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2016年12月28日12:48

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アニメ映画「この世界の片隅に」

http://konosekai.jp/

広島県呉市を舞台に、戦時下の不安定な時代の中、18歳でお嫁にいった絵が得意な女性すずを描いたアニメ映画です。
すずの声は能年玲奈から改名したのんが演じています。

公開から7週目で動員60万人突破。インディーズ作品としては異例の大ヒットとなったのですね。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1757626.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp

総合人間学会の今年最後の講演会で宗教学の島薗進先生が冒頭で言及し、マンガ(上)(下)を回し読みして強く推奨していた作品です。
島薗先生は宗教学の第一人者だと思います。

えっ、宗教学の講演でマンガ?なぜ?

マンガ2冊を読むのは面倒だし、最近行っていないので映画館に行きました。
強く感銘しました。
アニメの手法が生きていると感じました。

島薗先生は講演会で、宗教の信者は科学の発達に伴い減少しているが、精神の拠り所となってきたプラスの側面は今後とも活かしていく必要があることを強調しておられました。

その意味で、講演会の3分の1ほどを宛てた内村鑑三の解説の中で、キリスト教徒を超えた一般の人も意識していると思われる教養書である「後世への最大遺物」を紹介していました。

内村はこの書籍の中で
「誰にでも遺す事の出来る最大遺物があると思ふ。夫は勇ましい高尚な生涯だと思ひます。高尚な勇ましい生涯とは(中略)望みの世の中であることを信ずる事である、この世は喜びの世の中であるといふことを我々の生涯に実行して其生涯を世の中の贈物として此世を去るといふことであります」と述べています。

島薗先生はこの「高尚な生涯」に通じるものがあるとして「この世界の片隅に」を紹介されました。

すずはこの世界の片隅で一つの歴史を作り語っていると思います。
すずのような平凡な民衆はどこにでもいます。その人たちは「高尚な生涯」を送っています。

憲法公布70年、諸般の分野で主権者民衆が主人公にならなければなりません。

島薗先生は、アンデルセン以降、物語形式の中で宗教ないしその思想を伝えて いることが
多いと話しておられました。本アニメも一例です。
先生の最新著作は今年8月に刊行した「宗教を物語でほどく」です。
これによると、宗教は人間の「4つの限界」に関わるものであり、限界の最初に「死」を
挙げています。
私見では、このアニメは「死」、それと関連して(島薗先生が指摘される)人間らしさの不可欠の要素である「悲しみ」を表現していると思われます。

なお、内村鑑三は私が大学入学当初傾倒した人です。

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