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2016年12月31日13:37

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バイエルン国立歌劇場 マクベス

2016/12/18 18:00- バイエルン国立歌劇場

ジュゼッペ・ヴェルディ

Musikalische Leitung Paolo Carignani
Regie Martin Kušej
Bühne Martin Zehetgruber
Kostüme Werner Fritz
Licht Reinhard Traub
Chor Sören Eckhoff
Dramaturgie Sebastian Huber, Olaf A. Schmitt

Macbeth Franco Vassallo
Banco Ildebrando D‘Arcangelo
Lady Macbeth Anna Netrebko
Dama di Lady Macbeth Selene Zanetti
Macduff Yusif Eyvazov
Malcolm Dean Power
Arzt Kristof Klorek
Diener Sean Michael Plumb
Mörder Sean Michael Plumb
Erste Erscheinung Milan Siljanov
Zweite Erscheinung Anna El-Khashem
Dritte Erscheinung Solist des Tölzer Knaben chors


ハンブルクで大地の歌を観た後、ミュンヘンに移動してオペラ・マクベスを観てまいりました。いやー、これが物凄く良くて、大満足でした!こんなの観ちゃうと(聴いちゃうと)今後のオペラに対する期待度というかハードルが上がってしまう。困ったもんだ。

ネトレプコ、凄いです。劇場を揺るがすような強い声(正直男性陣より声量があった)、そして強い目力の凄みのある演技。2010年にロイヤルオペラが来日したときに彼女のマノンを観たことがあるのだけど、そのころよりも貫禄が増していて、夫を破滅に追いやる悪妻マクベス夫人のキャラにぴったりでした。今回、幸運にも平土間3列目のほぼ中央あたりの席にいて、睨む彼女の視線が自分の方に来たような気がして楽しかった。いやほんと、「ぎゃーかっこいい!」って同性として惚れ惚れしました。

マクベスのフランコ・バッサロもとってもよかった。悪妻に操られる役ではありますが、ただ単に妻に押し切られるのではなく、自身の中の狂気を煽られていくという役作り。イッちゃったような焦点の定まらない目は背筋が寒くなりました。が、声はあくまでイタリアのテノール、明るくて真っ直ぐでしっかりしていてとても聴きやすい。

バンコーはダルカンジェロだし!声も素敵だけど、彼はお姿が本当に美しくて大好き。マクダフを演じたネトレプコの旦那様、ユシフ・エイヴァゾフもなかなかよかったです。あまり演技力が必要な役じゃないせいかもしれませんが、清潔感ある美しい歌声で、ブラヴォーももらっておりました。

そしてそして、マエストロ パオロ・カリニャーニに率いられたバイエルン歌劇場のオケが素晴らしかった!本拠地が同じせいか、バイエルン放送響と音色が似ているように思いました。とても知的な感じがするけど、でもあたたかな人間味もあって。うーん、このオケの音はやっぱりいいホールで聴いた方がいいよなあ・・・来年9月の来日公演、ペトレンコ指揮のタンホイザーがNHKホールだなんて、本当に本当に残念すぎます。

さて、演出はMartin Kušejという、どうやらかなり有名な方のようですが、これがまぁなんというかかなりエグかったです。舞台には骸骨がたくさん転がっているし、体中がかゆくてしょうがないという演技をする群集が出てくるし、屠殺された家畜のように足でつりさげられた素っ裸の男性は出てくるし、舞台上で群衆が放尿するし(出してるのは水みたいでしたが)、舞台装置や小道具は敢えてチープな素材を使ってるし(蛍光灯、スーパーのビニール袋、テント、などなど)、合唱をオケピの中に入れてしまって舞台上に歌わない役者を乗せたり。私の席は前方だったのでよかったですが、劇場奥の席には合唱が届きにくかったんじゃないでしょうかね。あと、演出に使われている子供達が不気味でした。マクベスがバンコーの亡霊に悩まされるシーンでは、5-6人の子供がバンコーのデスマスクをつけて出てくる。ゾッとします。

全体的な演出の意図としては、マクベス夫妻の虚栄心の浅はかさをチープなもので表現し、そして、精神的に不快なものを舞台上に出すことで、彼らの行動や考えに対する嫌悪感を助長する、ということだったのかな、と思いました。セリフの細かいところと付き合わせるともっといろいろ見えてくるんだと思いますが、何分にもイタリア語上演、ドイツ語字幕というアウェイ環境だったので・・・残念です。そういや、マッパの男性が出てくるシーンでは最前列のお金持ちそうな男性達が大きな声で「ブー!」を叫んでました。ブーイングでカーテンコール時だけでなく、上演中にもしていいものなんですね。

演出は、舞台装置を見てもらった方が感じがつかめると思います。バイエルン歌劇場のマクベスの公式サイトはこちら
https://www.staatsoper.de/stueckinfo/macbeth/2016-12-18-18-00.html?type=0&cHash=56d1aa46a2f2046ee150c2a9af801b1a

カーテンコールの写真。バイエルン歌劇場は劇場内での写真撮影は禁止みたいなんですが、カーテンコールのときはみんなバシャバシャ撮ってても係員も全く注意なし、でした。
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