://elk.bookmeter.com/books/8082106

■神学・政治論(上) (光文社古典新訳文庫)
二十年前に畠中訳で読んだものを再読。その当時はよく分からなかったが、ある程度キリスト教に通じた今読んでみると、「よくこんな本がかけたな」という驚きと、「どうしたわざわざこんな本を書いたのだろう?」という半ば呆れに近い感想を抱いてしまう。そのくらい荒唐無稽…とまでいかないまでも、当時の常識を大いに刺激するものであったということは容易に想像できる。そのくらい伝統的な聖書解釈を大きく逸脱した読み方を開示しているのだ。かなり退屈な記述が多く、若干辟易させられることもあったが、本書が持っていた危険性は感じられた。
読了日:12月13日 著者:スピノザ
https://elk.bookmeter.com/books/8082108

■「私」をつくる――近代小説の試み (岩波新書)
題名から想像される通り、まさに「私」をキーワードにして、近代日本文学を読み解いた一冊。取り上げられる作品は、さすがに私小説及びその傾向が強いもの…ということになるが、では私小説とそうでないものの線引きはどこでなされるのか?という問いかけは、逆に示唆的で、自分でもあれこれと考えてしまった。後、比較的太宰に紙幅が割かれているのが印象的。ただ、かの『人間失格』への言及は、「いや、問題はそこじゃないんだよな…」とつい突っ込みたくなるようなもどかしさを覚えた。それなりに面白いけれど、日本文学中級以上向けかな?
読了日:12月13日 著者:安藤 宏
https://elk.bookmeter.com/books/9977749

■資本主義の極意―明治維新から世界恐慌へ (NHK出版新書 479)
非常に平易な語り口で殆ど一気に読み終えることができたが、それとは裏腹にその内容は非常に濃厚であるのと同時にこの上なく重たい。殆ど末期症状とさえいえる、昨今の資本主義社会。しかし、それに代わるシステムの可能性は見えてこない。そうした中で、我々はどう生きていけばよいか?その可能性を探る前に、いかに今日のシステムは成り立ってきたのか?そのことをマルクス及び宇野理論を用い、時に自らの考察も差し挟みながら、噛み砕いて解説してくれる。この混迷の時代を生き抜くためのヒントをくれる一冊。必読の書と言っていいと思う。
読了日:12月12日 著者:佐藤 優
https://elk.bookmeter.com/books/10204267

■個人心理学講義―生きることの科学 (アドラー・セレクション)
表紙には「アドラー心理学入門決定版」とあるが、それはちと疑問。それにタイトルに「講義」と銘打っているのであれば、中身も講義風でないと。それはともかくとして、これまで読んできたアドラー関係書で覚えた違和感(左利きへの偏見、神経症の原因を甘えに帰する、鬱病患者の定義など)を本書でも覚えたが、それでも以前よりアドラー心理学が身近に感じられた気がする。個人的には何番目の兄弟に生まれたかということによる性格形成の分析が興味深く読めたか。とりあえず更にアドラーの著作を読みたくなった。後、本書を読め返したい。
読了日:12月10日 著者:アルフレッド アドラー
https://elk.bookmeter.com/books/5217965

■アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)
当初はかなりの違和感を覚えたアドラー心理学だが、本書を読むことでその違和感もだいぶ緩和された気がする。とりわけ興味深く読めたのは、フロイトとの関係、それにフロイト理論との対比。またアドラーとの関係が良くなかった長兄とフロイトの名前が一緒というのも面白い。また、何かと過去に様々な原因を求めてしまうものとして、アドラーの目的論はかなり身につまされるものがあった。ただ、その一方で本書を読んでいると、精神形成期に両親から適切な接し方をされていないことを改めて思い知らされ、つい過去のことを悔やんでしまうのだが…
読了日:12月10日 著者:岸見 一郎
https://elk.bookmeter.com/books/598107

■詭弁論理学 (中公新書 (448))
生来の気弱さと口下手がゆえ、強弁や恫喝、詭弁などにいいように扱われ、一人悔し泣き(?)を重ねてきた者にとっては、かなり勇気づけられる一冊であった。ただ、著者の軽妙な語り口に引き込まれ、殆ど一気に読み終えたとはいえ、理解の程はかなりあやふや。でも、とりあえず世に蔓延する詭弁というのは、どういう論法に則っているか?ということはある程度イメージできたような気はするが。おそらく著者自身も、詭弁をキーワードにして、論理学の一端を紹介することを本書の主旨としていたように思える。もう少し読み込めば、実践に役立つかも?
読了日:12月06日 著者:野崎 昭弘
https://elk.bookmeter.com/books/552660

■浄土系思想論 (岩波文庫)
その中身の半分も理解できたか正直心許ないが、著者の癖はないが、どことなく力強さを感じさせる文体に引き込まれて、何とか読了することができた。ただ、素人には理解しづらい専門用語が頻出しているのにも係わらず、注釈が一切ないというのはいかがなものか?その点をクリアーしていれば、もっと読みやすいものになっていたと思うのだが。それはともくとして、一般に禅研究者というイメージが強い著者が語る浄土教とはいかなるものか?という興味で手に取ったのだが、宗派の違いを超えた深いものを感じさせたのが、非常に印象的だった。
読了日:12月05日 著者:鈴木 大拙
https://elk.bookmeter.com/books/11084974

■筋金入りのヘタレになれ (ベスト新書)
もっと時世に対する鋭い批判が展開されているのかと思いきや、前書きで述べられている通り、居酒屋談義というかなり緩い内容。それでも、時々「なるほど!!」と声をあげたくなる箇所があって、やはり島田氏の視点は一筋縄ではいかないな、と思わせる。また、本書を読んで改めて認識したのが、世間が世知辛く、不寛容になり、人々のモラルと知性が低下したということ。安易に昔が良かったとは言いたくないが、やはり昨今の世相の醜悪さには目を覆いたくなる。そうした中で真っ当に生きるためには、やはり筋金入りのヘタレになるしかないのか?
読了日:12月05日 著者:島田 雅彦
https://elk.bookmeter.com/books/11028050

■マルクスの心を聴く旅
旅行記という体裁をとっているうえ、マルクスプロパーではない人が著者として名を連ねているので、正直あまり期待していなかったのだけれど、予想外に楽しめた。とにかく相手はマルクスという生半可ではない存在を巡る旅。ましてや反知性主義が跋扈する昨今において、マルクスの人生を振り返る旅がどういう意味を持つか?と考えると、どうしたってそれはシビアなものになってくる。実際、この旅の過程で新たな問題点、また内田、石田の両氏に新たな課題が浮かび上がったのは象徴的。とにかく二人には更なるマルクス論議が期待されてならない。
読了日:12月04日 著者:内田 樹,石川 康宏,池田 香代子
https://elk.bookmeter.com/books/11184454


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