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2016年12月29日15:40

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【日本の地熱発電政策の分析―政策の窓モデルの視点から― 】>地熱発電は長い間冷遇。1999年の八丈島地熱発電所を最後に、政府は予算を削り地熱発電所(バイナリー発電を除く)は建設されてこなかった>

日本の地熱発電政策の分析
―政策の窓モデルの視点から―

早稲田大学社会科学部4年
政策科学研究ゼミ
濱島 広太


章立て
•研究の動機
•研究の概要
•第一章 エネルギー問題の整理 ◦1−1 「温室効果ガスの削減」の視点
◦1−2 「電力の確保と安定化」の視点
◦1−3 日本のエネルギー政策の変遷

•第二章 東日本大震災前後における地熱発電の政策的分析 ◦2−1 東日本大震災以前の地熱発電の存続基準分析
◦2−2 東日本大震災が政策過程に与えた影響
◦2−3 東日本大震災以降の地熱発電の存続基準分析

•第三章 地熱発電盛衰の背景 ◦3−1 京都議定書の日本のエネルギー政策への影響
◦3−2 「地熱発電に関する研究会」開催の要因分析
◦3−3 新エネルギー法(1997年)、RPS 法(2002年)から除外された要因分析

•第四章 地熱発電の今後と政策提言
•おわりに
•参考文献・Webサイト




研究の動機

 そもそもは、環境問題を題材にしたかった。環境問題は、私が思いつく中でこの世で一番大きな問題である。その環境問題について取り組みたいと思ったのが一番最初のきっかけである。

環境問題の中でも、地熱発電は日本に馴染みの深いテーマである。火山国の日本において地熱資源は豊富に存在していることは、日本中に温泉が存在していることからも分かるだろう。エネルギー資源の乏しい日本にとって有効なエネルギーであるように思える。しかし、地熱発電は長い間冷遇されてきた。1999年の八丈島地熱発電所を最後に、政府は予算を削り地熱発電所(バイナリー発電を除く)は建設されてこなかった。

ただ、そんな現状に変化があった。東日本大震災があった2011年付近から、地熱発電を事業化する動きが活発化してきたのである。次々と地熱発電所の建設が進行しだした。これには、一つではなく様々な要因が考えられる。この要因を解き明かす上で、政策科学的な視点で解き明かしてみたいと思った。


研究の概要

 この研究では、日本の地熱発電政策について、政策科学的視点から歴史と社会背景を重視して分析したいと思う。

具体的な発電施設が導入される過程ではなく、政府が一つのエネルギー政策を様々な政策代替案からどのように選ぶかという視点をとる。採り上げる時代は、地熱発電が政策的に採用され始めた1970年代から、現在(最終更新日)までの地熱発電の政策的変遷を辿りたい。

また、分析をするにあたり政策の窓モデルの概念を取り入れたいと思う。数あるエネルギー政策案の中から地熱発電を採用する過程を「問題」、「政策」、「政治」という異なる流れに分解し、これらの流れの合流に注目することで、より因果関係を明確にでき深く分析できると考えている。




第一章 エネルギー問題の整理

 エネルギー政策を捉える上で、そもそもエネルギー問題とは何なのか本質を理解する必要がある。すなわち、エネルギー政策の過程に大きな影響を与えるからだ。選択する発電方法によって個別に差はあるが、エネルギー問題は、大きく2つに分けられる。”エネルギーを使うときに発生する問題”と、”使わない時に発生する問題”である。つまり、”温室効果ガスの発生”と”電力不足”という問題である。よって、エネルギー問題の命題は、「温室効果ガスの削減」と「電力の確保と安定化」であるといえるのである。


1−1 「温室効果ガスの削減」の視点

温室効果ガスの発生は、世界規模の環境問題である。そのため、問題への対応は、世界機関などで世界共通の方針を決め、各国で対策を取る。この方針に強制性はないが、従わない場合世界から孤立してしまう可能性があるため、多くの国は従う。そのため半強制性はあると考える。このような点で、エネルギー問題への政策決定は国内の「問題」、「政策」、「政治」の流れの上位に、世界的な方針というものが存在する。
図1<温室効果ガスの削減の主旨と影響力を持つプレイヤー>



1−2 「電力の確保と安定化」の視点

一方、電力の確保と安定化は、ある地域社会(日本)の社会(経済)問題である。各家庭の明かりを灯すだけではなく、企業が行う経済活動を支えているという一面もある。そのため、問題への政策的対応は、基本的に各国内の影響力のもとで行われる。
図2<電力の確保と安定化の趣旨と影響力を持つプレイヤー>



1−3 日本のエネルギー政策の変遷

 日本のエネルギー政策の変遷を「温室効果ガスの削減」と「電力の確保と安定化」という視点で捉えると、時代ごとにそれぞれが、どの程度エネルギー政策に影響を及ぼしていたかが分かる。

1970年代〜1980年代のエネルギー政策の要点〜「電力の確保と安定化」〜

この時代のエネルギー政策の関心事は「電力の確保と安定化」の視点のみである。「温室効果ガスの削減」の視点は存在しない。当時の環境問題と言えば公害であり、ある地域の社会問題の一つに過ぎない。ただクリーンエネルギーを選好する社会背景になっていた可能性はある。 日本でエネルギー政策が本格化したのは1973年と1979年に発生した石油危機からである。政府は「サンシャイン計画」(1974年〜1992年)と推進母体である新エネルギー総合開発機構(NEDO)を立ちあげ”石油代替エネルギー”を育てるという名目のもとエネルギー政策を推進した。

主要な政策
•サンシャイン計画(1974年〜1992年)
•石油代替エネルギー法(1980年)


1990年代〜2010年代のエネルギー政策の要点〜「電力の確保と安定化」と「温室効果ガスの削減」〜

この時代のエネルギー政策は、「電力の確保と安定化」という従来の視点に加え、1990年付近から次第に地球温暖化が指摘されるようになり、「温室効果ガスの削減」の機運が高まっていった。政策にもこの機運は反映されていった。政府は従来の「サンシャイン計画」に環境保護の視点を組み込んだ「ニューサンシャイン計画」(1993年〜2000年)を立ちあげエネルギー政策を推進した。省庁再編により「ニューサンシャイン計画」の終了後も「温室効果ガスの削減」という視点は政策に大きく反映されていった。

主要な政策(2010年まで)
•ニューサンシャイン計画(1993年〜2000年)
•新エネルギー法(1997年)
•RPS 法(2002年)
図3<エネルギー政策の変遷>



第一章 まとめ
•エネルギー政策に大きな影響を与えるエネルギー問題は「温室効果ガスの削減」と「電力の確保と安定化」という視点に分けることができる。
•1970年代〜1980年代のエネルギー政策の要点は「電力の確保と安定化」であった。
•1990年代〜2010年代のエネルギー政策の要点は「電力の確保と安定化」に加えて「温室効果ガスの削減」の視点が漸次的に強まっていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーーー
http://www.waseda.jp/sem-fox/memb/14s/hamashima/hamashima.index.html





「世界3位の地熱資源国」…なのに日本で地熱発電が遅れている理由
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2016年12月29日 06:01 ハザードラボ

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ハザードラボ


写真今年から「地熱発電の日」が制定されたのをご存知だろうか?日本第1号の地熱発電所は、岩手県の松川発電所だ(資源エネルギー庁)
今年から「地熱発電の日」が制定されたのをご存知だろうか?日本第1号の地熱発電所は、岩手県の松川発電所だ(資源エネルギー庁)

 今年11月、ちょうど1年前に採択されたパリ協定が発効し、今後は世界192カ国が参加して二酸化炭素の排出量を削減し、地球規模で温暖化対策を進めていく。「脱炭素」が今後のビジネストレンドのひとつになると予想されるなか、10月8日に新たに制定された記念日が、日本の未来を明るく照らすヒントになるかもしれない。
 ほとんど注目されていないが、日本地熱協会は今年「10月8日」を「地熱発電の日」に制定した。これは、国内初の地熱発電所である岩手県の松川地熱発電所が1966年に運転を始めてから、ちょうど50年を迎えたことを記念して制定されたものだ。
 盛岡市から北西に約20キロ。岩手山と大深山に挟まれた松川地熱発電所は、地元の村が温泉を開発するために掘削した井戸から蒸気が噴き出したのをきっかけに開発が始まった。発電能力は2万3500キロワット。石炭や石油などの化石燃料を使わず、炭酸ガスも一般の火力発電所の5〜10%と少なく、地下から噴出するお湯の一部は、温泉や温水プール、暖房や温室に利用されている。
 世界有数の火山国である日本国内の火山地帯では、地下1000〜3000メートルほどの地層がマグマの熱で温められ、そこに雪解け水や雨水が浸透して、高温・高圧の地下水ができる。この地熱が溜まった地層から、蒸気や熱水を取り出してタービンを回転させて発電するのが地熱発電の仕組みだ。
 日本地熱協会によると、日本の地熱資源量は、米国、インドネシアに次いで世界で3番目に多い2347万キロワット。しかし、国内にある36カ所の地熱発電所では、合計して約52万キロワット程度と地熱資源量のわずか2%あまりしか発電しておらず、活用が十分だとはとても言えない。
 一方、海外では地熱発電の利用が積極的だ。日本同様、火山と地震が多い環太平洋火山帯の国を見ると、米国ではカリフォルニア州を中心に大型の地熱発電所が稼動し、世界最大の345万キロワットを発電。2位のフィリピンは、地熱発電量が国全体の発電電力量の17%を占めており、3位のインドネシアでは地熱発電の電力量を今後約10年間で7倍近い950万キロワットに増やすため、設備の整備計画を進めている。
 ポテンシャルの高さに比べ、日本の地熱発電がこれまで立ち遅れ理由はなんだろうか?資源エネルギー庁によると、地熱発電所は立地が難しいという。地熱資源があるエリアは、国立公園や温泉などの地域と重なるため、開発が難しく、地元の温泉事業者からは「温泉が枯れるのではないか」と不安視する声が上がる。
 しかし、2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、二酸化炭素をほとんど出すことなく、気象条件に左右されにくい理想的なクリーンエネルギーとして、地熱発電に向けられる期待は、日に日に熱が高まっている。
 今年4月、私たち消費者が、家庭や商店ごとにライフスタイルやニーズに合わせて、電力会社を選べる「電力の小売全面自由化」が本格的にスタートした。さまざまな電力会社が小売市場に参入することで、サービスや料金メニューが拡充されることに注目が寄せられているが、今後は選択肢のなかに再生可能エネルギーの供給業者が加わることだろう。
 温暖化対策には、家庭で使う電力の供給会社を選ぶことでも参加できるのだ。


ハザードラボ
阿蘇山マグマだまり 断層破壊を妨害?再噴火の可能性を指摘 京都大(10月21日)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=187&from=diary&id=4363595
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